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材木の香りの秘密と効能は?

2021.3.28

 

 

いわゆる「おうち時間」がいまだ続いている昨今。

もはや在宅での作業はスタンダードになりつつあります。

とはいえ、ずっと家のなかにいるとなかなか気分をリフレッシュすることができない…、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこでこれまでよりさらに注目を浴びているのが「香り」。

気分を少しでも和らげるために、お部屋の中でエッセンシャルオイルを使ったり、お香を焚いたりして、香りによるケア効果を得ることに注目が集まっています。

テレワークの仕事で集中力を高めたい時、あるいはお部屋でリラックスした時間を過ごしたい時、その時々に合わせて香りの効果を取り入れると、どこか心地よく感じられるものです。

この香りの効果は古くから人の暮らしの中で取り入れられていました。

私たちは本能的に心地よい香りに惹かれていくところもあります。

自然界に存在するものの中で、人が心地よいと感じる香り成分の多くは植物性由来のものです。

今回はそんな植物性由来の代表格、材木の香りの秘密と効能についてのお話です。

 

 

木には香りがある


 

 

木には香りがあると言われてピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。

木造で新しく建てた建物に入ると、ふわっと木の香りが感じられます。

あるいは森林の中を散策していると、とても空気が美味しく清々しい気持ちになります。

これらに代表されることは、木が発する香り成分の影響によるものです。

この木の香り成分のことを総称としてフィトンチッドと呼んでいます。

木の香り成分にもっとも多く含まれているのが、テルペン類と呼ばれる揮発性の成分です。

テルペン類とは主に植物の精油成分のこと。

いわゆるエッセンシャルオイルのことです。

植物は、代謝産出物、排出物、フェロモン、昆虫の忌避剤などとして精油を産出すると考えられており、葉や花弁、根などの特別な腺に貯蔵されます。

この精油成分は植物にとってとても大切な働きをします。

例えば、葉に粘液性の精油を産出し食べられない様に身を守る。

あるいは精油を蒸散させることで太陽熱などを冷却し自分自身を守る。

周囲に他の植物が生育することを抑制し、自身のテリトリーを確保する等。

その他にも菌の繁殖を抑制したり、場合によってはフェロモンとして鳥や昆虫などに受粉や種子の運搬を促すなどの効果もあります。

つまり木にはとても大切な役割を果たす成分ですが、私たち人にとっても木の香りはとても心地よいものとして受け入れられます。

 

古くからある木の香りを愛でる文化


 

 

日本書紀の中で、推古天皇3年(西暦595年)に淡路島に香木が漂着したという記述があります。

その木片を火にくべた所とても良い香りがしたので、その香木を朝廷に献上したということが書かれています。

この記述が香木に関する日本最古の記録とされています。

歴史に造詣が深い方には「黄熟香」という名前をご存知の方も多いかもしれません。

東大寺正倉院に現在保管されている香木で、東南アジアで算出された伽羅と呼ばれる高級香木です。

時の権力者に重宝され、足利義政や織田信長、明治天皇などが、この香木の木片を切り取ったとの逸話もあります。

香の世界では、香の香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」、すなわち「聞香」と言います。

心を傾けて香りを聞き、また心の中でその香りをゆっくりと味わう事。

自然界で育つ木には一つ一つ魂が宿るものと考え、希少な香木を大切に扱うという考えから、大自然の恵みや地球に感謝をし、そしてその香木の香りから語り掛けてくるものを聞き取らなければならないという考えです。

香木の種類を産地や味に例える「六国五味(りっこくごみ)」という分類方法もあるほど香の奥深さもあり、日本では古くから木の香り成分を楽しみ、そして大切にしてきました。

 

木の香りがもたらす効果


 

 

ふんわりと漂う木の香りは、時に清々しく、また、時にゆったりと心地よく感じられるものです。

木の香りからストレスを軽減させるなどの心理的効果のほか、呼吸を楽にしてくれる効果、あるいは血圧を下げるといった自律神経に働きかける効果などもあります。

ヒノキ風呂も癒しの効果が高いものとして有名ですね。

元々水に強く狂いの少ない木として用いられる木ですが、このヒノキは抗菌作用もあり、また防アリ・防ダニ効果も高いためお風呂の材料としても重宝されます。

ヒノキと言えば法隆寺の大改修工事の中で、柱に使われていたヒノキを数ミリ削った所、ヒノキの香りが甦ったとの話があります。

1300年以上前に建てられた柱でも、未だに香りを持っていることには驚きです。

人間の五感の中で唯一嗅覚が、感情や本能をつかさどる「大脳辺縁系」に直接届くと言われています。

その為、香りを嗅ぐことは心理的な効果に非常に大きく影響します。

アロマテラピーは植物が持つ様々な臭いを用いて、人の心身を癒す療法です。

最近では認知症予防にアロマテラピーの有用性を見出す研究も進んでいます。

 

植物性の自然素材がもたらしてくれる香り成分は、私たちの心と体を癒してくれる効果があることは科学的にも実証されています。

健康志向の高まりから、自然素材を使った家や家具に注目が集まりますが、その一つには木の香り成分を理由として挙げられる方も多くいらっしゃいます。

居心地の良い暮らしには、自然素材が発する香り成分に癒される過ごし方も大切な要素となることでしょう。

 

家具蔵が扱う無垢材樹種はこちらから

 

 

 


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