ウォールナットは1種類ではない?
2024.6.30
目次
ウォールナットにはいくつかの種類がある
家具や建築、その他雑貨や道具など多岐にわたって使用されるウォールナット材。
いうまでもなくウォールナットの木から採れた材料なので「ウォールナット材」と呼ばれます。
家具や一枚板を見ていると、このウォールナット(材)にも様々な表記があることがわかります。
ただ「ウォールナット」と記載されているものもあれば「ブラックウォールナット」という記載もあり、あるいはまた違った名称のものを目にすることもあります。
こうなると自身の思い描くウォールナットと目の前のそれは違うのか、など少しわからなくなることもあるでしょう。
基本的に私たちが普段家具店などで目にする(それが無垢材か突板であるかは別として)ウォールナット材は基本的には「アメリカンブラックウォールナット」という北米産のものです。
これが単に「ウォールナット」と呼ばれることもあり、また、「ブラックウォールナット」と呼ばれていることもあるのです。
尚、ウォールナットはつまるところ「クルミ(胡桃)」の木です。
木材として考える場合は、ウォールナットとクルミは、それぞれ別々の木として明確に分類されており、一般的にクルミとは「オニグルミ」(クルミ科クルミ属)のことを表します。
アメリカンブラックウォールナットとオレゴンウォールナットの違いは
日本において「ウォールナット」といった場合、一般的にはこのアメリカンブラックウォールナットのことを表します。
アメリカンブラックウォールナットは、もともとヨーロピアンウォールナットの代替品として見られていた時期もあったようですが、現在では優れた木材として認識されており、高い評価と地位を確立しています。
樹高は30~40m、胸高直径1.2~1.8mに達し、樹幹は真っ直ぐに伸び、廃材率が極端に低いという特徴を持っていることから、コストパフォーマンス的な視点から見ても木材としての価値が高い樹種だといえます。
アメリカンブラックウォールナットの材質の特徴は、安定感があり程よい硬さもあって非常に加工しやすいこと。
また、塗装をしなくても表面がウォールナット特有の艶のある美しい濃い褐色がでる点にあります。
見た目的にも申し分のない非常に魅力的な木材です。
耐久性にも優れており、心材は虫の被害も受けにくいとされています。
家具やインテリアだけでなく、その美しい木目と安定感のある木質は、高級車などの装飾の一部として使われており、様々な分野で不動の人気を誇る存在です。
また、アメリカンブラックウォールナットはマホガニー、チークなどと並び賞される世界的な銘木で、家具の材料としても特に評価されています。
たまに「ハインズウォールナット」という名を冠したウォールナット材を目にすることがあるかもしれません。
こちらは「アメリカンブラックウォールナット」とほぼ同じものと考えてよいでしょう。
オレゴンウォールナットというものを一枚板などで目にすることがあるとしたらそれは「アメリカンブラックウォールナット」のなかでも「オレゴン州で採取されたもの」のことです。
日本でも農産物は産地によって固有の名称で親しまれているものがありますが、それと同じ意味と考えてよいでしょう。
つまり「アメリカンブラックウォールナットの中でもオレゴン産の特別なもの」ということです。
イングリッシュウォールナット(ヨーロピアンウォールナット)とは
ヨーロピアンウォールナットは、ヨーロッパ全域から中東や中国にかけての西アジアに生息するクルミ科の落葉広葉樹です。
イングリッシュウォールナットとも呼ばれることがあります。
家具の歴史の中で明確にウォールナットが特にヨーロッパの王侯貴族の間でもてはやされた時期がありましたが、その時期に使用されていたものがこれにあたります。
アメリカンブラックウォールナットや、オレゴンウォールナットの心材が褐色なのに対して、ヨーロピアンウォールナットの心材は灰褐色で、辺材も淡い色合いをしています。
そして、このヨーロッパ産とアメリカ産のウォールナットを掛け合わせた種も存在します。
クラロウォールナットの出自とさらに“レア”な亜種とは
欧州産と北米産の掛け合わせのウォールナット、それが「クラロウォールナット」です。
クラロウォールナットは、ウォールナットのなかでもより希少で高値で取引される高級種と言われています。
原産地は北アメリカの西海岸に限定されます。
もともとは北米産のブラックウォールナットがまだ成長しきっていない時期に西欧のウォールナットを接ぎ木したものであり、その目的はより美味しいクルミの実を生み出すためでした。
ところが果実自体はそこまでの味とはならず、かわりに美しい木肌・縞模様・瘤杢(こぶもく)を持った稀代の美麗材となったのです。
成長も遅い=なかなか大木には育たず、樹幹が1メートル前後に育つまでには150年余りかかるともいわれるほどです。
つまり樹高も樹幹もあまり大きくならないのが特徴でそれがまた希少性をより高いものとしています。
自然の力と人類の知恵から生み出されたまさにハイブリットなウォールナットと言えます。
この希少種の亜種であり、更に希少性が高いのが「バストゥーンウォールナット(バストーニュウォールナット)」です。
この「バストゥーンウォールナット」はクラロウォールナットがブラックウォールナットと自然な状態で交配したものが「バストゥーンウォールナット」であり、クラロウォールナット自体が希少種のため、この「バストゥーンウォールナット」はより希少価値の高いものとなります。
ニューギニアウォールナットはウォールナットではない
ビルマからインドネシアなど、東南アジアを経て、ニューギニアに分布している「ニューギニアウォールナット」。
アメリカンブラックウォールナットの代用として利用されることも多く、良材は家具用の突板にして用いられていることもあり、もしかすると他のものと同じくウォールナットの仲間であるかと勘違いしそうです。
ところがこれはそもそもが「ウルシ科」の木であり、クルミ科であるウォールナットとは全くの別物です。
そのことでこのニューギニアウォールナットの価値が下がることはありませんが、知っているのと知らないのでは選択の幅が変わってくるというものです。
こうしてみると、ひとえにウォールナットと言っても多種多様な種類が存在します。
私ども家具蔵ではアメリカンブラックウォールナット材を主に使用し、それらは「ウォールナット材」と表記しています。
テーブル、チェアはもちろん、ボード類も全てのアイテムはウォールナット材で製作可能です。
そのため、住まいの家具をウォールナット材で統一することもできます。
当然一枚板天板のストックも充実。
数こそ少ないもののオレゴンやクラロなどの希少種もご用意しています。
ウォールナット材の家具選びに悩まれた際は、お気軽に最寄りの家具蔵店舗へご相談下さい。
家具蔵の無垢材ウォールナット家具のある暮らしの事例はこちらから
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