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自然災害に負けない家づくり その1

2020.2.18

 

今後の住宅設計では強風・豪雨・地震だけでなく、温暖化が進む中で豪雨や猛暑などの自然災害への対策が必要です。

近年、従来はあまりなかった自然の猛威が日本列島を襲っています。

特に2018年、2019年は被害が多くありました。

自然現象には、地震や台風の様に、現在の技術でも、ある程度有効な事前対策を準備出来るものと、津波や土石流の様に、対処が難しく自身では被害が避けられないものがあります。

後者の場合、災害の発生が予測される地域に木造住宅を建てない事が、一番の有効な対策になります。

しかし、現実的は予算の事や駅からの立地などを検討する中で、危険性のみにこだわっていられない場合もあるでしょう。

そんな時にその両者の兼ね合いを取る為の知識が必要になります。

2018年度の防災白書では、自然災害につながる可能性が高い、日降水量100~200mm以上の年間降水日数が、今後日本のすべての地域で増加すると記載されています。

35℃を超える猛暑日も増えるであろうと言われています。

猛暑日が増えると、高温多湿でカビや腐巧菌が木部に発生しやすくなり、通気と換気の重要性が増す事でしょう。

 

強風時の注意点


日本では台風や竜巻などの突風により強い風が良く吹きます。

木造住宅における強風被害を受ける部分のたいへん大半は、屋根・窓などの外装材です。

強風被害を減らすためには、

「モノを飛ばさない」

「飛んできたモノから守る」

事が基本となります。

モノを飛ばさない点から考えた場合、屋根は強い風に直にさらされるために屋根葺き材が、よく飛ばされます。

実は和瓦はすべての瓦を屋根に留め付けていないケースがほとんどです。

その場合、30M/s程度の風で飛ばされてしまいます。

その一方、一枚づつ留め付ける洋瓦やスレートは簡単に飛ぶ事はありません。

しかし、留め具となっている釘や針金がさびるなどすると、その弱い部分から飛ばされてしまう事もあります。

金属板葺きの場合、金属板全体がはがされて飛んでしまう為、周囲に大きな被害を与えてしまう場合もあります。

経年劣化などがないのか、日頃からの確認とメンテナンスが大切です。

 

 

次に飛ばされてきたモノから建築物を守る為には、どうしたら良いのでしょうか?

被害を受けやすい最たるものは窓です。

窓が割れてしまうと大きな開口が生じます。

そうなってしまうと、建物内の気圧が上昇し、天井や屋根が外側に押され、屋根全体が飛んでしまうおそれがあります。

2019年の台風15号で千葉県鋸南町の家々の被害がこれにあたります。

最近の建売住宅には天戸の無い家も散見されますが、防犯・防災の観点からも雨戸の設置は重要です。

ぺアガラス・網入りガラスと併せて、必ず検討する様にしましょう。

また、窓の構造自体も設計段階から検討をすべきです。

窓の損傷をなるべく軽減するために、屋根の柱や梁への緊結にも気を配る事を忘れずにしましょう。

設計段階での風力は平均値ではなく、台風の時の強風を想定する事も大切です。

風速が2倍になると、その力=風圧は4倍にもなります。

 

今後の台風の予測


気象庁気象研究所などの予測では、日本に接近する台風の数は今後減る予想となっています。

しかし猛烈な台風の接近数は増加の予想になっています。

さらに接近時のコースも見慣れた現在のコースよりも東に寄ると予測されています。

その兆候は既に2016年の台風28号が東北に、2018年の台風12号も太平洋沿岸に東から接近するルートとなりました。

記憶に新しいところでは、2019年に千葉県に甚大な被害を出した15号、関東から東北までの広い地域に被害が出た19号もありました。

これまで比較的ルートから外れていた地域にも、台風の対策が必要になっています。

 

屋根の強度を保つために


日本の建物は、夏は日差しを遮られるように、冬は住まいの奥まで日差しが入る様に、さらには外壁や窓を雨から守る為に、軒の出を深くする傾向があります。

しかしこの軒は、軒桁を知時点とした、片持ち梁で建物の外側にはねだしている構造です。

この片持ち梁の強度を出すために大切な事が、室内側にも連続した構造を持ち、

かつ各指示点がしっかりと留まっている事です。

軒先の垂木は瓦や金属板等の屋根材・天井材・雨どいなどの荷重を受けるだけでなく、積雪時はその重量を、暴風時には噴き上げる力・葺き下ろす力が加わり、多方向に繰り返し荷重を受ける場所です。

したがって軒の出が深くなるほどに、接合強度を高める必要があります。

 

雨漏りを防ぐために


雨漏りを防ぐ方法は大きく3つあります。

①雨漏りの可能性がある孔をすべてふさぐこと=防水

②雨漏りの可能性があるところに雨水を近づけないこと

③薄いが孔を通って移動しない様にする

この②と③がいわゆる「雨仕舞」とよばれる建築の本質であり、防水材料に依存しない雨漏り対策です。

陸屋根も可能にした防水は、意匠に無限の可能性を与えました。

しかし、材料の連続や接着により成立する機能になる為、施工精度や工事管理の良否に左右されやすいというデメリットがあります。

その点、雨仕舞は例えば、軒の出を大きくして強度のある外壁を合わせれば、

部材感が不連続であっても、雨水を適切に処理する事が出来ます。

 

この様に、これから新築を検討する際は、異常気象を前提とした住まいづくりが大切です。

 

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