「板目」「柾目」の違いと特徴とは
2022.8.10
目次
木目というものの存在と表現
家具に限らず、建築やその他木工のものに触れる際に必ず目にするものに「木目」があります。
強く鮮やかに目に映るものもあれば、穏やかなものもあり、等高線のように見えるものや直線状に出てくるもの、いわゆる「杢(もく)」と呼ばれるその樹種ごとに独特なものとして表れるものまで含めればその種類は非常に多様です。
木目にはその樹種ごとの特徴やその木特有の表情が表れ、世界に一つだけの「顔」を見せてくれます。
そして、木目を表現する際に使用する言葉は豊富に存在します。
「はっきりとしている」「整っている」「すっきり見える」…。
まるで人の顔を評しているかのような表現です。
木目とは何か
「木目」とはつまるところ、木の生長過程のなかで生まれた「模様」のことと言って差し支えないでしょう。
樹種によって異なることは当然のことながら、製材する位置・角度によっても様々な見え方となります。
ここで混同されがちな言葉に「木理」というものがあります。
木目は製材された状態のものに使用する言葉で「木理」は立ち木の状態の際の表情に使用する表現です。
木理は繊維の向きによってさらに分類されます。
直線状の「通直木理」、そうではないものの総称である「交走木理(波形・螺旋・交錯などに細分化されます)」などがあります。
木目はいわば木が環境に適応しながら生長した痕跡であり、育った環境や生長速度によって異なります。
板目と柾目の違いは家具の見え方を変える
木目を語るうえで、よく頻繁に出てくる表現の中で「板目(いため)」「柾目(まさめ)」というものがあります。
例えば、家具でも扉でも床でも柱でも、おおよそ木材によってできているものであれば、この「板目」「柾目」がどのように出ているか、あるいはどのようなバランスでその躯体の中に表現されているかでそのものの印象が大きく変わることもあります。
いわば、木工製品を語る、あるいは見るうえではデザインと言って良いものでもあり、特にこれから一枚板天板や無垢材家具を検討する人にはぜひ覚えておいてもらいたいポイントです。
切り出し方によって板目と柾目が出るかが変わる
木目というものは原木から板状に切り出す際に「年輪に対し、どのように切っていくのか」という点で違いが生まれます。
わかりやすく言うと、板目のものを切り出したい場合は年輪に対して平行に、柾目のものを切り出したい場合にはほぼ直角に切っていくことで違いが出るのです。
板目の特徴
原木を上から見た状態で平行に切っていくと、山のような形状の木目が現れます。
これが板目です。
木目がタケノコ状、あるいは等高線状のような不規則な波形をしており、それぞれにおいてもまた特徴的な表情が出ます。
柾目の特徴
原木の中心に向かって直角に切っていった際に現れる、平行な木目を柾目といいます。
直線基調の表情であり、板目と比べた際にはよりすっきりとした印象を与えてくれるのが柾目です。
板目と柾目の印象の違いは
同じ樹種・木材でも板目と柾目ではその印象が大きく変わります。
板目がもつ表情は1つ1つの違いがはっきりしていて、まさしく「1点もの」といった感が誰の目にもわかりやすく、その印象も強くなります。
よりユニークな表情が表れやすいことから、一枚板天板などで中央に現れる板目部分はその検討の際には大きなポイントとなるはずです。
柾目は直線状の木目が整然と並ぶので全体にすっきりした印象です。
真っ直ぐに流れる木目は空間を涼やかに、「凛とした雰囲気」の空間にまとめてくれるのに一役買ってくれます。
当然、そのどちらにも良し悪しはありません。
一枚板天板などは、一枚の板に板目と柾目が共存しています。
中央に板目があり、その両端に柾目が配置されるのですが、板目の力強さと柾目の凛々しさを一枚の中で感じることができ、その木のすべてを味わうことができるといえるでしょう。
家具蔵の「木取り」と無垢材家具づくり
木工職人は木目をその木の「生き様」と考えます。
家具をはじめとして、木材でものを製作する際には、その生き様であり、印象を大きく左右する木目を最大限に活かすことができるようにパーツ取り、すなわち「木取り」をしていきます。
「木取り」とは木目をデザインとして考え、家具のどこにどの木目を使うか考えながら部材を出していく作業のことです。
デザイン以外にもいわゆる「歩留まり」や繊維の向きによって強度も変わるので、非常に大切な作業です。
板目と柾目の板を切り分け、適材適所で部材にしていきます。
私ども家具蔵でも無垢材家具づくりにおいて適材適所に「板目」「柾目」を使い分けます。
それを可能にするのが目利きの人間による現地での細かな原木の選定と直接の原木買い付けです。
細かい指示と厳格な立会いの下での製材を経てそれぞれを一本ずつ天日の下で自然乾燥させながら十分な自然乾燥と、
現代の気密性の高い室内でエアコンや床暖房などにさらされる木にとっての過酷な使用状況を考慮しての機械乾燥及び養生を行い、その後に熟練の職人による木取りを経て家具へと生まれ変わらせていきます。
無垢材とは「生きている」木材です。
その無垢材で作った家具は、経年変化で美しく表情を変えながら、いつまでも感動を与えて続けてくれます。
それは飽きの来ない、見て楽しく、使って嬉しい、暮らしのパートナーです。
木は地球が育んだ大自然の象徴。
人は衣・食・住の様々な場面において木の恩恵を受け続けています。
人にとって木はまさにパートナーというべき掛け替えのない存在です。
その木を暮らしの中に取り入れ、生きている家具と共に暮らすことで、日々の生活がより豊かに、そして快適なものへと変わっていくことでしょう。
このコラムを通じて木目の魅力、特に板目の持つ魅力に興味を持つきっかけになれば幸いです。
家具蔵各店で、様々な展示から木の持つ豊かな表情を見てとれます。
お近くの店舗で実際に体感してみてください。
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