明るい床には明るい色の家具を合わせるべきか?
2024.6.28
床材の素材や色合いによって家具を選ぶ人が多い
家具の色合いを決めるための要素は多々ありますが、空間との相性を重要視する人は多いでしょう。
フローリングが主流の現代の住まいでは、フローリング材の樹種や色合いから「どのような色合いの家具が合うのか」を想像していきます。
オークやメープル、バーチなど明るい色合いの木からつくったフローリングや床は光を反射しやすく空間の広がりと開放感を感じやすい効果が期待できます。
一方で自宅や新居が明るい床の場合、暗い、あるいは落ち着いた色合いの家具は合わないのか、という疑問も生じます。
私ども家具蔵でも、ウォールナットやチェリーなど濃い色を持つ樹種の家具は明るい床に合わないのでは、というご質問も良くいただきます。
一般的には床の色合いと家具の色合いを合わせると統一感が出てすっきりした印象を与えることができる・広々と感じることができる、と言われています。
しかし、感じ方は「人それぞれ」です。
人の暮らしに正解も間違いも無いように、インテリアや家具の合わせにもセオリーはあっても「ルール」はありません。
その観点から「明るい床には明るい色合いの家具を合わせなくてはいけないのか」を検証していきます。
明るい床に明るい色合いの家具を合わせる
日本は国土面積の約7割を森林が占める世界有数の森林国です。
日本の歴史と文化は縄文時代、弥生時代から現代に至るまで住居や道具、衣類まで木を利用してきました。
日本人にとって木の温もりは生活に欠かせないものです。
明るい色の床は、そんな自然の木の温もりや柔らかさを感じることができ、日本の住居や暮らしによく馴染みます。
明るい床に合わせて家具も木の分量が増えるほど、より自然で温かみのある空間になります。
また、床と家具の色を明るい色で統一することで全体に明るく優しい雰囲気を演出することができます。
そのため、窓が小さい部屋・自然光の入りにくい北向きなど、「暗さ」が気になる場合は明るい床に明るい色の家具を選ぶと良いでしょう。
また統一感のある空間は視界を遮るものがないので、解放感を感じ部屋を広く感じさせる効果があります。
小さな部屋や狭さが気になる場合は、床と家具の色を明るい色で統一する事で圧迫感を軽減することができます。
一方で明るい色で統一しすぎてしまうと、逆にのっぺりとしてメリハリがなく、部屋全体が野暮ったく見えてしまうこともありえます。
オーソドックスな方法として床と家具の色合いを合わせたのにも関わらず、なぜか違和感があると感じるなら、それはメリハリがなく間延びした印象になってしまっていることが原因です。
その「間延びした印象」を解消するにはコーディネートにある要素を付け加えるのがポイントです。
カーテン・ラグや小物でアクセントをプラス
それは「メリハリ」。
メリハリは漢字で「減り張り」と書きます。
元は邦楽の世界で使われていた「減り(めり)」「上り(かり)」が語源で、これは演奏中の高低差や抑揚をはっきりさせることを意味しています。
つまり「強調するところは強調し、それ以外は引っ込める」ということです。
明るい床に明るい色合いの家具を合わせる、といった「(ほぼ)同一色でレイアウトを行った」場合、空間はメリハリが生まれにくく、ともすると間延びした印象になってしまします。
それを避けるにはカーテンやラグ、ソファ生地、クッションなど小物の使い方が重要です。
それらで「メリハリ」を生み出すことが可能であり、その効果は空間をより広く見せるといったものも併せ持ちます。
この場合、カーテンやラグも床に近い色を置いてしまうと意味がありません。
同系色を使うのであれば、床よりも少し濃い色を選びましょう。
また落ち着いた空間を目指したい・ほんのりと引き締めたい。
そのような場合は「無彩色」がおすすめです。
無彩色とは白・黒・グレーなど文字どおり彩りの無い色を指し、基本的に他のどの色と合わせても上手く調和します。
黒だと対比が強く目立ちすぎてしまうこともあるため、ライトグレーなど淡い色を選ぶと馴染みが良いでしょう。
このとき、カーテンとラグは互いにできる限り色合いを合わせることがポイントになります。
そのことで、よりシンプルで落ち着いた印象になるはずです。
他にもクッションやアートなどの小物使いで色を取り入れるのもお勧めですが、そのなかで誰でも簡単に取り入れられるのが観葉植物です。
グリーン(緑色)はテイストを選ばず、どんな空間にも馴染む色です。
何か物足りなさを感じる場合は差し色として観葉植物の緑色を取り入れると、空間全体が引き締まって見えます。
さらに植物は背の高い大きなものを選んだり、高い位置に置く・吊るすなど高さ方向に違いを出すことで空間に立体感が生まれ、よりメリハリが効きつつ洗練された空間となるでしょう。
床色と家具の色は合わせなくても良い
一方で、明るい床に濃い色合いの家具、例えばウォールナットやチェリーでつくられた家具は合わないのか、という疑問については「そのようなことはない」と断言してよいでしょう。
空間のなかで浮いてしまうのでは」とも考えてしまいますが、実は相性は抜群です。
ここでも「メリハリ」がキーワードとなり、先ほどは小物使いで生み出していた空間の立体感や奥行き感が家具を置くだけで表現できます。
床と家具のコントラストが強ければ、そこにメリハリが生まれ、家具もとても映えます。
例えばダイニングテーブルは空間の中でも占有率は高く、その印象はとても強いものとなります。
明るい色合いの床の上にウォールナット材やチェリー材のテーブルを置くと、床(や壁)の明るい色との対比で家具だけが強調されます。
まさに住まいの顔となる存在感を出すことも可能です。
ここで気を付けるべきは異なる濃い色合いが点在すると空間のまとまりを作るうえでの難易度は上がります。
視線が散ることで散らかって見えてしまう懸念もあり、床と家具の色を合せない場合は極力家具の色合いは近しいものや無着色でできたもので統一することをお勧めします。
家具選びの際に悩みがちな家具と床の色合い(や素材)との相性。
そこにルールは無いものの「セオリー」さえ大きく外さなければ「合わない」ということはありません。
どこかに意図した統一感があればそれだけでしっかりとまとまって見えます。
そして、そこに日々使う使い勝手の良さ・見た時の満足感・その家具への愛着がプラスされれば心地よい部屋作りへの近道となるでしょう。
そのためのガイドラインとして、私ども家具蔵でも豊富な経験に基づいたアドバイスやシミュレーションの製作などを行いながら分かりやすくご案内しています。
お気軽にお声掛けください。
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