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シリーズ~建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界~ ②

2021.6.29

 

 

インテリア雑誌や住宅雑誌、建築設計事務所のHP…。

そこには居心地の良さそうな空間に、恐らく住まい手や設計者がこだわって選んだのであろう家具、とりわけ木の質感に溢れる無垢材家具が置かれている風景が目を引きます。

建築空間はそこで人間が暮らす、またはある目的を持って過ごすことを目的にしてデザインされています。

配置される家具は「生活の道具」として建築空間と重要な係りを持ち、空間だけ、あるいは家具だけで存在する時よりもその魅力や本質をより強く現します。

「建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界」では、家具蔵の無垢材家具が置かれた建築家の設計によるこだわりの空間が、どのような考えの元に設計デザインされ、家具蔵の無垢材家具が選ばれることになったのか。

納品後のリアルな暮らし、使っている模様を交えてお伝えする事を目的に、家具蔵のホームページ上のコンテンツ「事例&お客様の声~建築家とのコラボレーション」の内容を元に、実際に訪問取材に伺った際のエピソード、裏話などを交えてご紹介します。

 

前回は・・二階リビング・ダイニングの大空間にこだわった建築家の自邸 をご紹介しました。

落ち着いたモダン和風の空間に、チェリー材の華やかな無垢材家具が映える素敵な空間です。

 

そしてシリーズ第二回目の今回は・・

建築家・山田 悦子さん(アトリエ エツコ)が手掛けられたリノベーション物件のご紹介です。

山田さんは、広島工業大学環境学部環境デザイン学科、オランダ・アムステルダムのthe BerlageInstitute Amsterdamを経て、2007年にアトリエ エツコ 一級建築士事務所を設立されました。

以降はその独自の鋭い美意識と女性らしい細やかなデザインセンス、理知的な思考に基づく機能的な設計で広く支持をされる建築家として活躍されています。

 

 

今回の物件は、築17年を迎える企業の寮を、一棟まるごとリノベーションする計画でした。

それも、単に古いものを補修してきれいにするのではなく、 全体の間取りや内装デザインも一新する、という複雑で多岐にわたる内容と目的を含んでいました。

寮という特殊な目的の為に作られた建物をリノベーションして、年齢も家族構成も様々な人が暮らす「分譲マンション」にすることで、建物として本当の意味で生まれ変わらせたい。

そんな新しい試みに、気鋭の建築家3人が参加することになります。

そのひとりに選ばれたのが山田悦子さんでした。

 

「ドアなどのデザインやディテールはなるべくすっきりとさせて、そこに置く家具、住む方の暮らし、 生活そのものが映えるように「余白」を残す設計をしました」

というその言葉通り、山田さんが当初モデルルームとして設計したこの部屋を訪れると、まず空間の美しさに驚きます。

美しさ、とは装飾されたプラスのデザインではなく、どこまでも静かで研ぎ澄まされ、洗練された引き算のデザインです。

しかし、細部に目を向けると、扉の枠の線を無くす為に建具のデザインや、寸法そのものが熟考されていたり、職人による壁の左官材料や木の扉質感など、本物の素材が持つ存在感をシンプルなデザインの中で効果的にバランスさせているなど、密度の濃い非凡な設計デザインである事がすぐに判ります。

それは、そこに住む人とその暮らし、毎日の心地よさ、を主役にするための設計上の工夫です。何気ないように見えるシンプルさの中に込められたその繊細なディテールには、山田さんのこだわりが随所に感じられました。

例えば 穏やかな自然光が入るリビングには乳白色のタイルを貼った壁を設けられていて、その向かいの壁はきれいな色味の薄いグレーで塗装してあります。

それらの壁は見る角度や見る時間によって、刻々と表情を変え、新しい発見と喜びを住み手にもたらしてくれる、という控えめながら細やかで心憎い建築家の配慮です。

そして、 そこにゆったりとした無垢材のソファやTVボードが置かれ、イタリア・フロス社のトロメオ(照明)が灯され、好きな本を片手にお茶と読書を愉しむ時間が始まる、そんな家主のライフスタイルが生き生きと浮かびあがるような上質な余白こそ、山田さんの設計の真骨頂かも知れません。

 

「建物をリノベーションするのは、まさに手作りの作業」

と語る山田さん。

その建物にも、新しく始まる暮らしにも寄り添い、 建築家ならではの自由な発想をプラスした繊細なものづくりの精神が、そこにあるのではないでしょうか。

 

余分な梁があれば、無理に隠さずデザインの一部として視覚的効果を狙い、壁は生活の背景としてふさわしい繊細な色みで塗装したり、タイル貼りにしたりして、その質感で遊んでみる。 床は、裸足で過ごしたくなる心地良い無垢材を。そこに「テーブル ピュア」や「Vチェア」などお気に入りの家具があることで、居心地のよい空間が完成します。

 

足もとがスッキリとした「デスク エミネント」と「オープンシェルフエミネント」。無垢材を削りあげた造形の流れるような曲線がなんとも美しい。

 

スポットライトの下には、「コートスタンド エミネント」を置いています。さりげない光と影が柔らかな雰囲気を演出しています。

 

「キュリオケース エミネント」が置かれると、暮らしの息づかいが感じられるようです。

 

玄関へ続く扉は、天井まである「フルハイト」になっていて取っ手もなくすっきりとしたデザイン。「チェア ダン」など随所に配された無垢材チェアも引き立ててくれています。

 

「タタミベッド モデルノ」のウォールナット材が、心休まる落ち着いた空間を演出しています。

 

 

 

 

 

 

 


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