キッチンの基本的なサイズの定義を知る
2019.6.20
「定義」というと少し難しく感じますが、使い易いキッチンとはどのようなサイズなのか?
という言葉に置き換えて、考えてみることにしましょう。
以前のブログで英語で様々な材料の「基本、規格サイズ、基本的な単位」という意味の「モジュール(module)」から、主に物作りの基本となる「基準寸法」を取り上げました。
使い易いキッチンといっても、空間の一つの要素ですから、キッチン単体の完成度が高くても、
空間全体、例えばLDとの繋がりを無視することはできません。
すなわち住まいの基準に合わせて、設置するキッチンの基準寸法が設定されています。
住まいは「尺モジュール」「メーターモジュール」という設計の基本となる基準寸法で作られています。
キッチンの寸法もJIS規格があり、間口、奥行、高さといった基本寸法だけでなく、台輪や蹴込についても決められています。
そうすることで、新築だけでなく、将来のリフォーム時においても、キッチンのサイズや様々なパーツ機器が規格化されていることで交換が容易にできるようになっています。
動作寸法について
調理や家事を行う時、様々な姿勢を取り動作をします。
材料の準備、下ごしらえでは野菜や素材を冷蔵庫から出し、洗って切るという動作。
今度はお鍋やフライパンを出す、調理するという動作。
そして、食器を出して盛り付け、テーブルに運ぶ。
食後は食器を下げてお茶を入れ、最後に片づける。
と、簡単に書き出しましたが、これらは限られたスペースと時間内で日々行われていることです。
これらの動作に必要な、水平と垂直の寸法を合わせた空間を「動作空間」と呼び、キッチンやインテリア計画では、これらがスムースに動作できるようにすることが大切です。
水平作業動作寸法図:INTERIOR DESIGN SKILLS TEXTBOOKより
こちらは水平作業の動作寸法の図です。
肘を曲げて手の届く範囲を通常動作域と、腕を伸ばして届く範囲を最大作業域といいます。
通常作業域の平均的な左右幅は1180mm、奥に手の届く範囲は390mmでカウンターやテーブル、デスク面での動作寸法となります。
また、身長と手を横に広げた指極は、ほぼ等しい数値となりますので、最大作業域は身長が一つの目安となります。
この最大作業域の中でキッチンが作られれば、一番使い勝手は良いということですが、シンク、調理、熱機器と大きく3つに分かれる機能スペース、冷蔵庫や調理家電も含めますと現実的ではありません。
ワークトライアングルについて
そこでキッチンの作業を考える時に、作業基準寸法としてあるのがワークトライアングルです。
図:KITCHEN SPECIALIST HAND BOOKより
シンク→冷蔵庫→コンロの3点を結ぶ三角形、この3辺の和がワークトライアングルです。
理想の数値は3600~6600mmとなります。
数値は幅がありますが、住まいやキッチンスペース、レイアウトやサイズも考慮して数値は設定されています。
大きければ良いというものではなく、このトライアングルが長すぎても短すぎても作業に影響が出ます。
つまり、無駄な動きをなくす、スペース不足を解消するための目安となります。
作業動線の和であるワークトライアングルを目安として考えていきましょう。
さらに、日々の作業の中で、使いやすい部分、改善したい部分をまとめておきますと、キッチンを選ぶ時の
最大の基準となります。
誰のためのキッチンでもありません。
自分の使い勝手、またはご家族を基準に使い勝手や使い心地を検討してゆきましょう。
新しくしたけれど使いにくい…、ということにならないように、これまでの経験や体感したことを取り入れて、
さらに使い勝手を良くすることが大切です。
数値以外に求められること
様々な基準値がありますが、これらを検証した上で最後に考えたいのは使い心地です。
キッチンはLDの一つのエレメントとして考えられることが主流となりました。
空間に馴染むキッチンを考える時、LDKをトータルに考えた素材、デザインがキッチンにも求められています。
今ではキッチンを単体で考えるということはほぼ無くなっています。
対面式、または壁付けとは違い、独立型のキッチンであったとしても、LDや水回りの家事動線との繋がり、インテリアの統一感も選択の大きな要素となり、キッチンから暮らしを考えることは、LDや住まい全体の調和に
繋がります。
使い勝手と使い心地の両方を叶える木のキッチンは暮らしの中心であるLDKを豊かなものにしてくれます。
ご自身のスタイルをスパイスのように、少し取り入れて楽しく使える木のキッチン。
最近はベーシックキッチンをセミオーダーすることも多くなっています。
家具蔵では表参道店、吉祥寺店、横浜元町店にキッチンスタジオを設けています。
キッチン専門のスタッフが丁寧に提案を致しますので、お気軽にご相談下さい。
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