テーブルとチェアの色・素材・デザインは揃えるべきか?
2023.11.5
ダイニングテーブルとダイニングチェアはいわば「対」の関係であることから両者の組み合わせを「ダイニングセット」と呼びます。
元来はテーブル1台に対してデザインや素材を揃えた椅子の「セット」をそのように呼びますが、結果的に「テーブルと椅子(に準ずるもの、ベンチやスツールなど)の組み合わせ」であればダイニングセットと呼ぶことが通常です。
組み合わせという関係性があるものは、家具に限らずどのようなものにおいても「色」「素材(材料)」「デザイン」などいくつかの要素において「どれとどれを選ぶのが正解か」という点が常に課題となりえます。
洋服でも料理でも、あらゆる分野でそれは存在するものです。
ダイニングセットにとってそれは「テーブルとチェアの色や素材は揃えるべきか否か?」というものになります。
テーブルも椅子もインテリアであり道具であるという観点
テーブルは食事や作業をする「台」、椅子は自身がそこに座って食事や作業を行い、あるいは寛ぐものである、いわば暮らしの道具です。
同時に住まいの空間を彩るインテリアでもあるわけで、そこには「インテリアコーディネート」が発生します。
インテリアコーディネートでは色のバランスと統一性を保持することがひとつの基本的な考え方となり、その考え方からいくとテーブルとチェアは相互に揃っている要素(色・素材・デザイン)があるものが統一感も生まれ、また、空間を俯瞰で見た際の全体の統一感にも繋がります。
これに基づいて考えた際に「テーブルとチェアは同じ素材や色である」「椅子も複数あるならすべて同じものである」ことが好ましいという結論が出るのも頷けます。
それ自体は間違ってはいないのですが、ここで忘れてはいけないのは特にチェアが「身体を預けるものである」という観点です。
身体を預ける、つまり常に身体に触れているものである以上、それに対する感覚は人によって異なります。
1人が「これは座り心地が良い」と感じても、違う人にはそう感じないかもしれません。
そうすると、誰かにとっては居心地の良い空間であっても、他の誰かにとってはそうではない、つまり居心地の悪い空間になることもあり、それは避けたい事態です。
それを避けるためには椅子のデザインは揃っていなくても良い、と考えるほうが皆それぞれ快適に過ごせるはずです。
異なる椅子を選んだうえで大切にする規則性
この考え方で座り心地という「感覚」は全員が満たされます。
そこでインテリアとしてのダイニングセットという視点に立ち返った場合、例えば4脚が全て異なるものではやはり違和感があるのではないかという気もしてくるでしょう。
その解決法は「規則性」にあります。
まずはデザインが違っていたとしても「テーブルと色や素材を揃える」ことでまったく統一感が無く、ただ好きなものを選んだだけ(本来はそれでも良いのですが)というようには見えづらくなります。
見た目としても「素材や色を揃えた」という規則性があることで統一感を持ったダイニングスペースとして目に映ります。
あるいは椅子の高さを揃える、ということでも良いでしょう。
これも規則性を持っているといえます。
後にも触れる「テーブルとチェアの色や素材をあえて変える」際にも有効です。
全てを同じ(程度の)高さとしなくても、2脚ずつ「背の高いもの」「背の低いもの」で揃える規則性を持たせることはその場の過ごし方の自由度を拡げる意味でもお勧めと言えます。
それぞれが欲しい座り心地、つまり快適性を求めたうえで統一感を損なうことなく空間の格上げを行うことは可能であり、「見て使って心地よい家具がある暮らし」を実現する一手となります。
テーブルとチェアの色・素材を変える場合のテクニック
あるいはテーブルとチェアの色や素材をあえて変えるというコーディネートもあります。
この場合、心掛けておきたいのはテーブルよりもダイニングチェアの色合いは濃くする、という点です。
家具蔵で扱う樹種であれば「ナラ材」のダイニングテーブルに「ウォールナット材」のチェアを合わせる、もしくは「チェリー材」のテーブルに「サペリ材」のチェアを合わせるという具合です。
逆のパターン、つまり色の濃いテーブルに明るい色調のテーブルを合わせてはいけないということではありません。
それが好みならそれで全く問題はないのです。
ただし、面積が大きく、目に映る範囲も広いテーブルに濃い色を持ってきたうえでそれよりも主張が弱くなる明るい色調のチェアを持ってくるよりも「差し色」としてチェアを利用することで互いの家具が映え、空間も引き締まります。
内装や家具すべてが同じ素材(あるいは同じような色調である)であれば、そこにアクセントを持ってくる意味で試してみる価値はあるテクニックです。
私ども家具蔵では無着色にこだわって家具を製作しています。
それは木材という自然の恩恵を受けたものの魅力を最大限引き出したいがため。
森や山には多様な植物がいて、色とりどりの表情を見せてくれますが、それらが破綻して見えることはありません。
私たちが見ている自然素材の色は、様々な色素から生まれた複雑なものです。
つまり「○○色」と定義するのは難しい中では、その組み合わせは一般的なカラーコーディネートの範疇では語りつくせないものとなり、同時にそれはコーディネートの自由度を高めてくれるものとなります。
自然な色合いのものですから、どのような空間にもよく合い、昔からそこに合ったように馴染みます。
それはテーブルとチェアの色合いや素材が異なっていても同じです。
そのうえで自身にとって一番美しく見える組み合わせや選択はどれかをインテリアを熟知したプロスタッフがお好みなどを丁寧にヒアリングしながらご案内しています。
実際の空間での見え方をCGでシミュレートできるサービスも無料で行っております。
お気軽にお声掛け下さい。
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