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「カバとサクラ」~なぜカバがサクラと呼ばれるのか~

2023.1.17

 

 

一枚板天板や銘木を探していると「カバザクラ」という名前に出会うことがあるかもしれません。

「カバ」とはいわゆる「樺の木」であり、「サクラ」は言うまでもなく「桜」です。

樺の木でありながら桜。

植物学上は全く別の樹種です。

それではなぜ樺の木でありながら「サクラ」と名前がつく木があるのでしょうか。

今回はサクラの名前が付いたカバの木、「カバザクラ」についてのお話ししていきます。

 

 

「カバ」の種類にはどの様なものがあるか


 

一言で樺の木=「カバノキ」と言ってもいくつかの種類が存在します。

有名なものは「真樺(マカバ)」「白樺(シラカバ)」「浅田(アサダ)」そして「水目(ミズメ)」。

それぞれの木の特色についてお話していきましょう。

「真樺(マカバ)」は鵜松明樺「ウダイカンバ」とも言われます。

鵜飼(うかい)が松明の材料として好んで使ったという由来からの名称です。

硬さと粘りがありながらいわゆる木工に使用するうえでは「クセ」も少なく、上品な艶のある木肌が特徴です。

北海道では「広葉樹の女王」と呼ばれるほど、気品に満ちた木でもあります。

国産の広葉樹材の中でも1、2を争う最高級材です。

「白樺(シラカバ)」は「シラカンバ」ともいわれ、山地などでは立木の状態で非常に清々しい美しさを見せてくれる木です。

強い陽光の元で育つ、いわゆる「陽樹(ようじゅ)」である白樺は、山火事などで裸地となった場所にもいち早く育つことが出来る木であり、白樺が育つ土地は土壌が豊かになり、その他の樹木が生えやすい環境を作ります。

その為パイオニア樹種とも呼ばれ、土壌開拓の先駆けとなる存在でもあります。

幹の太さはそれほど大きくはならない事と、やや材質が軟質なため家具材などにはほとんど用いられません。

面白いところでは虫歯予防に効果的と言われるキシリトールは白樺の木から抽出されるキシリンヘミセルロースを原料としています。

細長い短冊状の樹皮片が縦にめくれ上がっている木を見付けたら、それは浅田(アサダ)です。

カバ類の中では流通量も少ないので目にする機会が少ない木でもあります。

赤味と白太がくっきりと分かれる材面が特徴的で、そのコントラストは見た目にもインパクトを与えてくれます。

フローリング材や家具材などに重宝されますが、釘抜けが起きにくい材質であることから靴を作る時の木型にも使われます。

 

水目=ミズメザクラというカバノキだがサクラの名前があるもの


 

水目(ミズメ)は水目桜(ミズメザクラ)と呼ばれることも多く、カバザクラ同様、カバノキであるにも関わらず、しっかりとサクラの名前もついている樹種です。

サクラの名前を付けられるだけあり、桜の風合いに非常に近い表情を持っています。

樹皮に傷をつけると湿布の様な臭いがして透明な水のような油が出てくることから水目と名付けられたと言います。

 

カバザクラとは


 

そしてカバザクラです。

植物科名として「カバザクラ」と呼ばれるものはカバノキ科、サクラはバラ科に分類されるので桜の木ではありません。

カバは「カンバ」とも呼ばれ、シラカバ=シラカンバの異名はここに由来します。

「カンバ」の語源としてはアイヌ語の「カリンバ(サクラの木の皮)」から来ているという説があります。

カバやサクラの樹皮は、剥がれやすく耐水性もあることからアイヌでは弓や矢筒に巻かれていました。

その樹皮の呼び名がカリンバで、そこから古語の「かには」(道具などに巻く樹皮のこと)となり、カンバに転じたと言われています。

東北地方で今でも伝承されている桜皮細工で作られる茶筒や小箱も「樺細工」と言われますが、これもその名残と思われます。

このカバとサクラですが材質面も非常に雰囲気が似ています。

色合いこそカバの方はサクラに比べて少し黄味がかりと違いはありますが、散孔材特有の淡い質感がとてもよく似ているのです。

しかし海外ではカバはバーチ、サクラはチェリーとして全く別の物として流通しています。

バーチはチェリーに比べて比較的安価な木材です。

全く別物の木ではありますが、カバの材面が非常にサクラの雰囲気に似ていることから、当初は「サクラの代用品」として扱われていました。

そして、日本人にとってサクラと言えば特別な感覚を持つ木でもあります。

カバの木にサクラの名前を付けることもそれほど抵抗が無かったのかもしれません。

ではバーチは安価・サクラの代用品だからチェリーよりも劣る樹種・木材なのかと言うと決してそうではありません。

カバ=バーチは工業性に優れ、その素材としての剛性も高いので数多の名作椅子の素材となっています。

今でもデザイナーズチェアを扱うヴィンテージショップに行けばバーチ材で製作された名作を数多く発見することができるでしょう。

 

 

カバザクラによって作られる空間


 

 

住まいに使われる部材の中でカバザクラが使われることが多いのはフローリング材です。

このカバザクラのフローリングはとても人気が高く、多くの人が選ばれる樹種でもあります。

全体的に淡い色合いとクセの少ない杢模様は、人気の「北欧スタイル」や自然素材を活かした「ナチュラルスタイル」などの空間作りにも相性が抜群です。

無垢材フローリングでよく耳にするものとしてパイン材がありますが、カバザクラのフローリングは節も少ないことと艶感のある表情からそこにさらなる上質な印象を与えてくれるのです。

家具蔵の家具で扱っているブラックチェリーはサクラの一種ですが、カバザクラのフローリング材にチェリー材の家具を合わせるケースも多く、温かみのある空間作りには最適な樹種でもあります。

 

家具蔵の無垢材チェリーを使った家具の納品事例はこちらから

 

 

 

 

 


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