キッチンのモジュールについて
2019.6.8
モジュール(module)という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
これは英語で様々な「材料の基本、規格サイズ、基本的な単位」という意味のことです。
様々な製品で用いられていますが、主に物作りの基本となる「基準寸法」のことです。
例えばハウスメーカーで住まいを検討する為に住宅展示場に行ったとしましょう。
住宅の工法は様々ですが「尺モジュール」「メーターモジュール」という基準寸法があります。
これは設計の基本となる基準寸法のことです。
日本では主に910mm単位の「尺モジュール」が伝統的な住宅のモジュールです。
間取りや建具、造作材と同様にキッチンもこの尺モジュールに合わせて基準寸法、目安寸法を決めているのです。
畳の短辺は3尺=900mmですが、キッチンのキャビネット(本体の箱組)は300mm、またはその半分の150mmを基準としています。
日本工業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)は日本の工業製品に関する規格や、測定法が定められた日本の国家規格です。
システムキッチンの寸法もJIS規格があり、間口、奥行、高さといった基本寸法だけでなく、台輪や蹴込についても決められています。
一方、国際規格(ISO3055)の最小単位は100mmで、ヨーロッパでは食洗機やIH、オーブンといったビルトイン機器は300mmを基準に巾寸法が決められています。
キッチン、またはキッチンボードは各機器を組み込んで、いかに使い易くするかが、日々の家事の中で、重要ポイントとなります。
その為に、共通のモジュールにより、規格化されていることで、キャビネットや機器の生産性の品質を維持し、搬入、施工性までも考慮。
また新築だけでなく、将来のリフォーム時においても機器を規格化することで交換が容易にできるようになっています。
各ユニットのモジュール・「巾」について
キッチンでは主な巾寸法は2400mm、2550mm、2700mm、奥行は650mm、900mmでこちらを基準に各ユニットのモジュールが決まります。
例えば巾寸法では、シンクスペース用BOXが900mm、調理スペース用BOXが750mm、コンロスペース用BOXが750mm、この3つのBOX合計で巾2400のキッチンとなります。
シンク用のBOXにはシンクが、調理用のBOXには食洗機が、コンロ用BOXにはIHやガスコンロをビルトインすることになり、この各機器も150mmのモジュールで規格化されているわけです。
巾が2400mm以上になる場合は、調理用BOX、つまりシンクとコンロの間のBOXの寸法を900、1050と150mmピッチで広げてゆくと、計画しやすくなります。
キッチンは主にこの3つのBOXで構成されています。
例えばW450規格の食洗機の場合は調理用BOXを750mmに。
こちらを海外製のW600規格のタイプにする場合は、調理スペースを900mmにしますと総巾2550mmのキッチンとなりますので、機器とユニットのサイズの調整、また収納スペースの確保なども十分に考慮してプランを進めてゆきましょう。
ただしシステムキッチンの場合は、自由度が少ないのが難点です。
家具蔵ではベーシックキッチンを基準としていますが、+αの自由度を持たせて、フルオーダーではないものの、カスタマイズができます。
また無垢材を取り入れた家具調のキッチンなので、インテリア性が高く、空間をトータルコーディネートできるのが大きな特徴です。
キッチンでは他にフードを設置します。
こちらも下部の3BOXにビルトインされる機器と同じく、巾が600,750,900というように規格化されています。
基本的にはフードの下のガスコンロやIHの巾を考慮してフードの巾を決めてゆきます。
また吊戸棚を設置する場合はこちらも150mmのモジュールで計画すると、下部の3BOXとピッタリ合わせることができます。
共通の基準があることでプランがし易く、見た目にも美しいキッチンが実現できます。
各ユニットのモジュール ~ 奥行き、高さ
キッチンの奥行は過去には600mmの壁付けが多かったのですが、最近は水仕舞いや配管スペースを考慮し650mmが主流です。
こちらは基本の150mmのモジュール+αと考えられているわけです。
またアイランドやペニンシュラでダイニング側にカウンターを伸ばしたり、収納を設ける場合は900mmを基本として、ダイニング側の機能、収納量によって奥行きを変更することがあります。
機器をビルトインする部分ではないので、建築本体との兼ね合いや機能によってある程度の自由度を持たせています。
また、高さについては身長の1/2に+5cmを基準としています。
10mm単位で高さを選べることで、使い易く、体に負担のないキッチンの高さにします。
システムキッチンについては、モジュール化により無駄のない生産ができ、価格の統制も取りやすくなります。
また、ボックスに取り付ける引き出しや扉、上に乗せるカウンターについても基本モジュールをベースに、素材や色調等のバリエーションを持たせることが可能です。
システムであっても画一的なものではなく、多少の自由度はあると考えてよいでしょう。
しかし、キッチンがLDKの中心的な役割を果たすようになった現在では、機能性ばかりではなく意匠性や素材も重要な役割です。
フルオーダーで細かく設定するキッチンも多くなっています。
キッチン単体ではなく、空間全体を快適に整えるためには、キッチンから空間を考えるというコンセプトが重要になります。
まず、キッチンをどのようにプランするかが鍵になります。
無垢の家具、塗り壁、無垢の床材等、自然素材を多く取り入れたインテリアが増える中で、「木のキッチン」のご要望も多く寄せられています。
基本モジュールを考慮した上で、自由度のあるキッチンこそが快適で個性あるキッチンと呼べるでしょう。
家具蔵では表参道店、吉祥寺店、横浜元町店にキッチンスタジオを設けています。
キッチン専門のスタッフが丁寧に提案を致しますので、お気軽にご相談ください。
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