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「テーブル ヴィンテージ」が出来るまで その1

2020.1.15

 

一本の原木との出会い


家具蔵の代表的な商品のひとつ「無垢材テーブルヴィンテージ」

この製作は一本の原木との出会いから始まります。

家具蔵では、他業者などの人任せにせず、長年の経験による目利きが自ら産地にまで足を運び、で、ごく僅かな大径木の中から良質な原木を一本一本吟味して選び抜きます。

猛吹雪のなか、命懸けで雪深い現場に足を運んだとしても、毎回形の整った「大径木」に出会うことができるとは限りません。

大径木の原木に出会えたとしても、丸く形の良いもの、髄が中央を通っているものなど、家具蔵の無垢材テーブルヴィンテージの品質に見合うグレードなのかを見極めなければなりません。

時には、良いモノを見極めるために、将来欠点となり得る要素が無いか地面すれすれまで顔をつけ、泥だらけになりながら観察し、そこに妥協の余地は無いのです。

なぜ、そこまでするのか。

それは「無着色」でつくるため。

テーブルに限らず、無垢材家具の魅力の1つに木目の豊かな表情をそのまま味わうことができる点にあります。

木目自体もデザインと考える。

長い年月を経て育った木は、年輪や木目が同じものは一つとして無いからです。

また、使用するうちにできた傷なども味わいとして楽しみ、メンテナンスを行うことでずっと長く使ってほしい。

そこに無着色であることの理由があり、無着色の無垢材家具は時間の経過とともに色合いが変化し、深みや味わいを増していきます。

お届け後からともに時を重ね、傷さえも味わいの一つになりながら世界に1枚だけのテーブルに育つのは無垢材・無着色の大きなメリットです。

この原木仕入れが、家具蔵の無垢材テーブルだけでなく、無垢材家具製作そのものを支える原点となっています。

 

手に汗握る「製材」という工程


原木から木材に生まれ変わる瞬間が「製材」です。

製材する前には、原木の表面の皮(樹皮)を剥ぎ落し異物などが紛れ込んでいないか、丁寧に確認しなければなりません。

なぜなら、樹木も百年を超える年月を生きていくなかでは、人(人類)の生活と密接にかかわる個体もあります。

電線が巻き付けられ一時的に電柱の役割を担うものであったり、牛をつなぎとめる鎖が巻き付けられていたものであったり、猟師が銃を撃った流れ弾が当たってしまったモノなど…。

そのようなモノが含まれていないかを細かく調べてます。

きびしいチェックをクリアした原木は、木目の流れや形状、内部の状態を見極め、鋸を挽く位置や角度、厚みなどを一本一本、一枚一枚ごとに決めて指示を出し製材します。

どういった挽き方をすれば、どういう木目が出るのかをイメージして指示を出しているのです。

これは、長年の経験と探求心を持つ目利きの職人だからこそ出来る技と言えます。

この製材という段階で万が一失敗してしまうと、原木一本が丸々無駄になってしまうことも。

それほど、この製材で鋸を入れる瞬間は現場に緊張が走り、手に汗握る現場となるのです。

そして、製材を終えた材は、次の行程「乾燥」に進んでいきます。

 

「時間」と「技術」の自社乾燥


家具蔵では、家具にするための材を自社工場で、気の遠くなるような長い時間をかけ天然乾燥(自然乾燥)と技術と経験に基づいた人工乾燥の両方の乾燥を行っています。

木材を天然乾燥させるために必要な土地。

樹種によって乾燥機を使い分けるなどの、世界最高水準の乾燥設備。

ここまで乾燥にこだわっているのは、無垢材家具をお届けした後も、長く使い続けていただけるようにするために、欠かせない工程だからなのです。

家具蔵では、常時25を超える世界中の銘木を扱っています。

育つ地域が違い、それぞれが違う個性を持つ材を極めてクオリティの高い状態に仕上げることは、2~3樹種のみを扱うよりも比較にならないほどの緻密な計算と職人の経験や勘が頼りとなります。

そこには、あえて難しい仕事に挑むという職人の心意気が現れています。

目利きの人間が現地まで赴いて細かな観点で原木を選定し、製材を経てそれぞれを一本ずつ天日の下で自然乾燥させながら海外のものでも日本の気候に馴染むようにじっくりと水分を抜いていきます。

含水率(木の中の水分の保有量)が12~13%までになるまで自然乾燥しながら、その間は風通しを良くするための桟棒を挟み、積み重ねて保管。

さらに、現代の気密性の高い室内でエアコンや床暖房などにさらされる木にとっての過酷な使用状況を考慮して、含水率を6~7%になるまで機械乾燥及び養生を行うのです。

家具となった後の環境に適応できるよう管理を徹底しています。

この天然乾燥は、日本には四季がありますので、最低でも1年以上の時間を掛け、樹種や材の厚みによっては5年から10年以上の年月を要するものまで存在します。

この工程を経ることで、一度極限まで耐え抜いた木はその過酷な環境を実感しているので、家具となって住空間に入ってからより安定性が高まり、安心してお使いいただけるようになります。

 

自然を相手にする仕事


家具蔵が扱う無垢材は、自然からの賜りものです。

人間が一人ひとり、違う個性を持っているのと同じで、木も様々な樹種があったり同じ樹種でも個性がちがったりと様々です。

その木を乾燥するのに必要なのも太陽光や風など、毎日・毎年同じとはなりません。

天候は都合よく人の手でコントロールすることはできません。

日々刻々と変化する天候や一本一本異なる個性を持った天然木を前に、職人たちは長年の実績と常に新しいことに挑むことで、難しい仕事に取り組んでいます。

 

無垢材テーブルヴィンテージが出来るまでには、まだまだ数多くの大切な工程が残っています。

この続きは次回の「テーブルヴィンテージが出来るまで その2」で詳しくご案内します。

 

無垢材テーブルのある暮らしの事例はこちらから

 

 

 

 


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