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シリーズ~建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界~ ④

2021.7.23

 

 

インテリア雑誌や住宅雑誌、建築設計事務所のHP。

居心地の良さそうな空間に、恐らく住まい手や設計者がこだわって選んだのであろう家具、とりわけ木の質感に溢れる無垢材家具が置かれている風景が目を引きます。

建築空間は、そこで人間が暮らす、またはある目的を持って過ごすことを目的にしてデザインされています。

配置される家具は「生活の道具」として建築空間と重要な係りを持ち、空間だけ、家具だけで存在する時よりもその魅力や本質をより強く現わします。

「シリーズ・建築家によるこだわりの空間と無垢材家具の奥深き世界」では、家具蔵の無垢材家具が置かれた建築家の設計によるこだわりの空間が、どのような考えの元に設計デザインされ、家具蔵の無垢材家具が選ばれることになったのか、納品後のリアルな暮らし、使っている模様を交えてお伝えする事を目的にしています。

家具蔵のホームページ上のコンテンツ「事例&お客様の声~建築家とのコラボレーション」の内容を元に、実際にスタッフが訪問取材に伺った際のエピソード、裏話などを交えてご紹介します。

 

前回は建築家の感性と施主の情熱がつくりあげた、木々の緑を感じる木製サッシの住まい をご紹介しました。

床のチーク材とそこに配置された無垢材家具のチェリー材、開口部に使われた木製サッシの質感など、全てのバランスが美しく、家具と建築空間の取り合わせとして理想的な実例といえるかも知れません。

これから家づくりを考える方はぜひご覧になってみてください。

 

そしてシリーズ第四回目の今回は・・

建築家・植本俊介さん(植本計画デザイン)が手掛けられた新築一戸建て、柴﨑邸のご紹介です。

植本さんは、東京大学工学部建築学科を卒業され、同大学院都市工学修士課程修了後、 株式会社曽根幸一・環境設計研究所を経て独立、1998年に植本計画デザインを設立されました。

「東京建築士会」に所属し洗練されたデザインと機能が融合した優れた建築作品を多く手掛けられています。

また「プロトハウス」登録建築家でもあります。

 

 

今回の物件は、昔ながらの街並みが残る静かな住宅街にある自宅の敷地に計画された、木の香りにつつまれたモダンな木の家。

ゆとりのある敷地を利用して、ゆったりと展開された平屋の一部に2階の空間を擁する伸びやかな建築デザインとなっています。

建築家による住宅の常套手段もありますが、道路側からみると開口は最小限に抑えられています。

そして家の内部に入ってみると外からの印象が嘘のように明るく拡がりのある大空間が待っている…。

柴﨑邸もまさにそのような住まいでした。

室内は白木をベースとした明るい木の空間に薪ストーブの黒がアクセントになっていて、どこか北欧風も感じられるようなモダンな印象です。

そのなかでなぜか日本の古い民家を訪れたような懐かしさも同時に存在します。

そのことを植本さんに尋ねるとこんなお話をして下さいました。

 

 

「デザインのディテールまで非常に緻密に考えられた現代のいわゆるモダン建築はすごくきれいで、私もとても好きなのですが、少し窮屈さを感じるところがあります。

シンプルで、全体としてはゆったりとしていながら、実はソファの置く位置や向きまで厳密に決め込まれてしまうことも多いのです。

でもそこで想定外のことが起きたらどうするんだろう、と考える事があるのです。

10年、20年と年月を経るにつれて、家族構成や住まい方だって変わってきますから。

逆に昔のような囲炉裏を囲んだ部屋と縁側があるだけ、みたいなざっくりとした空間のほうが、よっぽど居心地が良かったりするんです。

モダン建築にも、そういう懐というか、余白が必要なのではないでしょうか。

考え尽くすんじゃなくて、敢えて考えないところもあるというか。

家とそこに住まう人間が変化しながら育っていける「苗床」としての家の「骨格」だけはしっかりつくって、あとは自由に育つのを待てばいい。

長く住んでいく家にするためにも、実は必要な部分なのではないか、と思います」

 

私たち家具蔵では「家具から考える家づくり」をひとつのコンセプトとして、家具選びやインテリア全体の提案をしていることもあり、植本さんのこのようなお話はとても新鮮なものでした。

しかし、よく考えると、家具から考える、家具から始める、ということは決して家具のサイズや配置、アイテム数を決めてしまうことではなく、自分たちの生活に合わせた本当に必要な家具を大切に選び、使い続けていくというもの。

その変化する家具=生活の道具 をおおらかに受け止め、引き立てて欲しい建築空間は造り込み過ぎずに、変化に対応できるような余白のある舞台としておく、という発想には強く共感します。

このモダンな木の家が遠い将来、建築材や家具の経年変化によってどのような「古民家」になるのか、そんな想像をするのも楽しい撮影・訪問となりました。

 

薪ストーブを中心とした吹き抜けのダイニングには、「テーブルヴィンテージ」「アームチェアヴォーグⅡ」「チェア ゼン」の取り合わせ。床のオーク材に家具のミズナラが同化せずに逆にその存在感を際立たせているのが印象的でした。

 

キッチンにはカウンターテーブルを併設し、座り心地のいい「カウンターチェア ノヴェル」(ウォールナット材)を並べました。

 

ダイニングの前は「ソファモデルノ」と「ローテーブルヴィンテージ」で寛ぐリビングスペースです。大きな窓の外にはキッチンと水回りでコの字で囲まれた中庭の緑が見えます。

 

キッチンとダイニングスペースの間は、視界の広がりを邪魔しないガラスの引き戸に。料理する際のにおいなどが気になる時には閉めておくこともできる機能的な仕掛けでもあります。

 

吹き抜けには庇のついた天窓も設置。太陽の位置が高い夏の強い日差しは庇で遮られ、低い冬は温かい陽光が奥まで届くように考慮した、自然環境を活かした工夫です。

 

水まわりからすぐ洗濯ものが干せるデッキへとつながる生活動線。暮らしやすさという基本コンセプトはどの空間においても重要なキーワードとして取り入れられています。

 

木の浴室はお手入れが大変・・という問題には、掃除がしやすいハーフユニットタイプの浴室を採用。さらに板の大部分を水に強い「杉赤身」にしてメンテナンスの容易さと、心地良い木の香りに包まれるバスタイムの両方を叶えました。

 

「建物の構造体をデザインに組み込むことで、建物としての力強さが現れてくる」と植本さんは言います。見た目だけの美しさを追求するのではなく、そこにしっかりと機能があるからこそ生まれる形によって、存在感のある家ができあがるのかも知れません。

 

シンプルでモダン、それでいて自然に包まれるような温かみのある柴崎邸の外観。大きくとった三角のハイサイドライトからは室内にも自然光がたっぷり降り注ぎます。

 

 

 

 

 

 

 


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