対面式キッチンが主流になった時期と理由は
2024.12.11
もはやスタンダードともなった対面型のキッチン。
アイランド、ペニンシュラなど多様なスタイルはありますが、キッチンで作業する人がリビングダイニングという「居住空間」に正対するというキッチンの形式はごくありふれたものとなっています。
対面式キッチンの普及はいつごろか
戦後の時代の移り変わりの中で起きた「核家族化」「共働き世帯の増加」といったライフスタイルの変化は、住宅事情における住まい方や間取りの変遷にも大きく関係してきました
その中でキッチンはその昔の「台所」から「ダイニングキッチン」を経てその在り方や機能の進化を続けてきたと言えます。
対面型キッチンの一般家庭への浸透は集合住宅における「第5次マンションブーム(1986~1989年)」以降にあると言われています。
オートロック等の安全性を備えた高機能・高性能へのニーズの高まりと建物の外観デザインや内装・家具を含めたインテリアデザインへのこだわりは大きく一般化し、一方で過熱する住宅供給の波の中で少しでも多くの部屋数を提供するためには無駄のない間取りが必要でした。
その中で確立された間取りがリビングとダイニング、そしてキッチンを明確に仕切ることなく一つの空間とすることであり、今では戸建てを含めスタンダードな間取りとなっています。
LDとキッチンが同空間にレイアウトされるようになってからも、しばらくは「キッチンは隠す場所」という意識が一般的でした。
これはある程度築年数を経たマンションなどを見ると明らかで、吊戸棚や造作壁でキッチンを覆いLD側から見えにくいように配慮されていたことがうかがえます。
現代では腰高の造作壁だけでキッチンとLDを分けた開放的なものも多くなり、「LDK」としてますます一体化された空間としての完成度が求められています。
キッチンのデザインの選択肢の増加や背面収納の多様性も相まって、キッチンの対面化から始まる「オープン化」は空間づくり・部屋づくりの考え方の変化や暮らしのスタイルの変化にも影響を及ぼしていったのです。
対面式キッチンが普及した理由は多数のメリットがあったから
対面式キッチンが主流となった理由は限られた広さとならざるを得ない国内の住宅事情の中でLDKを無駄なく空間利用ができることにあります。
それだけが主な目的であったかどうかはともかく、以下に挙げるものも多くのメリットがあることから対面式キッチンは主流になりえました。
まずは家事動線。
配膳・片付けといった作業をキッチンとダイニング(あるいはリビング)を往復せずにカウンターなどを挟んで行うことができる点は毎日のことであればやはりたいへん有効です。
対面式であるが故の家族のコミュニケーションの円滑化も重要な要素でしょう。
長時間キッチンで作業することになったとしても同じ空間にいることで相手の様子が見え、会話も可能です。
そのことは特に忙しい現代社会においてやはり有効なものです。
他にも採光性・通風性・光熱費等の省エネ性など広義で有効ですがその2点を含め、多様な選択肢があるキッチンというもので対面式を選ぶ人が多いことはうなずけます。
キッチン(及びキッチンスペース)のインテリア化とそれにならったキッチンの選び方
対面式キッチンの普及によって生まれた変化に「キッチン(及びキッチンスペース)のインテリア化」が挙げられます。
LDという生活空間とともにあるキッチンスペースには、LD空間の雰囲気を損なわないような、趣きを同じとする「同様のテイスト」が求められるようになりました。
いわば空間全体をトータルで考え、設備に留まらないキッチンとキッチンスペースが求められるようになったのです。
キッチンそのものが家具調である、キッチンを囲む造作が内装と同様の仕立てになっている、工夫を凝らしたカウンターテーブルや収納が付随しているといったキッチンそのものに関するものや背面収納もたんなるメラミン樹脂の食器棚ではなく他の内装と揃えた造作家具やウォールシェルフで見せる収納にする、吊戸棚を採用するにしてもデザインや機能に一工夫を加えるなど実に多様な選択肢をその素材やテイストとともに選ぶことができるようになりました。
ナチュラルテイストや北欧スタイルは長く続く人気のインテリアスタイルであり、そこにはふんだんに「木」「木製のもの」が使用されます。
家具もしかりでそこから現在の無垢材家具の認知度の高まりや人気の向上はありますが、そのような家具やインテリアとキッチン(スペース)のテイストを揃えるのであればキッチンも木製、そして家具調であることが一番の近道です。
心地良く、温もりを感じられる素材を取り入れ木のキッチンでリビングやダイニングの無垢材家具とも調和させることで見た目だけでなく心も豊かな空間となるはずです。
LDKが一つとなった間取りはコミュニケーション・団らん・寛ぎといった心理面や心地よさも同時に叶えた共有空間と言えます。
それは対面式というスタイルがキッチンを家族で共有できるスペースとした、とも言えます。
子供や男性も料理を行うことが当たり前となった現代においてそれは必然でもあったことかもしれません。
キッチンを共有することで互いを思いやる・協力するという行為が自然に生まれるのはやはり良いことです。
家族構成やライフスタイルに関わらずコミュニケーションの核になるのは対面式キッチンといえるでしょう。
そのような場所が素材や質感、テイストがそろった場所であるということは過ごしていてやはり気持ちの良いものとなるはずです。
キッチンやキッチンスペースをプランする場合はリビングダイニングの家具と同じように捉え、単に「設備を考える」という範疇にとどまらず、自分の趣味、趣向を反映した「家具」としてスタートしましょう。対面式キッチンにも木の要素を取り込み、家具のようなキッチンでLDと併せてトータルに計画したいものです。
家具選びと一緒に是非ご相談下さい。
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