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木の家具と暮らす ~私たちのKAGURA STYLE~ #08

2022.5.17

 

 

建築家 × KAGURA コラボレーション実例【その5】


 

 

建築家の作る空間。

それは閃きやセンスだけではなく、膨大に積み重ねられた個人的な体験や、ノウハウに裏付けられた手作りの作業によって生まれるものづくりに他なりません。

同様に、丁寧な手作業による上質なものづくりを目指す家具蔵の仕事が建築家、その空間と響き合い、見事に形となった個性豊かなインテリア実例を、建築家へのインタビューと共にご紹介します。

 

植本計画デザイン


 

 

植本 俊介さんは、東京大学工学部建築学科卒業、同大学院都市工学修士課程を修了した後、株式会社曽根幸一・環境設計研究所を経て独立されました。

1998年に植本計画デザインを設立し、「東京建築士会」に所属しています。

「プロトハウス」登録建築家でもあります。

 

薪ストーブを中心とした吹抜けのダイニングには、「テーブル ヴィンテージ」「アームチェア ヴォーグⅡ」「チェア ゼン」をとり合わせています。デザインも座り心地も異なる椅子が「テーブルで過ごす時間に変化を与えてくれる」と言います。

 

苗床のような「伸びしろ」がある家を 


 

 

―植本さんは、よく構造を見せるデザインをとり入れていらっしゃいますね。

私が独立して最初に設計したのは実弟の家だったのですが、実はそこでもとり入れています。

ずっと木造住宅でやってみたかったことだったので、「どう?」と聞いたら弟も快諾してくれて。

私はやはり、日本古来の「木の家」が好きなのです。

それも骨組みだけの上棟式の時が一番きれいなのではないかと思う。

そのあと隠していくのはもったいないと思うほどです。

 

「適材適所」の機能美を活かした住まい


 

 

―構造体が持つ「機能美」のようなものでしょうか?

そうですね。

そのような美しい構造体を壁の中に収めてしまうより、建物を支える本当の骨格としてそのまま見せるデザインにしたいという思いが常にあります。

ただ、すべてを真壁(柱や梁など建築を構成する構造物をそのまま見せる、昔ながらの室内空間)にしてしまうとちょっとうるさくなってしまう。

現代の家は昔のような、がらんとした空間ではなく家具もいろいろ置かれます。

サッシや建具の収まり、断熱なども考えると真壁は意外と難しいのです。

だから、天井部分や構造の力強さを表現できる梁を整理して見せるようにしています。

それに、木材だけにこだわらず、柱を少なくして空間を大きくとりたい時などはコンクリートも使います。

素材としての荒々しさも悪くない。

それは言ってみれば「適材適所」という事です。

いいとこ取りの「混構造」も結構好きなんです。

 

―現代の建築に必要なものは何だとお考えですか?

非常に緻密な空間構成やおさまりでデザインされている、現代のモダン建築はすごくきれいで好きなのですが、少し窮屈さを感じるところがあります。

シンプルで、全体としてはゆったりとしているように見えながらも、実はソファの置く位置や向きまで決め込まれてしまうことも多いのです。

しかし、そこで想定外のことが起きたらどうするのだろう、とも思います。

10年、20年と年月を経るにつれて、家族構成や住まい方だって変わってきますから。

逆に昔のような囲炉裏を囲んだ部屋と縁側があるだけ、というような、ざっくりとした空間のほうがよっぽど居心地が良かったりするものです。

モダン建築にもそういう懐(ふところ)というか、「余白」が必要なのではないでしょうか。

考え尽くすのではなくて、敢えて考えないところもあるというか。

苗床のようなものとして、家の骨格だけはしっかりつくって、あとは自由に育てばいい。

長く住んでいく家にするためにも、必要な部分だと思いますね。

 

吹抜けには庇のついた天窓も設置。太陽の位置が高い夏の強い日差しは庇で遮られ、逆に低い冬の太陽光線は暖かい陽光として部屋の奥まで届く仕掛けとなっています。

 

キッチンにはカウンターテーブルを併設し、座り心地の良い「カウンターチェア ノヴェル」を並べています。吹抜けのダイニングとは、2本の木の柱と一体化したような透明なガラス引戸を使って空間のつながりを損なうことなく仕切れるようになっています。

 

こだわりの施主が選んだ暮らし(柴崎邸/埼玉県)


 

この家の中心となったのは、薪ストーブが置かれた吹き抜けのリビングダイニング。

存在感のある無垢のオーク材を敷きつめたフローリングと、新月伐採されたという天竜杉の構造体が見える天井、同じ天竜杉の羽目板が、広い空間に小気味良いアクセントをつけています。

「天竜杉には伐採方法を含めいろいろな言い伝えがありますが、それよりも時間をかけて天然乾燥させる思い入れや、どこの山で探れたかを明確にしたトレーサビリティの部分に共感しました」

とのことです。

建材もしっかりしたものを選びたいと語る植本さんですが、施主の柴崎さんも実はかなりの建築マニア。

ものに対する思い入れも深く、本当に気にいったものを探す手間は惜しまないといいます。

そんな感度の高い施主が自宅として最終的に選んだのが、植本さんのつくる木の家でした。

あくまでも奇をてらわず、心地良さを追求したデザインに、長くゆったりと住める未来が見えたのだといいます。

家具もまた、じっくり時間をかけて揃えられました。

 

植本さんは先入観にとらわれない建築をモットーにしているといいますが、ダイニングから2方向にのびた階段もまた個性的。

その分廊下がなくなり、広々とした吹き抜けが完成しました。

さらに薪ストーブの排熱を利用し、ダイレクトゲインと組み合わせたソーラー床暖房システムを構築。

まさに、天然素材に癒されながら、建物の機能性から生まれる美しさや、実用性までも兼ね備えた魅力的な住まいとなっています。

 

 

この空間の中心に据えたのは、ミズナラの大木から採れた美しい板目模様を左右シンメトリーに並べたようにハギ合わせる「ブックマッチ」タイプのテーブル。

この家の床材のオーク=ナラとは異なる最上級の家具材ならではの繊細さ、清々しさの宿る、この家と家族の「拠り所」となりました。

天井に見える構造材の梁が程よいピッチでリズムを生み、ダイナミックな空間に絶妙なアクセントを与えてくれています。

 

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