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国産家具は国産材でつくらなければいけない?

2019.6.21

 

日本は国土のじつに2/3が森林で覆われる世界有数の「保林国」ということは皆さんご存知の方も多いでしょう。

(因みに1位はフィンランドで約74%。続く日本は約68%、3位はスウェーデンで約67%)

そんな日本だからこそ、そこに生える木を活用することにおいてたいへんな工夫と技術の進化をもって、おおいにその暮らしを発展させてきた経緯があります。

「日本の木は優秀で、素材として優れている」という意見があります。

事実、そのクオリティの高さから国産の木材の輸出が著しい増加をみせています。

国産の広葉樹であるナラやケヤキは世界のなかにおいても非常に評価の高い材ですし、針葉樹のスギもたいへん安価な材として国際的な評価を高めています。

そんな事情はいつしか、国産材こそ至高、という一部の人達の意見を肯定するものとなっていきました。

たしかに日本列島が持つ独特の気候条件・室内の条件のなかで使う家具材や建材が、日本で生まれ育った木材であることが相性という意味で良い、という考え方はもっともでしょう。

また、日本の住まいが大きく洋風化しているなかでも、やはり畳やふすま、障子といった和風な意匠を持ったエレメントが根強く支持されている今日、そういった空間に合うのはやはり日本の材、という考え方も一理あります。

そのなかで木には「広葉樹」と「針葉樹」があり、家具材にするには広葉樹が針葉樹よりも向いていることご存知でしょうか?

「広葉樹」はわかりやすく言うと「平たくて幅の広い葉を持つ木」のことです。

一方「針葉樹」は「針のように細長い葉を持つ木」のこと。

広葉樹は傷がつきにくく、中身の組織の密度が濃いので強度があり、揺れに強いのが特徴です。

つまり、テーブルやチェア、ボードなどの高耐久性を求められる家具には広葉樹が向いています。

その広葉樹が国内ではたいへん希少なものとなってきている現状があります。

 

 

日本の森林事情


日本の森林を構成する主要樹種により分類した場合、針葉樹林と広葉樹林に分けられます。

さらにそれを「誕生した過程」により分類すると、「人工林(育成林)」と「天然林」の2つとなります。

人工林は、おもに木材の生産目的のために、人の手で種を蒔き、苗木を植栽して育てている森林で、間伐などの手入れを行っているため「育成林」とも言われます。

日本の森林面積の約4割はこの人工林であり、その多くは針葉樹です。

(天然林は主に自然の力によって発芽し、育ち、森林として成立したもの)

この人工林が増えた背景は戦後の復興などのための木材需要の急増です。

政府が行った「拡大造林政策(広葉樹中心の天然林を伐採した跡地や原野などを針葉樹中心の人工林に置き換える)」に起因します。

針葉樹であるスギやヒノキの木材価格は需要増加に伴い急騰し、「木を植えることは銀行に貯金することより価値がある」と、いわゆる造林ブームが起こりました。

この造林ブームで現在のような針葉樹を中心とした育成林が大きく分布されるようになったのです。

建築用材としては針葉樹を多く利用してきた日本。

急速に復興が進む中で針葉樹の人工林が多くなってきた=針葉樹の割合の増加は致し方ないことだったのかもしれません。

 

輸入材を使うことのメリットとその活かし方


そんな経緯により国内の広葉樹、しかも家具材にできるような高樹齢のものはたいへん希少です。

そして「無着色」という手法で家具を作ろうとした際にバラエティに富んだ色味や特性を持ったものを提供したい、と考えて世界に目を向けるのはある意味当然のこと。

世界には200万といわれる広葉樹があるなかでその色合い、経年変化、強度、加工性などに優れたものが数多く存在します。

そのなかで選りすぐりのもの、銘木といわれるもの、世界的な評価が高いものなどで家具をつくることは国産材のみにこだわった家具作りをするよりも、ずっと現代の住まいや嗜好にマッチしたものができあがります。

アメリカンブラックウォールナットの落ち着きのある深い色合い、アメリカンブラックチェリーの暖かな滋味溢れる色調、ハードメープルの持つ光沢感、遠くアフリカ大陸まで目を向ければそれこそ色合いも杢もユニークな銘木があります。

ただ、そうした海外で育った材木を日本の独特の気候条件に合うように調整してあげるのは非常にたいへんなことです。

それができないと本来何十年と使うことができる家具がすぐに傷んでしまいます。

そうならないために、長く使い続ける家具をつくるためには多大なノウハウと時間、技術が必要になります。

そのノウハウは勿論、国産材にも活かされるもの。

結果として、そうしたノウハウと時間、熟練の技術を持つメーカーだけが国内外問わず多様な樹種を提供できる家具メーカーとなるのです。

家具蔵でも常時8樹種、一枚板天板を含めた扱いにおいては30種を超える国内外から集めた銘木たちをご紹介しています。

熟練の技術で出来上がる、様々な表情と特性を持った個性豊かな無垢材家具たち。

きっと、住まいと暮らしを華やいだものにしてくれることでしょう。

 

家具蔵の取り扱う樹種についてのご紹介はこちら

家具蔵の一枚板天板のラインナップはこちら

 


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