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キッチン収納の変遷の歴史を知る

2024.10.27

 

 

キッチンは常に変わり続けている


 

 

システムキッチンが誕生してから50年。

シンクやコンロなどセパレートになっている台を組み合わせるセクショナルキッチンから収納部分が一枚の天板で繋がるシステムキッチンへ、今のキッチンのようなスタイルが誕生してからはまだ半世紀しか経っていません。

ただ、家の中でのキッチンの役割はその50年の中でも少しずつ変化し続けてきました。

野菜や食品が傷みにくいようにという理由から住まいの中でも北側に配されていたキッチンスペース。

冷蔵庫や保存容器などの進化によりその心配も少なくなり、家族が集う家の中心や眺望の良い住まいでは南向きの窓から外が見える位置にキッチンをレイアウトするなど、間取り自体も大きく変わってきました。

それに伴い壁付けのプロペラファンだった換気扇も手入れがしやすいシロッコファンが主流になってきています。

何よりレイアウトによってスタイルも選べるレンジフードが誕生したことで、キッチンのレイアウトはぐっと自由になりました。

家庭という生活単位においては個々の役割も女性が専業主婦でキッチンは奥様のものという時代から共働き世帯が増え家族で過ごす大切な空間へと変わってきています。

ゲストを招いた際には応接間ではなくLDKでもてなすのがもはや当たり前です。

そうなるとキッチンの意匠性もこだわりたいポイントとなり、結果としてキッチンの家具化が進むようになりました。

住宅設備でありながらそのデザイン性も求められるようになっています。

システムキッチンだけでなく現場で職人が作る造作キッチンや海外製のオーダーキッチン更には家具メーカーが作るファニチャーキッチンなど、その選択肢はニーズに合わせて多くなりました。

意匠性が進化した一方で、実はそれ以外の部分も大きく進化しています。

それは収納部の進化です。

現在は共働きが当たり前の時代で、何をするにも「コスパ」「タイパ」が求められます。

また特に日本の狭い住空間の中で欠かせないのは「スぺパ」つまり「スペースパフォーマンス」です。

家の中でもキッチンは特にものが多い場所です。

スペースを無駄にしないように、そして作業がしやすいようにキッチン収納には様々な要望や期待が寄せられるため、その分キッチン収納はこの50年で大きく変わりました。

 

扉収納から引出し収納へ


 

 

システムキッチンが誕生してしばらくは、それまでのセクショナルキッチンに習いシンクの下やガスコンロの下の部分は扉タイプの収納が主流でした。

今ではその使い勝手の良さや収納力の高さから、ほとんどのキッチンは引出し収納になっています。

扉収納では収納空間の上部にムダな空間が出来てしまったり、奥にしまったものを取り出すために手前の物を一旦出さなければならなかったり、一つのものを取り出すためにたくさんのアクションが必要となります。

屈む→開く→手前のものを動かす→必要なものを取り出す→手前のものを戻す→扉を閉める→立ち上がる。

このように、扉収納の場合は奥のモノを取り出すために7つのアクションを気づかない間に行っています。

これが引出し収納の場合は、引出しを引く→上から見えるのでそのまま取り出す→引出しを閉めるの3アクションで済んでしまいます。

引出し収納は、屈まずに上から引出し内全体を見渡せ、奥にしまってあるものも上から見えるため収納スペースのロスがなくなるのはもちろん、ストック食材などの在庫を忘れて更に買ってしまうという食品ロスも防ぐことができるのです。

 

吊戸棚「なし」


 

 

これまでキッチンが壁に向かって取付けられているレイアウトの場合には、キッチンの上・レンジフードの並びには必ずと言っていいほど吊戸棚がついていました。

現在のキッチンは多くの場合がダイニングやリビングと対面しるレイアウトの場合が多く、吊戸棚をつけないパターンが多くなっています。

目線から上の部分が天井までオープンになるだけで、キッチンやリビングダイニングの見え方が大きく変わり、同じ広さの空間でも視線を遮るものがないだけで広く感じます。

キッチン自体の収納が引出しタイプになると収納力が増えたり、吊戸棚の分を背面の収納にしまったり、また「余計なものは置かない」と今あるものを一度見直すと実は吊戸棚がなくても十分収納できるということも少なくありません。

それでも吊戸棚が必要という場合には、扉収納の場合は地震に備えて耐震ラッチをつけたり、扉ではなく引戸収納にしたり、効率よく使う場合には昇降式のシステムパーツを使ったり、一工夫することで安全で使い易い収納になります。

 

バックセットを活用


 

 

キッチン側と同じくキッチンの収納で重要な役割を果たすのが背面側の収納です。

冷蔵庫と横並びでいわゆる食器棚を置くスペースの収納も、キッチンと同じく引出しタイプが主流になっています。

また最近ではオーブンレンジやトースター・炊飯器などの他にも多くのキッチン家電を使う方も増えているため、背面の収納やカウンターにどのように収納するか、あえて見せるようにするか、それとも背面は天井までの扉で全てを隠すかなど、キッチンボードを置く以外にも様々な選択肢が用意されています。

その他にもダストボックスの収納場所を作ったり、防災グッズや食品の備蓄をしまうことも想定し、パントリーを設けたりと、収納のスタイルは住まう方のライフスタイルや考え方によって、十人十色と言えるでしょう。

 

 

今回はキッチンの収納の変遷についてまとめましたが、これらの進化には引出しや扉に使われる金物の進化が欠かせない要素となっています。

次回の機会には引出しや扉収納に使われている金物の進化について、お伝えしいきます。

 

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