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アメリカンブラックウォールナットとヨーロピアンウォールナットの違いとは

2022.8.27

 

 

ウォールナットにも産地によって違いがある


 

 

当代きっての人気樹種「ウォールナット」。

古今東西、このウォールナットの人気は衰えを知らず、多くの人の支持を集めます。

人々を魅了し続けるこのウォールナットは、クルミの実が生る木でもあります。

クルミは古代には今よりもはるかに価値の高い貴重な食糧として利用されており、ここ日本でも縄文時代の出土からオニグルミを中心として食糧に用いられていた事が分かっています。

このウォールナットですが、私ども家具蔵でも人気の高い北米産のアメリカンブラックウォールナットの他に「ヨーロピアンウォールナット」と呼ばれる種類も存在します。

同じ「ウォールナット」の名前が付いていますが、産地によってはその風合いも異なります。

 

ヨーロピアンウォールナットとは


 

ヨーロッパを中心に広く食用として親しまれているヨーロピアンウォールナット。

もともとバルカン半島から中央アジアまで、イランや中国南西部、ヒマラヤ山脈にまたがる広い地域で自生をしていました。

そのため「ペルシャウォールナット」とも呼ばれています。

このペルシャという地域名がついたウォールナットがヨーロッパのクルミの歴史の始まりでもあります。

紀元前4世紀、当時のアレキサンダー大王が南西アジアを征服したあと、古代ギリシャのマケドニア王国に「ペルシャのクルミ」を持ち帰ったことがその始まりです。

当時から最高級の木材としても評価される一方で、品質の良いクルミの実は大切な食糧源として、そして搾取することで得ることのできるクルミ油は風味豊かな食用油としても重宝されました。

クルミの学術名である「ユグランス」は、ラテン語の「ジュピターの実」に由来します。

ジュピターはギリシャ神話やローマ神話などに出てくる全能の神の事です。

この様に古代ローマに於いてもクルミの木はローマ人の生活に欠かせないものとなりました。

その後ローマ帝国が拡大するにつれて、このクルミの栽培地域も拡大をしていき北アフリカやイギリスまで広がっていきます。

このヨーロピアンウォールナットも産地によって、イングリッシュウォールナット、フレンチウォールナット、イタリアンウォールナット、ジャーマンウォールナット等と名前を変え、その土地の人々の暮らしに根付いていくようになります。

ヨーロピアンウォールナットはクルミの実だけではなく、木材としても耐久性や光沢、そして何より材面に現れる繊維構造が生み出す模様が宝石の様にも例えられ、多くの木工職人から高い評価を得ていました。

その後17世紀に入り、イギリス人入植者によってアメリカ大陸にもヨーロピアンウォールナットが持ち込まれます。

1800年代初頭にはスペイン人修道士によってカリフォルニア地域に持ち込まれた記録もあります。

北米全体でも広がりを見せたヨーロピアンウォールナットですが、アメリカンウォールナットよりも材として色合いが薄いことが特色です。

薄い茶系が特色のヨーロピアンウォールナットに対し、アメリカンウォールナットはより深い色合いが特徴のひとつです。

同じウォールナットの名前でも、素材とした際にその風合いが異なるのです。

 

ウォールナット同士のハイブリッド種であるクラロウォールナットの歴史


 

 

「クラロウォールナット」という種類のウォールナットがあります。

北米サクラメント川上流に自生し、その深みのある豊かな色彩と、時にマーブル模様のような木目を生み出すクラロウォールナットは見る人を魅了する木の一つです。

元々クラロウォールナットは人工的に作り出した木です。

この木の歴史は1800年代にジョン・ビッドウェルという一人の紳士から生まれます。

アメリカの開拓者であり農学者であったビッドウェルは、カリフォルニアの入植に尽力し、半世紀にわたってその政治に積極的に関与し続けました。

1820 年代にクラロウォールナットの木の根系が強いことに気づいたビッドウェルですが、収穫できるクルミはあまり多くありませんでした。

その為、このクルミ​​の木にフランスや英国のクルミの木を接ぎ木し、カリフォルニアで最初のクルミの木立を始めました。

つまり、「より美味しいクルミ」を作ろうとしたのです。

しかし残念なことに、このいわば「ハイブリッド種」から生まれるクルミの実は、在来種に比べて格別美味しいものとはなりませんでした。

しかし、木材とした際に、その存在感は他とは一風変わったものとなります。

立ち木の状態では、接ぎ木による生体反応によって通常のアメリカンブラックウォールナットよりも樹高は低く、ごつごつとした形状の樹形の物が多く生まれました。

この樹形が製材した時の木の紋様として、得も言われぬ魅力的な木目や色合いを映し出すようになったのです。

樹高の低さと元々の生育している本数自体が少ないことからも、たいへん希少性の高い木でもあります。

その為、木材としての価値は大きく高まり、クラロウォールナットを用いた家具や楽器は、その希少性も相まって唯一無二の価値を私たちに与えてくれるようになりました。

 

住宅に限らず、歴史的な建築やラグジュアリーな空間でもおおいに活用され、その高級感溢れる風合いから今でもウォールナットは世界中から垂涎の的として扱われます。

家具蔵各店ではアメリカンブラックウォールナットで作られた無垢材家具を豊富にディスプレイしています。

最寄りの店舗で深い色素から移り変わる経年変化や個性豊かな木目の数々など、銘木たるゆえんをぜひご堪能下さい。

 

アメリカンブラックウォールナットの無垢材家具を使用した事例はこちらから

 

 

 

 

 


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