無垢材家具の樹種選びに「堅さ」は重要か
2024.4.11
堅さは最優先のポイントにしなくてもよい
無垢材家具を選ぶうえでのメリットのひとつに「傷がついても味になる」「その傷は修復可能である」というものがあります。
それが分かっていても、大事に使ってきたテーブルに傷を発見した時はショックを受けることは珍しくありません。
お気に入りのものはできるだけ長い間、きれいに保っておきたいと考えるのは当然のことかもしれません。
傷が付くのは避けたい、それならばできるだけ傷が付かないくらいの堅さを持った樹種を選びたいと考える人は少なからずいます。
実際に私ども家具蔵の店舗でも「どの木が一番堅いですか?」「これとこれはどちらが堅いですか?」といった、「木の堅さ」についての質問を受けることもあります。
確かに樹種によってそれぞれの堅さは異なり「この樹種はこちらよりも堅い」とお答えすることはありますが、同時に「そこは重要なポイントにはならない」こともお伝えしています。
なぜ、「堅さ」が樹種選びにおいて重要なポイントにはならないのでしょうか?
どれだけ堅くても傷が付くときは付く
それは誤解を恐れずに言えば「どれだけ堅くても傷が付くときは付く」からです。
家具蔵でも取り扱いのある「堅い木」の代表格は「ハードメープル」や「ケヤキ」であり、反対に「タモ」などはそのしなりの強さにも影響していますが前者と比べるとその硬度は劣ります。
ではタモ材のテーブルは傷つきやすくケヤキのテーブルは傷が付かないのかというと、そのようなことはありません。
上からものを落とした際には同じように傷みを生じます。
同じ程度の衝撃を受けた際に多少の差があることは否めませんが、それよりも重視してほしい点は無垢材家具選びではたくさんあります。
樹種の話で言えば、空間との相性や自身の好み、少しマニアックに攻めるならその木の性格と自身の相似点など。
あるいは製法や工法のこだわり、そして日常で使用するものですから使いやすさも重要です。
ものを選ぶ際の基準の優先度に決まりはありませんが「堅くても傷が付くときは付く」と考えれば、それを基準に選ぶのは少々勿体ない気がします。
広葉樹材の方が堅い
ここで木の堅さについて考えていく際に知っておきたいのは「針葉樹」と「広葉樹」の違いです。
世界中の樹木は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分類されます。
それぞれの名前の由来となった葉の形状の他にも構造的な違いもあり、また、特性も大きく異なります。
日本語では、葉の形の特徴で分類名を付けて呼んでいますが、英語では針葉樹のことを「ソフトウッド」、広葉樹のことを「ハードウッド」と堅さで分類して呼んでいます。
例外はあるものの、その英語の名前に象徴されるように一般的に針葉樹の方が柔らかく、広葉樹の方が堅いという特性があるのです。
建物の柱や梁など構造材に針葉樹が多いのは、軽くて加工がしやすいという特徴が建築に最適であることに起因します。
逆に、堅くてキズが付きにくく強度があることから家具材には広葉樹が多く用いられているのです。
針葉樹材で家具が製作されていないわけではなく、そのようなものもしばしば見かけますが、あえて堅さにこだわるのであれば広葉樹材で作られたものを選ぶことをお勧めします。
メンテナンスで傷みは修復できる
繰り返しになりますが広葉樹材でも傷みは発生します。
そして、それが味わいになり、傷が生じても決して嫌なものにはならないのが無垢材家具の魅力でもあります。
もしあなたが選ぶ無垢材家具が無着色仕上げのものなら、経年による色合いの変化がその傷を目立たなくしてくれるかもしれません。
そして無垢材家具はメンテナンスを行うことで生じた傷み、スクラッチの傷やへこみは「無かった」ことにできるのです。
これはいわゆる「削り直し」といわれ、表面を削り、そのうえから塗装を再塗布することを意味しますがシート状のものを表面に貼り合わせたようなものではこうはいきません。
そのようなものは表面と内部が違うもので構成されており、貼り付けたものに生じた傷を削って直すというのは少々無理があるためです。
自身でサンドペーパーなどを当てて補修する方法から、購入先や専門業者に依頼をするなどその方法は仕上げ塗装などによってもまちまちですが、スクラッチによる傷・打痕によるへこみの類は一部の例外を除いて綺麗に修復できるのです。
樹種選びは暮らしの相棒選び
テーブルをはじめ家具はすべて「暮らしの道具」という側面を持っています。
傷を付けないようにこわごわ使用する、あるいは他の誰かがどのように使うかをじっと見て気にする、というのは少し味気無さを感じることになり、また、疲れてしまうでしょう。
家具蔵では、数ある広葉樹材の中でも家具材に最も適した強度・耐久性と堅さを兼ね備えた樹種をラインナップしていますが、やはり傷は生じます。
それをふまえて表面に付いた傷は直そうと思えばいつでも直せると思っていれば、傷を付けないように使う必要はなく、普段使いとして便利に使うことができるものとなります。
その点を含め、樹種の選択は身近な場所で長く一緒に暮らす相棒選びでもあります。
堅さを基準に選ぶよりも、樹種それぞれの個性を知って選ぶことをお勧めします。
家具蔵各店では、樹種をより身近に感じていただけるように個性や特徴をお話していますのでお気軽にスタッフにお声掛けください。
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