家具選びはまず「椅子」からという理由とは
2020.11.24
新築・改築・転居・結婚・独立…。
いわゆる「新生活」の始まりに欠かせない「家具の新規購入」。
毎日の暮らしをサポートする家具には様々な種類があり、それらを買い揃えるタイミングというのは得てしてそういった機会ではないでしょうか。
では、その中でもどんな家具を優先して選ぶといいのか、人によっても変わってくるでしょう。
睡眠時間を大切に考えるのであればベッドが優先アイテムになり、ゴロゴロ寛ぐ時間が多いのであればソファが優先アイテムとなってきます。
家具の優先アイテムは生活スタイルや家族構成によっても変わってくるのです。
今回は「これを最優先に!」と考える方も増えている一方、意外と軽視されがちでもある「椅子」選びの重要性についてお話していきます。
どの部屋にいる時間が長いのか
住まいは(それぞれ間取りの違いはありますが)概ね「リビング」「ダイニング」「キッチン」「寝室」「書斎」「子供部屋」などで構成されています。
その中でもどの部屋で過ごす時間が長いでしょうか。
睡眠の時間を考えると寝室が一番長くなることが多いかもしれませんが、人が目を覚まし活動している状態ではリビング及びダイニングにいる時間が長い、そんな意見が多そうです。
特に家族が集まる場所としてリビングやダイニングが住まいの「中心」になっている家庭も多いことでしょう。
では、その中でも「どこ」で過ごすか。
この「どこ」というのはソファやリビングチェアで過ごすのか、床に横になっているのか、はたまたダイニングチェアに座っていることが多いのか、という意味です。
フローリングの空間が多くなり、直接床に座ったり寝ころんだり、という過ごし方はだいぶ少なくなったように感じます。
とすると、ソファやリビングチェアか、ダイニングチェアに座っている時間が長いはずです。
なぜ椅子選びが大切なのか
リビングチェアを含めた「椅子」全般、もしくはソファは毎日の暮らしの「居心地」を高めるために非常に大切なアイテムです。
腰を下ろし、身体を預け、作業をしたり休んだり。
一日中立ったまま、というのはあまり考えにくい状態です。
ソファはくつろぎの時間を、ワークチェアも含めた椅子は作業をするためのもの、というイメージがある人も多いでしょう。
最近のインテリアの動向は「ダイニングテーブルは極力大きく」「ダイニングテーブルは食事だけの場所ではない」「家族全員が仕事・作業・勉強などを一堂にその場で行うことができる場所がダイニングテーブル」という考え方が一般的になっています。
家族団らんや来客への対応もダイニングテーブルで行う、そんなスタイルです。
その理由としては「コミュニケーションの取りやすさ」にあります。
ダイニングは基本的にはテーブルを中心にそれぞれが隣り合う・向き合う場所。
お互いに視線が通いやすく、表情も見やすいのでコミュニケーション性が高まります。
家族それぞれが仕事や学校の都合で決まった時間に物事を始めることが難しい現代社会。
誰かは食事をしながら、また誰かはパソコンをしながらでも一緒に過ごすことができる「過ごしやすい場所」でもあります。
もちろん「ソファ+リビングテーブル」でも同じような環境を作ることは可能ですが、ソファからリビングテーブルにものを置くときなどは毎回腰を浮かせなくてはならないなど、実用性に欠けるきらいがあります。
そういった諸々の理由からダイニングで過ごす時間が長くなり、それとともに長く座っても疲れないチェアを選ぶ人が増えてきました。
チェア次第で暮らしは変わる
自分自身の体にフィットし、長く座ることができるチェアがあることで毎日の暮らしの満足度や快適さは大きく変わります。
ゆったりと過ごす、楽しく談笑する、何かに集中して作業をする。
そうした時間がチェアの選び方次第で大きく変わる、というのは決して大げさではありません。
だからこそ(アート的な要素も含め)、ダイニングチェアひとつとっても、非常にたくさんの種類があるのです。
ダイニングチェアの種類と選び方
ダイニングチェアは大きく分けると「肘掛付き(アームチェア)」と「肘掛無し(アームレス)」に分けることができます。
デザインの好みを加味せず、どちらを選ぶかとなった場合は「その場所で長く過ごすか否か」を基準にしましょう。
アームチェアには肘掛けがありますから、そこに腕を置くことができます。
つまり、肘掛け無しのチェアより身体を預けるところが増えるわけです。
それによって、よりバランスの良い体圧の分散が可能になり、身体全体の負担も減少します。
つまり「疲れにくく」なることで、ゆったり長時間座って過ごすことができるようになります。
肘掛無しのイスはコンパクトで軽く、後方に大きくチェアを引かなくてもテーブルから出入りもよりスムーズに行うことが可能です。
立ったり座ったりが多い、ダイニングテーブルでは食事のみ、といった人はアームレスチェアの方が有益でしょう。
前述のようにダイニングで長く過ごすという傾向が強くなってきているので、肘掛が付いているアームチェアが選ばれるケースが増えています。
特にご年配の方は肘掛けがあることで立ち上がりも楽になります。
ダイニングチェアを選ぶときは、自分の体によりフィットするものを選べるよう、まずは様々な種類に座って選ぶのが定石です。
座面、腰、背中、肘掛けの高さなどを意識しながら自分の身体とのフィット感と過ごし方、過ごす時間も考えながら選んでいきます。
当然インテリアなので、デザインも重要なポイント。
重さが気になる人もいるでしょう。
ですが、チェアは究極的には「身体を預けるための道具」です。
優先順位は①座り心地→②軽さ→③丈夫さ→④デザインという順序が基本になってきます。
どんなにデザインが好みに合ったチェアでも、自身に合わなければ眺めるだけでオブジェのようになってしまいます。
また、チェアに座った際には踵が地面に着くかも確認しましょう。
踵が着かないと=足が床から離れていると、体圧分散のバランスが悪くなり疲れやすくなります。
もし、気に入ったチェアに座って踵が地面に着かない場合はチェアの脚をカットし、足裏が床にしっかり着くように調整します。
その際にはテーブルとの高さとのバランスを測るのも忘れてはいけません。
私たち家具蔵でも、ご注文の際にはまずチェアの高さを決め、そこからテーブルの高さを逆算します。
仮にチェアのみのご注文の場合には既存のテーブルの高さを、テーブルのみのご注文の場合はお持ちのチェアの高さを、それぞれ必ず確認し、より良い作業性を確保するお手伝いを行っています。
チェアは毎日の暮らしを支える道具であり、チェア選びで日々の快適さ、充実度が大きく変わります。
家具選びに順番はありませんが、チェア選び・椅子選びはたいへん重要で、そこに優先順位を持ってくることは決して間違ったことではありません。
家具蔵では専門のスタッフが、一人ひとりに日常の過ごし方を伺いながら、適切なチェア選びをご提案します。
熟練の職人が人間工学に基づいて手仕事で製作するチェアは、長くあなたの暮らしを支えてくれることでしょう。
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