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シリーズ~建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界~ ⑦

2021.12.16

 

 

インテリア雑誌や住宅雑誌、建築設計事務所のHPなどを見ると、居心地の良さそうな空間に恐らく住まい手や設計者がこだわって選んだのであろう家具、とりわけ木の質感に溢れる無垢材家具が置かれている風景が目を引きます。

 

建築空間は、そこで人間が暮らす、またはある目的を持って過ごすことを目的にしてデザインされているため、配置される家具は「生活の道具」として建築空間と重要な係りを持ち、空間だけ、家具だけで存在する時よりもその魅力や本質をより強く現わします。

 

「建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界」では、家具蔵の無垢材家具が置かれた建築家の設計によるこだわりの空間が、どのような考えの元に設計デザインされ、家具蔵の無垢材家具が選ばれることになったのか、納品後のリアルな暮らし、使っている模様を交えてお伝えする事を目的に、家具蔵のホームページ上のコンテンツ「事例&お客様の声~建築家とのコラボレーション」の内容を元に、実際にスタッフが訪問取材に伺った際のエピソード、裏話などを交えてご紹介します。

 

前回はカリスマ建築家・本間 至さんの建築作品をご紹介しました。

主に人間の暮らし、家族の営み、といった日常生活をおくる場所としての家、住宅作家として非常に繊細でハイレベルなお仕事をされていて、その空間に身を置くと、図面ではわからなかったような設計の妙技を感じます。

家具蔵の製品である無垢材家具も、写真では伝わらない部分がたくさんあるのですが、それと共通する部分が沢山あり、空間と家具との相性も良く、インテリアデザイン、家具設計の立場としても様々な勉強となる実例訪問となりました。レーモンド、吉村順三、中村好文、あたりの建築が好きな方は特におすすめかも知れません。

ぜひご覧になってみてください。

 

そしてシリーズ第七回目の今回は…

建築家・松本 直子さん(松本直子建築設計事務所)が手掛けられた、新築一戸建て住宅 向山邸のご紹介です。

 

 

松本さんは女性建築家、特に自然素材を用いた住まいの設計者として、当代きっての実力者として広く認知されています。

日本の風土に寄り添い、伝統的なモチーフを適宜取り入れながら、決して懐古趣味とはならず、モダンで洗練されたデザインの建築を生み出す手腕は、第五回でご紹介した泉幸甫さんと同じ系統のものであると思います。

 

日本女子大学住居学科卒業後、川口通正建築研究所へ入所。

設計実務として様々な経験を重ねた後に1997年、松本直子建築設計事務所を設立(2017年に現「株式会社 松本直子建築設計事務所」に改称)。

松本さんの事務所のホームページを拝見すると、その設計コンセプトとして、「シンプルで実用性、利便性があり、素材や空間共に質感高い設計から、楽で楽しく気持ちの和む場所をつくりこみ日々の豊かさを感じられる建築をコンセプトにしています。

「日本の気候風土に適した暮らし方を原点に、四季を愉しむ屋外との一体感、採光や通風の快適性、動線の楽な回遊性、暮らしを美しくする収納計画、経年変化の豊かさを感じる自然の素材、そして暮らし方や嗜好の変化も許容するシンプルかつ普遍性を有するおおらかな空間をご提案したいと考えています」

とありました。松本さんの設計する住宅を拝見すると、まさにそれを現実のカタチにしたような素敵な住まいがそこにありました。

 

今回ご紹介する住宅は、雄大な富士山を望む自然豊かな大地に、しっかりと地に足をつけながらも軽やかに佇む、新築の一戸建て住宅、向山邸です。

屋根の形状は日本の気候風土に最も適していると言われる切妻屋根。大きく張り出した軒によって、強い太陽光線や長く降り続く雨から建物本体をしっかりと守り、高温多湿な日本でも住宅内部の空間の快適性が長くキープできる、いわば歴史が創り出した必然のカタチと言えます。

 

 

内部の空間を拝見すると、木枠の窓がその美しい田園風景を絵画のごとく切り取り、思わず裸足で歩きたくなる無垢材の床や質感のある漆喰の壁を、やわらかな自然光が照らし出しています。

その素材の使い方について、松本さんはこんなお話をして下さいました。

「私は比較的、都心の家には広葉樹を使うことが多いのですが、こういった自然豊かな土地では針葉樹を使うことが多いんです。 周りに自然の豊かな環境がある場所では、木目の紋様や木の色など、樹種によっての個性が強い広葉樹よりも、その環境に馴染む、 やわらかくてあまり主張が強くない木、針葉樹のほうがしっくりくるんですよね」

そう語る松本さんは、この家の床材に杉を選びました。

家具とのバランスについては

「杉は針葉樹の中でも割と木目が強いほうなので、今回家具として置かれている日本のクルミやタモの柾目を使った家具とも相性が良いですね」

とのこと。

これまで様々な建築家にインタビューをしてきましたが、素材の使い方、バランスについて広葉樹や針葉樹、都会と郊外、といった視点からこのようなお話を聞いたのは初めての経験であり、松本さんの尋常ならざるセンスと美的感覚を感じるエピソードとしてご紹介させていただきました。

 

「空間づくりの中で家具選びはても重要」と語る松本さんは、施主に紹介する家具店も厳選するそうです。

その中で家具蔵は、無垢材家具のメーカー直営店として安心して紹介できるショップとして以前よりお付き合いが続いています。

建築家と家具ショップ、家具メーカーの係りとして、お互いに信頼関係を持ち、より良い空間づくりの為にプロフェッショナルな仕事を遂行する。

これ以上幸せな関係は無いかも知れません。

これからさらなる円熟期を迎えるであろう建築家・松本直子さんのお仕事にこれからも注目したいと思います

 

自然豊かな景観に合わせた杉の床に、クルミ材の風合いがやさしい「テーブル ヴィンテージ」、タモ材の「チェア ゼン」「ベンチ ゼン」を合わせています。 テーブルの左手にある腰壁の向こうは、一段下がったソファコーナーとなっています。

 

広い空間をさらに開放的にする吹き抜けを採用しながら、スキップフロアなどのアクセントで生活の場にもメリハリをつけた設計となっています。

 

自然光が美しいグラデーションを作る漆喰の壁と、随所に配された木のやさしい風合いがそこに居るだけで癒されるような居心地の良さを生み出しています。手摺や枠の細やかなデザイン、おさまりを見れば見る程に、建築に於いて各所に散りばめられたディテールの美しさが放つ魅力と、その重要性が伝わってきます。

 

「ソファ モデルノ」の背景にはリビングスペースを仕切る腰壁を設け、落ち着く場所に。 さらにその向こう側にあるダイニングテーブルはうまく目線から隠し、心地よい空間の一体感も両立させています。

 

のどかな田園風景の中に佇む向山邸。松本さんが建築材料として針葉樹をメインにコーディネートしたのも、この自然があってこそだといいます。これから建築を見る際は、その建築が置かれた環境と針葉樹、広葉樹、といった建築素材の分類、家具の素材とのバランスについても考察をすると新しい発見があるかも知れません。

 

 

 

 


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