キッチンに耐用年数はあるのか?
2023.12.17
キッチンの耐用年数は「ある要素」で変わる
大掃除は年末になると毎年気になるもののひとつです。
整えたい場所は数あれど、そのなかで何かと手間がかかるところのひとつがキッチンではないでしょうか。
使用する頻度が多く、毎日掃除をしていてもそれ以上に少しずつ残ってしまう汚れの蓄積に頭を悩ませることも多いことでしょう。
キッチンを選ぶうえでは、デザインや機能性と併せてお手入れのしやすさもとても大切なポイントです。
美しい状態で長く使いたいと思うのは当然で、私ども家具蔵でもキッチンの打合せの際にはメンテナンス性についてのご質問は多くいただきます。
それと合わせてキッチンの「寿命」、つまり耐用年数についても聞かれることがあります。
キッチンの取り換えは大仕事であり、価格もそれなりにしますので「どのくらい使い続けられるのか」は大きなポイントでしょう。
後述するように「一般的な基準ではこのくらい」というものは存在します。
実際のところは、どのようなものでもそうかもしれませんが、普段の使い方やお手入れの方法、使う人数や頻度によっても大きく変わってくるものです。
気に入っているもの、愛着のあるものであれば自然と取り扱いも丁寧になり、きちんとお手入れもしたくなります。
逆に愛着が薄いものや、どこかに不満があるものは取り扱いもおざなりになって劣化も早くなりがちです。
今回はキッチンの耐用年数についてパーツ別に見ていくとともに、どのようなものを選ぶと長く使用できるのかをお話ししていきましょう。
キッチン各部の耐用年数は?
一般的に言われているキッチンそのものの耐用年数は「(およそ)10年~20年」です。
多くのシステムキッチンメーカーが「10年保証」をうたっていることは、逆を返せば「10年はもつ」ということの表れでもあります。
もちろん使い方や素材によっても使用できる年数は変わってきますが、10年程で機器の不具合やパーツの劣化、経年による汚れの目立ちなど気になる部分は出てくるはずです。
特にレンジフードや水栓などは油汚れ・水垢が取り切れずに「まだ使えるけれども何となく新しいものに変えたくなってくる」というのも10年くらいが目安です。
具体的にはレンジフード・ガスコンロ・IHヒーターで10年~15年程度、水栓は10年程度というところでしょうか。
キッチンの大元を成すワークトップやシンクもおおよそ15年~20年程度くらいと言われています。
機器については保証期間が概ね1年程度ものが多い印象です。
国産メーカーの食洗機や給湯器の寿命も10年程度ですが、ワークトップや面材と比べると機器については早期の故障や経年劣化も十分に想定内であり、その際に容易に交換ができるように、サイズや規格が統一されています。
また、床・壁・天井といった建築に関わる部分も水分・油分を大量に使用する場所ですから傷みは出てきます。
10~15年程度で何かしらの傷みは出てくるかもしれません。
排水管も20~30年程度を目安に交換することが推奨されています。
キッチンそのものを変えるタイミングとは
おおまかにキッチンを構成するものとその一般的な耐用年数をざっと並べていきましたが、それぞれに機器や本体部分の耐用年数は異なります。
家庭によってそれぞれ使用頻度も異なり、キッチンの全ての部分が一度に使えなくなるということもありません。
決定的にダメになってしまった部分を一部交換する、というのが大抵の場合ではありますが、ある部分だけ交換しても他の部分とのバランスが悪くなるなど、今度はそれ以外の部分が気になるということもありえます。
都度、部分的な修繕を繰り返すよりも、キッチンをまるごと交換した方が結果的にコストも抑えられる場合もあり、そうなると「キッチンそのものの総合的な見直し」へと傾いていくでしょう。
タイミングとしては「経年劣化による使用感の悪化(でストレスを感じる)」「掃除の限界による衛生面・安全面での不安(を感じた時)」「風呂・洗面等水回りのリフォームに合わせて(キッチンもまとめた方がお得になる)」といったところでしょうか。
あるいは家族構成やライフスタイルが変わるときも、キッチンそのものを交換する良い機会かもしれません。
このような場合には、キッチンをリフォームすることで、快適に暮らせることのメリットがおおいに感じることができると考えます。
長持ちする素材と「長持ちさせたい」と思えるには?
せっかくキッチンを新しくするのであれば、できるだけ長くきれいに使えるようにと考えるのは当然のことです。
そのためにはどのようなキッチンを選ぶにせよ、そのメインとなる天板や面材・収納の内部など、機器のように簡単に入れ替えが難しい部分をどういうものにするかがキーポイントとなってきます。
システムキッチンからオーダーキッチンまで、キッチンの選択肢は今ではとても多くなりましたが、これはどのようなものを選ぶとしても鉄則となります。
例えばワークトップ。
ステンレス・人工大理石・クォーツ・セラミックなど今では様々な素材が選べるようになりました。
セラミックは熱や汚れへの強さ、人工大理石は汚れを研磨してきれいにできるなど、どの素材も一長一短があります。
大定番のステンレスは、衛生性・メンテナンス性をトータルで見た場合に非常に優秀な素材だと言えます。
また面材については愛用者も多く汚れやキズに強い代表格はホーローです。
鉄をガラスコーティングしたホーローは、水平面の使用にはあまり向いていませんが、汚れが拭き取り易いことと劣化が少ないため、長期の使用でもきれいに使い続けることができます。
そして木目調のキッチンにしたいという方の場合は、木目のシート材や突板ではなく、無垢材を選んでいただきたいところです。
最近ではリビングダイニングと合わせてキッチンも家具のように、と考える人も多く木目調のキッチンはキッチンメーカーでもたくさん見かけます。
ただ、写真映えや使い始めの頃は美しくても、表面に面材を貼り付けたものいずれは剥がれてしまいます。
無垢材の場合は、木そのものですからシートの剥がれということはありえません。
多少のキズくらいなら味になり、最終的には傷みのある部分を削り直して元通りにすることも可能です。
元来耐久性に優れた素材であり、長く愛用していくことができるものと言えます。
そして、そのなかで出てきた風合いや手に馴染む感触は必ず「愛着」となって大事に使っていけるはずです。
今回はキッチンの耐用年数に触れてお話ししてきました。
いずれの場合も長くきれいに使えるかどうかは、そのキッチンを気に入っているかどうか、愛着を持っているかどうかに大きく関係しています。
これはキッチンに限らず、家具や洋服・時計などにも共通しますが、本当に気に入っているものは丁寧に扱うはずです。
手放したくないと思えるキッチンに整えることが、実は一番の長持ちの秘訣かもしれません。
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