キッチンの高さの基準とは?
2023.3.25
キッチンの「モジュール」について
ここでいう「モジュール」とは基準寸法・基本単位のことを指します。
一般的なキッチンのサイズはJIS規格で100ミリ単位、あるいは150ミリ単位という規定があることでそれに基づいて規格化されており、そのことによって様々なメリットが生まれます。
建築における従来の尺貫法やメーターモジュールで設計された住宅に納まりやすい点や、無駄のない生産が可能になることでコストの統制ができるのです。
また機器メーカーが異なる場合でもそれぞれのサイズを規格化することができるので機器についても効率良い生産が可能となります。
カウンター材などについても同様なメリットが生まれます。
キッチンはその総幅からいくつかに呼称が分かれます。
「ミニキッチン」は900ミリ・1050ミリ・1200ミリ。
「コンパクトキッチンは1200ミリから1800ミリのものを指し、いわゆる「システムキッチン」は1800ミリからとなります。
奥行については、過去には壁付けのものが多く、それらは600ミリを主流としていました。
最近は水仕舞いや配管スペースを考慮し650ミリというものが主流です。
つまり150ミリを単位としてそれにプラスアルファする、と考えられています。
壁付け以外のキッチン、つまりアイランドやペニンシュラといった対面式の場合はキッチン部分を同様とし、ダイニング側に設ける機能や収納の奥行を鑑みて「900ミリ」をひとつの基準に、建築本体・LDKとの繋がり・そして使い勝手を考慮して検討します。
キッチンの高さに基準は有るか
高さについては、ワークトップの高さ=作業面の高さにおいてスタンダードなものは850ミリとなっています。
こちらは国内における平均身長をベースに考えられたものですが、「身長の1/2+5㎝」が目安であり、800ミリ・850ミリ・900ミリと3段階で身長などによって選ぶことができるシステムキッチンも多く存在します。
あるいはオーダーでも10ミリ単位で選択する場合がほとんどです。
キッチンの高さの決め方は
キッチンは下ごしらえから調理、そして片付けを通して常に安全でなければならない場所であり、同時に作業時の身体への負担も避けなければなりません。
毎日使う場所ですので、ワークトップやカウンターの高さは非常に重要となります。
身長を目安にする基準の他、「肘の高さからマイナス100ミリ」を基準とすることもあります。
食材を洗う・切るという下ごしらえで包丁を使う際にカウンターの高さが合っていないと作業性が悪く、場合によっては腰痛を発症するきっかけともなります。
以前はキッチンを使うのは家族の中でも限られた人だけでしたが、最近では家族皆が調理や片付けに携わることも増えてきています。
その場合「誰を基準にするか」ということになりますが、作業面の高さが合わないことで誰かがキッチンに立ちたくなくなる、ということはできるだけ避けたいものです。
仮に夫婦で身長差がある場合はチェアの座面高を選ぶ時と同様に、実際にその前に立って高さを確認しながら検討しましょう。
その際の確認事項のひとつに「スリッパを履くかどうか」があります。
一般的にキッチンの床は汚れやすいので、作業をする際にはスリッパを履いている、という人も多いでしょう。
また、衛生面だけではなく健康の観点から機能的なスリッパに拘るという人も少なくありません。
特に高齢になると家で過ごす時間が長くなります。
足腰のことを考慮して疲れにくいスリッパを使っているという意見も多数耳にします。
キッチンの高さを選ぶ際には「身長の1/2+5㎝」あるいは「肘の高さからマイナス100ミリ」を目安にしながら使用するスリッパの高さも併せて考えたいところです。
わかりやすいキッチンの高さの決め方
ここで一番わかりやすいのは、現在、実際に使っているキッチンの高さから回答を導き出すことが近道です。
今のままで問題なければ高さの変更は不要=キッチンが新しくなっても高さはそのまま、で大丈夫です。
逆に高さを変えたことで腰痛に悩まされる、足が疲れやすくなる、そして何よりも調理がしづらいということにならないようにしなければなりません。
その時に自身の姿勢が前屈みになりすぎていないか、肩が上がりすぎてはいないか、つまり不自然な体勢になっていないかを確認し、無理のない姿勢はこのくらいだから必要なキッチンの高さはこのくらい、という目星を付けます。
下ごしらえで食材を洗う、調理全般、片付けをするといった行為に無理のない高さをシンクの深さやコンロで調理をする時の鍋の深さなども併せて総合的に検証します。
シンクベース、調理ベース、コンロ(またはIH)ベースの高さは同じにするのが一般的ですが、ガスコンロを使用していて五徳があるとそこだけ高さが出てしまうことがデメリットになる場合はコンロベースを下げて作る場合もあります。
問題がある場合はその問題点を明確にし、自身が使用するキッチンにはどのような高さが合うのかを自宅や店舗で試してこれから毎日使用するものを改善していきましょう。
キッチンのワークトップの高さは多くの場合は850ミリが主流です。
「身長の1/2+5㎝」あるいは「肘の高さからマイナス100ミリ」を目安にしながら使用するスリッパの高さも併せて考えていきます。
さらに細かく言うならば「動作空間」においてスムーズに動くことができるようにするのが大切です。
肘を曲げて手の届く範囲である「通常作業域」腕を伸ばして届く範囲を「最大作業域」と呼びます。
通常作業域の左右巾の平均は1180ミリ、奥に手の届く範囲は390ミリでこれがカウンターの動作寸法になります。
また身長と手を横に広げた数値はほぼ等しい数値となることがほとんどですので、最大作業域は自身の身長が一つの目安となります。
キッチンから空間全体を考えることはLDK空間全体を快適に整えることに繋がります。
家具を選ぶようにキッチンも選ぶ。
基本モジュールを考慮した上で、自分に合った使いやすいキッチンを選択していきましょう。
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