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常緑樹と落葉樹

2022.2.17

 

 

日本では冬の季節、葉っぱが茂っている木と葉っぱが無くどこか寒々しい雰囲気の木、両方を見ることが出来ます。

この二つの違いは、いわゆる「常緑樹」と「落葉樹」の違いです。

今回のコラムはこの2つの違いについてお話ししていきます。

 

 

常緑樹と落葉樹の違い


 

 

常緑樹と落葉樹の定義は,緑の葉が常にある(常緑樹)か,葉の無い時期がある(落葉樹)というものです。

ただし、常緑樹も葉を落とさないわけではなく、少しずつ新しい葉に入れ替わっています。

なぜ樹木にはこのような違いがあるのでしょうか。

一見、ただ立っているように見える樹木たちは、実は様々な生存戦略を駆使しています。

葉を作り、維持する「コスト」と光合成による養分の「生産」として考えてみると、樹木は葉の構築や維持にかかるコストあたりの生産を最大にするように葉の寿命を決めています。

葉の光合成の速度は最初のうちは高いのですが、時間が経つにともなって低下します。

したがって、適当な時期に葉を落として、新しいものと入れ替える必要があるのです。

赤道近くの地域では一年中、気温や雨量、日射量が高く光合成に適した季節が続くので、木にとっては一度作った葉の光合成の速度がやや低下するころまで葉を残しておくことができます。

光合成に不適当な季節(日本では冬、熱帯地域では乾季)があると、その期間、光合成ができないなかで呼吸や蒸散といった活動は続くので、その「損失」が大きくなります。

そうすると必要なエネルギーをカットする=落葉する方が効率的になります。

そして、このようなコスト計算の考え方は熱帯、温帯、寒帯といった環境条件で異なります。

 

地域によって異なる木のメカニズム


 

 

熱帯地域では、常緑樹が主な分布です。

葉を構築する「コスト」は、盛んな光合成で直ぐに回収し、いわゆる「利益」を出すことが出来ます。

古い葉は効率が悪くなるので緑のままで落葉させ,新たな葉を構築します。

その結果、木は絶えず葉に覆われている常緑になります。

温帯のカシやシイといった常緑樹は春に葉をつけます。

しかし、夏だけでは「利益」が出ませんから翌年の春に新しい葉が開くまで葉を付けて「利益」を得て落葉させます。

温帯の中でも寒冷な、特に降雪地に生えるブナやナラといった落葉樹は冬期の降雪で葉をずっと残しておくことが出来ません。

ですから秋に落葉し、冬期は冬眠する方が、エネルギーを効率的に使うにはメリットが大きいのです。

寒帯では、エゾマツやトドマツを見てもわかるように基本的に常緑です。

これは春でも年中通して気温が低いので一年サイクルではなく、何年にもわたって少しずつ「利益」を得る方法をとっているわけです。

温帯の寒冷地では広葉樹の葉が落ちるのに、寒帯のエゾマツ等の針葉樹はどうして常緑でいられるのか、と思った方もあるでしょう。

針葉樹は寒い気候帯に特化して進化した樹木なのです。

決まった季節に降雪のある寒冷地では、幅広の葉では葉が凍り付きやすくなってしまいます。

針葉樹は葉の形が針のように細長くなることで、その体積に対して表面積を小さくできます。

表面積が小さいのは光合成をするうえでは、光をあびる面積が小さいので不利になりますが、根から吸い上げた水を凍らせないためには有効です。

葉の中を水が流れても凍りにくいので寒冷地でも育つことができます。

一部が凍ってもその針のような葉を少し落とすだけで良いのですが、広葉樹だと葉を全部落とさなくてはならず、そうなれば光合成面積が一気に減ります。

基本的には広葉樹のほうが光合成には都合がよい構造ですから、成長も早く、針葉樹が優占種になることはできません。

寒冷地だからこその針葉樹の優位性ということです。

 

 

家具蔵で扱う広葉樹


 

 

さて、私たち家具蔵で扱っている樹種は30種類以上。

その全てが広葉樹です。

しかし広葉樹の中には落葉樹もありますし、常緑樹もあります。

樹種を落葉樹と常緑樹に分類してみましょう。

落葉樹・・・ホワイトアッシュ、タモ、ナラ、ハードメープル、チェリー、ウォールナット、ケヤキ、チーク、その他多数

常緑樹・・・クス、イロコ、ボセ、ブビンガ

そのほとんどが落葉広葉樹であることが分かると思います。

 

家具選び、特にテーブル天板などを選ぶ際に落葉樹か常緑樹かを気にする方はなかなかいらっしゃいません。

家具蔵では上にあげた樹種から一枚板のテーブル天板や自然形状の共木天板を製作し、各店舗に展示しています。

ホワイトアッシュ、タモ、ナラ等の落葉広葉樹は木目がハッキリと見て取れます。

クス、イロコ、ボセ、ブビンガ等は、木目を読み取ることが難しいものもあります。

それは、落葉樹は葉を落としている時には、ほぼ完全に成長を止めているのに対し、常緑樹は少しずつ成長を続けている為に年輪がハッキリとしないという理由があるのです。

是非、家具蔵の店舗で天板に触れてみて下さい。

プロのスタッフが様々な“木になる話”をお伝えします。

 

参考文献 鹿島出版会 小原二郎著書「木の文化」

 

家具蔵の扱う一枚板の詳細についてはこちらから

 

 

 


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