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日本人と木の「長く、深い」関係とは?

2024.1.26

 

 

日本の国土の約7割は森林に覆われています。

国土に占める森林の割合は世界平均で約3割と言われている中で、北欧のフィンランド、スウェーデンに次ぐ世界3位の森林率を持っているのが日本という国なのです。

世界の森林には人の手によって作られた「人工林」もあるなかで日本の森林の半数は天然林であり、その自然に囲まれた私たち日本人は木に対する感受性も豊かに、そして愛着も強く持っています。

そのような国土を持つ日本では、古くから木を活用した暮らしが根付いています。

日本人と木は古代より長く深い関わりがあるのです。

 

木の暮らしや文化における位置付け


 

 

縄文時代の集落跡である青森県の三内丸山遺跡は、縄文時代当時の文明を紐解くものとして有名です。

この跡地から木を使った住居や木の実を食していた痕跡などが見つかりました。

またこの遺構の中には有名な六本柱建物跡があります。

この柱に使われたクリの大木には構造材としての役割と共に、一説には遠くの山に落ちる太陽への信仰があり、柱を天と地の架け橋にしていたとも言われています。

縄文時代から人為的にクリを植林して住居などの柱に使い、またその実は貴重な食糧となるなど当時から人の暮らしと木には密接な関わりがあったことが分かります。

今から1万年以上前の時代のことではありますが、現代でも同じように木を使って家を作り、また木の実を食料とするなど木との付き合い方が今でもそのまま残っていることは感慨深いことでもあります。

 

神話の中にも出てくる木


 

 

日本最古の歴史書として有名な「古事記」や「日本書記」にも数々の木が登場します。

例えば神話の書でも有名なスサノオノミコトの説話の中に、とても興味深い木の話が出てきます。

「日本は島国だから、舟がなくては困るだろう。

そこでスギとヒノキとマキとクスノキを生んで、ヒノキは宮殿に、スギとクスは舟に、マキは棺に使えとそれぞれの用途を教えた」

というくだりがあります。

これはそれぞれの木の持つ特性を良くあらわした使い方でした。

例えば舟材として名前の上がったスギやクスなどは水に強く、腐りにくい特性を持っています。

大阪を中心とする地域から発掘された古墳時代の舟がほとんどクスノキでできたものであり、登呂の遺跡から発掘された田舟、田下駄はスギ材が用いられていました。

このことからも、その木の特性が古くから私たちの暮らしに活かされてきたことがわかります。

また日本最古の丸木舟と言われる縄文時代前期の福井県三方町の鳥浜貝塚から出土した丸木舟は全長約6メートル、幅約60センチメートルという大きさのスギの木をくりぬいて作られており、水への強さだけではなく加工がしやすいというスギ材の有用性を表しています。

宮殿に用いる、と例えられたヒノキについては世界最古の木造建築である法隆寺に使われるなど、建築用材として過去の歴史の建造物跡からもヒノキ材を用いたケースが多く見受けられます。

ヒノキは伐採されてからも強度が高まり、およそ200年後にピークを迎えると言われています。

1000年後でも伐採時と同じ強度を保つ程の耐久性を持つという驚くべき強度を持った木です。

最後にマキについて、現在「マキノキ」というとイヌマキの事を指しますが、このイヌマキは純粋な日本固有種ではありません。

その為、ここで言われるマキとは木曽五木の一つでもあるコウヤマキの事を指します。

古代からの木棺には良く見受けられ、脂気が多く腐りにくい特色を持つコウヤマキはその後、水桶や橋杭などにも活用されていきます。

戦前の風呂桶はほとんど木で作られており、その用材は関東では高級品はヒノキ、普及品はサワラでしたが関西ではコウヤマキを最高の風呂桶材としていました。

何より驚かされることは、それぞれの木の特性を古代の人々は理解していたということでしょう。

それぞれの木にどの様な特徴があり、その木を活かすには何に用いることが最適かを先人たちの知恵と経験が、現代の私たちの暮らしにも結び付いています。

 

木は信仰の対象でもあった存在


 

 

私たち日本人の思想の中には、自然と密着した民族的文化が根付いています。

人は自然の森や林の中に安らぎを感じ、またその樹形に美を感じることもあります。

それだけではなく、古くから人にとって木は信仰の対象にもなっていきます。

「ご神木」という言葉がありますが、人は木の中に精霊や神様といった目に見えない尊いものが宿る存在と考えられていました。

自分たちが暮らす土地を守ってくれる存在として、天高くそびえる巨木にお供え物をし、手厚く祀ります。

やがてその土地の信仰の対象として「ご神木」と言われる木が日本の各地に存在していくようになりました。

このように木は私たちの暮らしに必要不可欠な存在であると同時に、心の拠り所としての象徴ともなっていったのです。

 

 

私たちが暮らしの中で接するものに木を使うことは、勿論木の持つ特性や効能もさることながら古くから日本人の思想に根付いている木に対する関わりが、暮らしに心の安らぎをもたらしてくれる存在であることは間違いの無いことかもしれません。

そして私ども家具蔵も、その木を使って家具作りを行います。

100年生きたものを100年使えるものとして。

そうした思いとともに先人の残した伝統的な技法を現代に、そして未来に継承しながら今日も無垢材の良さを多くの方に伝えています。

 

家具蔵の家具作りについての詳細はこちらから

 

 

 

 

 

 


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