「『木』と暮らす心地よいインテリアを考える 第三回」
2016.8.14
皆さん、こんにちは。
お盆休みのシーズンを迎え、各地へお出掛けの方も多いかと思います。
海へ、山へ、海外へ、ご実家へ…。
この時期にしかできないことを存分に楽しみたいものですね。
さて、引き続きご紹介しております「『木』と暮らす心地よいインテリアを考える」も今回を含めてあと2回で終了です。
前回は、「雑木林から学ぶインテリアの要素」として、「自然の生態がつくった無理のない配置はインテリアの配置計画に活用できる」という点についてお話し致しました。
(詳細はhttp://kagura.sakura.ne.jp/kagura/old_img/blog/entry-000358.htmlをご覧になってみてください)
今回・次回と残る2つの要素について、ご案内を進めていきたいと思います。
2.「天然色の自然な交じり合い」→インテリアの色彩計画
様々な樹種や新緑・紅葉など季節による色の変化を、色を揃えるだけではない、「気持ちの良い調和」に活かす。
A 色の概念と基礎用語を知る
ご存知の方も多いかと思いますが、色の捉え方としては「暖色と寒色」「興奮色と鎮静色」「膨張色と収縮色」という分類方法などがあり、例えば暖色と寒色で体感温度差は3度もあるといわれます。
さらに「有彩色」(=赤や青など色味あり)と「無彩色」(=白、グレー、黒など色味なし)という概念も重要です。
「トーン」(色調)とは、有彩色の中の明るさと鮮やかさを組み合わせたもの。
色自体ではなく、トーンを調和させる手法もあります。
高彩度のオレンジを低彩度にして明度を高くすると白木のような色合いになります。
木は温かな暖色を少し落ち着かせ、白(光)を混ぜたものであることが判ります。
こうして考えると、木の色が人を和ませるのも納得できますね。
インテリア用語としては、ベースカラー(床壁天井など最も面積の大きい基本色)、コントロールカラー(カーテン、家具、ラグなど)、アクセントカラー(小家具や絵画、雑貨、花など)が重要な基礎用語。
この3つで色を組み立てながら調和を考えます。
トーンを揃えて調和させた好例。ここにアクセントカラーで差し色を。
B 床色別での木の家具コーディネートのポイントを覚える
お客様から寄せられる最も多いお悩みのひとつが、床の色や素材と家具をどのように合わせたら良いか判らない、というもの。
調和のさせ方には本来様々な方法があり、あくまでも一般論となりますが、参考にしておいてもよいかも知れません。
・明るい床には、なるべく同色か同程度の色を。
(全てを明るくするとぼやけた印象になるので差し色を入れるとグッと良くなります。)
中間色の家具を置く場合は全て色味を揃えること。
逆に白系に濃い色の組み合わせはモダンな雰囲気をつくりやすいので、こちらもお勧め。
・中間色の床には、同色か床より明るいものを。
床より濃いものを置くと上記よりさらに圧迫感が出るので注意。
赤色系、黄色系に分かれるので、色の濃さは違っても系統を揃えられると良いですね。
・濃い目の床にはやはり濃いものが最も合わせ易いが、しっかりと意図をもった選択をすれば中間色でも調和は可能。
理屈は同じで白木系との相性もよく、リゾートや非日常性などを演出できます。
C 木の色を心地よく調和させる5つのテクニックを活用する
すでに決まっている床材の色や既存の家具、カーテンなど全てを思い通りに揃えたり変えることは難しいものですが、この5つを応用することで、自分なりのコーディネートを楽しむことができるようになるはずです。
・「合わせる」でなく「つなげる」意識
セオリー通りにいかない場合は小さい家具やラグ、カーテン、クッションなどによって、色を馴染ませるようにしていくと良いでしょう。
彩度の低いアイボリーやグレー系のラグ、植物の緑、黒く小さなアイテム(鉢・置物・額)、などが特に効果的です。
・ きっぱりと 「わける」
無理に合わせようとした結果、微妙に異なる木の色が混在するよりも、明度の全く違った色を合せたほうが気持ちよい空間になります。
(その方向性を進めたものがいわゆる「モノ・トーン」=白黒で構成された世界です)
写真はトチのテーブルとそれぞれ異なる樹種の椅子。
大樹を囲む木々たちの風景とリンクするともいえますね。
・場所の「性格・用途でまとめる」
屋内すべてを同じトーンでまとめることが難しい場合は、ダイニング、リビング、寝室といった場所ごとにテーマを決めて木の色の違いを楽しむのもお勧めです。
同時に視界に入るLD空間も敢えて色に変化をつけて受ける印象を操作するテクニックも。
・「天然色の無垢材」という選択
木の天然色は本来、無数のグラデーションが交じり合った複雑な色を内包しています。
見る角度や切り出し方、仕上げ方の違いによる色の変化、または経年変化による色素の変化が合わさる様は色合わせの概念を超え、「雑木林の心地よさ」に通じる最高の色彩計画といえるでしょう。
・ 色ではなく 「樹の性格で選ぶ」
「生き物」である樹にはそれぞれはっきりとした性格があります。
陰樹、陽樹の分類から原始系・進化系、野生派・頭脳派など様々なキーワードで語られる樹のことを知り、自分や家族との相性を確かめた上で、我が家(のインテリア)に迎え入れるという視点を持つとよいでしょう。
今回はここまで。
いかがでしたでしょうか?
次回は3つめの要素とまとめのお話となります。
ご期待ください。
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