チェリーのダイニングボードがつくる「癒し」とは
2020.11.5
アメリカンブラックチェリーという木の種類をご存じでしょうか。
正式名称ではなくても「チェリー材」と言うと聞いたことがある人も多いかもしれません。
バラ科のサクラ属の広葉樹ですが、日本のさくらんぼより大きい赤黒い実がなる木としても有名なので、スーパー果物屋さんで大きな実を見たことがある、という人もあるでしょう。
実はもちろんのこと、木も実に様々な用途で使用されています。
家具材、ドアの材料、キャビネットや床材、それに楽器にも使用されます。
また家具材の中でもダイニングテーブルやチェアのような、空間の中心となるものの材料として絶大な人気を誇ります。
同時にダイニングの周りで設置するダイニングボードなどでもチェリーは使用されており、やはり高い人気の素材です。
今回はそのような人気のチェリー材の人気の理由、またダイニングボードを製作した場合にはどのような雰囲気を生み出してくれるのか御案内します。
豊かな経年変化が楽しいチェリー材
チェリー材の特徴として代表的なものに「経年変化」があげられます。
時間が経つにつれ豊かに色が変わるという現象は、無着色の無垢材には必ず見られるものですが、チェリーはそれがもっとも顕著に表れる樹種のひとつです。
出来たてのチェリー材の家具は薄いピンク色に近い色合いをしています。
それが、時間が経つとともに段々と艶のある赤みの強い濃褐色になっていきます。
他の樹種も月日が経つと色が変化しますが、その中でもチェリー材の色の変化は大きく、まるで成長を続けているかのような印象を与えます。
ダイニングボードとしていつもの空間にレイアウトした際には、刻々と移り変わる色合いの変化に驚くと共に、無垢材ならではの味わいに愛着を湧き、これをきっかけにチェリーの虜になる方が多いようです。
優しく淡い木目が特徴的
チェリーは絶妙に淡い木目を持った樹種でもあります。
これは導管と言われる、水分や栄養分を行き渡らせる管の太さと関わりがあります。
導管が太い環孔材は、木目がハッキリと現れます。
導管の細い樹種の木目は淡くなります。
そういったことからチェリー材の木目は「絶妙に淡い」のです。
ケヤキやタモ材のようなハッキリとした木目ではありませんが、トチ材やカエデ材のようにほとんど木目が見えないようなこともありません。
両方の良いとこ取りをしたような位置にチェリー材はあり、その適度な主張と穏やかさが人の心を掴むのかもしれません。
心地の良い手触りを愛でる
チェリー材は広葉樹の中では群を抜いて木肌が滑らかで肌触りがいいという特徴から、一層人気は高まりました。
製材した表面には切断された導管が並んでいるのに対し、導管が太い場合は、少しざらついた手触りになります。
逆に導管の細い材は、滑らかな触り心地になります。
また導管の並びかたで環孔材と散孔材に分ける事ができます。
大雑把に分類すると、環孔材は導管が太い、散孔材は導管が細いものとに分かれます。
チェリー材は散孔材です。
よって滑らかな手触りの部類になります。
実際に触れて頂くとその違いもはっきりします。
いろいろな樹種を触ってみて気に入った木を選ぶのもお気に入りを選ぶコツです。
特にダイニングボードの場合は手で触れる機会の多い家具です。
ぜひ、実物に触れてその滑らかな手触りを体感してください。
チェリー特有の表情は独特のもの
「チェリー」というと、日本のサクラ=桜を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、この場合の主に家具材として使用されるチェリー材は主に北米に分布する「アメリカンブラックチェリー」ですので、品種も日本のソメイヨシノとはまた異なったものです。
ブラックチェリー種の特徴としては、板にカットした場合に、所々に黒い点がみられるということがあげられます。
これは樹液によってできたもので「ガムポケット」と呼ばれています。
そこから樹液が染み出たり表面がベタついたりするようなことはありませんが、自然の中で育ってきた無垢材ならではの表情と言えるでしょう。
ガムポケットは天然のチェリー材を使っている証明でもあり、また、チェリー材特有の「味」のある部分だともいえます。
コーディネートがしやすいことも人気の理由
チェリーはとてもコーディネートがしやすい樹種です。
空間全体をチェリー材で統一してもいいですし、ワンポイントでアクセントとしてチェリー材を入れても素敵な空間を作ることが出来ます。
ウォールナット材などの濃い目の色調、ハードメープルなどの明るい色調を空間上でより美しく引き立たせる力もあります。
赤系の色素を持つチェリー材は、人に活力を与えてくれるビタミンカラーでもあります。
このような特徴を持つチェリーは、優しい寛ぎの空間と癒しの空間を実現してくれます。
ダイニングセットはもちろんダイニングボードに設置した場合も、毎日目にすることになり、そのようなチェリーの優しい癒しに包み込まれることでしょう。
このようにチェリー材は、多くの魅力を備えた素材です。
この魅力あふれる材で空間の顔ともなるダイニングボードをつくる。
壁面に大きな面積を占めるこの家具は、例えばガラス面を多くしてチェリー材の持つ華やかさとともに美しく演出してもいいですし、その温かみのある色合いから壁面を埋めても圧迫感を与えることはありません。
家具蔵でも、レギュラー品としてのラインナップの他、セミオーダー品・ユニットパーツの組み合わせを行うもの・完全フルオーダーの特注物など多岐にわたってチェリー材のダイニングボードをご案内しています。
家具蔵はご注文後に材料を用意し、製作を行う受注生産です。
作り置きをしないこのスタイルは、例えばこのチェリー材の経年変化を最初からしっかり楽しんでいただける、という部分にもつながります。
家具は、道具でありながら長い人生における家族の一員、パートナーのような存在でもあります。
長年の使用のうちの変化によって愛着を深め、共に暮らしていく家具になっていくのがチェリー材です。
そんなチェリーの魅力を体感しに、家具蔵各店へお越しください。
関連する記事
最近の投稿
- 対面式キッチンが主流になった時期と理由は 2024年12月11日
- 「カバとサクラ」~なぜカバがサクラと呼ばれるのか~ 2024年12月9日
- 【吉祥寺店臨時休業のお知らせ】 2024年12月7日
- 環孔材・散孔材の違いとは 2024年12月6日
- ラウンドテーブルのサイズ選びの正解は? 2024年12月4日
- 作業しやすい無垢材デスクのサイズとは? 2024年12月2日
- 現代のキッチン事情はどう変わった? 2024年11月30日
- ソファ選びはクッションの内部材を知ることから始める 2024年11月28日
- 後悔しないオーダー家具の選び方 2024年11月26日
- ダイニングテーブルを選ぶ際の「5つ」のポイント 2024年11月24日
カテゴリー
- 家具の選び方・置き方 (1,573)
- インテリア&住宅情報 (639)
- 人と木と文化 (397)
- ニュース&インフォメーション (441)
- オーダーキッチン関連 (406)
- 一枚板関連 (635)
- オーダー収納関連 (616)