家具の周辺に必要なスペースの「目安」を知る
2023.4.23
目次
セオリーを知り、美しく暮らしやすい住まいに
家具のレイアウトというのは基本的に自由です。
どの位置に配置するか、どの向きにするかなどはその家具を使用する当事者が使い易いものであれば特に問題はありません。
つまりそこに「ルール」は存在しないと言えます。
しかしながら何事にも「セオリー」はあり、それは先人が長い時間をかけて培った末の成功例や手法であることから、その通りに行うことで、ある一定の成果は得られるものです。
家具の配置に関しても「このように行うことで見映えが良くなる」「空間を広く見せることができる」という「セオリー」はあり、それに沿って家具を配置することが空間の美しさや暮らしやすさを創出することにもなります。
家具のサイズの決定には配置した際の周辺スペース把握も重要
家具の選択や配置において、その「サイズ」は非常に重要なものです。
使い勝手そのものにも大きく影響し、想定した場所にその家具を置くことができるかという根本的な問題にも直結します。
また、その家具のサイズは周囲の「余白」「スペース」を左右します。
家具が大きければ、そのほかのスペースはその分狭くなり、小さい家具なら広くなるわけです。
家具の周辺、あるいは家具同士の「余白」「スペース」に十分なゆとりがないと、椅子の出し引きや回遊も不自由になり、互いの家具が近いことによる視覚的な圧迫感も生まれることになります。
一方で、全体の空間に対して小さすぎる家具もバランスが良くありません。
家具の選択やその配置には周辺に必要なスペースの把握とそれに準じたサイズの決定が必要不可欠です。
60センチの動線は必ず確保する
家具周辺のスペース決定については、回遊動線が確保できるかどうかはまずひとつの基準となります。
人は無理なくその場を通行するのに必要な「幅」はおおよそ「60センチ」と言われており、例えば家具の正面に壁がある際の間隔はこの「60センチ」を確保したいところです(横歩きでも良いようなケースならそれ以下でも可)。
例えばダイニングテーブルのサイズ決定は使用人数やどのような椅子が何脚入るかといった部分で決定される要素は大きいですが、「大きすぎて邪魔」「小さすぎて不便」といったことを避けるためにはテーブルの周囲にどの程度のスペースがあればよいかを把握したうえで全体のスペースからの引き算を行い、そこで残った数値がその空間において配置可能なテーブルの最大値となります。
ダイニングテーブル周辺のスペースの具体例
テーブルには椅子が付き物です。
ダイニングテーブルの両端に椅子を配置し、その後ろには壁や建具などがあるとします。
この場合、推奨されるスペースは90センチ前後です。
90センチ以上(あるいはそれに近い数値)あれば後方に大きく引き出さなければ出入りができないアームチェアも容易に出し引きでき、着座している人の後ろを別の人が回遊することも可能です。
もし、テーブルの両側、あるいは片側に60~70センチ程度のスペースしか確保できない場合はアームチェアでは出入りがしにくくなる可能性もあり、アームレスタイプの椅子を選択することをお勧めします。
椅子が無い場合でも60センチを確保していれば周囲の回遊自体は容易です。
テーブルの近くにソファをはじめとした大型の家具が配置されるケースはままあります。
その場合、互いのスペースは60センチ確保できていれば回遊は可能ですが視覚的にその家具を非常に近く感じることになり、圧迫感に繋がります。
仮にテーブルとソファを置いているとして、その距離を十分に確保する目安はおおよそ100~120センチです。
これだけ離れていれば見た目の圧迫感も無く、同時に2人がすれ違うような回遊も可能になります。
テーブルを選ぶ際のサイズ決定の際にはこれらの数値からベストな大きさを割り出すことができるはずです。
テレビとソファの間のスペースは
気になる人も多いのがソファとテレビボードの間のスペースについてです。
これは「ソファに座ってテレビを見る」という具体的な行動に伴う快適な「視聴距離」も密接にかかわってきます。
一般的にはソファに座った際の自身の頭部からテレビまでは「テレビの高さ×3倍」と言われています。
40インチのテレビであれば150cm、55インチであれば200センチほどが目安ですが、4Kテレビではテレビから1.5倍程度離れた距離が最適な視聴距離と言われており、以前ほどスペースが必要ではなくなっています。
そのうえで家具周辺、つまりソファとテレビボードの間にどの程度の余白があれば良いのかというと、やはり「60センチ」は一つの目安になります。
ソファの前にはリビングテーブルを配していることが多いので、正確にはリビングテーブルとテレビボードの間が最低でも60センチあれば回遊自体は可能です。
間取りによってはそこがベランダへの唯一の動線となる=洗濯物などを持って通過することもある場合はやはり80~90センチ程度確保できていると移動しやすくなります。
リビングテーブルがあることで、テレビボードの前を横歩きするような事態になっている場合は、リビングテーブル自体をベンチなどの奥行の浅いものにする、あるいはコの字型のソファ座部に差し込みできるテーブルを採用することで回遊スペースを確保する(抜け感も出て広く見える)をお勧めします。
家具周辺のスペースをいかに確保するかで暮らしやすさも変わり、それぞれの家具もより映えて見えるようになります。
必要なスペースを確保しつつ、最大限大きなものを選択することはテーブルやソファなら心身のゆとりを、収納家具なら収納性をもたらします。
あるいはそこであえて小さなものを選ぶことは余白を大きく確保することになり、空間を広く見せることにも繋がります。
私ども家具蔵では間取り図面から3DCGを駆使したシミュレーションなどを行いながら、間違いのないサイズ決定をお手伝いしています。
お気軽にお声がけください。
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