ウォールナットの産地はどこか
2019.5.20
ウォールナット最大の魅力は「色合い」と「希少性」
クルミ科クルミ属の落葉広葉樹であるウォールナット。
世界に200以上の種を数えるそのなかで「アメリカンブラックウォールナット」は数ある木材の中でも最高ランクの評価があり、勿論、ウォールナットのなかでも同様の評価と人気がある銘木です。
その名のとおり、主な主産地は北米大陸。
アメリカ東部から中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生しています。
紫色がかった深い暗褐色の色合いを持つ木は北半球ではこの木のみ、その希少性と木目の美しさから高級材の代名詞ともされてきて歴史があります。
アメリカ大統領の指揮台や最高裁判所のベンチなどにもこのウォールナットの無垢材が使用され、20世紀に活躍した建築家チャールズ・イームズも、ウォールナットの無垢材を好んでデザインしたことは有名です。
「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、チェアやテーブル、キャビネットといった家具や世界の高級車のウッドパネルなどに使われ、人々の憧れの的となっています。
素材としての優秀性
ウォールナット材の魅力の一つは、優れた加工性です。
厳しい寒さのもとで時間をかけて生長するため、硬く粘りのある材質を持つ一方、軽量で扱いやすく、加工性や塗装性にも優れているのです。
ウォールナットは湿った肥沃な土壌の環境下で十分な日照のもとに育ちます。
肥沃な土壌の中で育ったウォールナット材は、適度な粘りと堅さが特徴で、木工技法の一つである蒸し曲げにも適性が高いだけでなく、接着性にも優れています。
乾燥後に生じる湿度や温度の変化に対して狂いが少なく、高い精度が要求される椅子などの家具や銃床材などの調度品に利用されています。
ウォールナットの歴史
そもそものウォールナット材の歴史は、ヨーロッパ地方、王政復古のもとイングランド王にチャールズ2世が即位した17世紀後半までさかのぼります。
芸術や社交を愛したチャールズ2世のもとで、付加価値の高いウォールナット材が家具材として好んで使われるようになりました。
アンティーク家具で見かける脚のデザインの一つである、カブリオールレッグなどの新しい造形方法が生まれたのもこの頃です。
ウォールナット材が持つ独特の木目が高貴な印象を醸し出していることから、「富の象徴」として王族や多くの貴族の中で重宝されました。
同じく17世紀には、家具を製作するのこぎりなどの工具が発達し、ウォールナット材のような堅い木でも薄くカットできる技術革新が起こりました。
技術革新によってウォールナット材を薄くカットした突板が作れるようになると、綺麗な木目を模様の一部として家具の表面に貼る新たな技法が生まれました。
当時のヨーロッパでは、突板による家具の製作を高級材の木目をうまく生かす技法の一つと捉えており、家具のデザインそのものも、洗練されたシンプルな形に変化していきます。
用途によって異なるウォールナット
ウォールナット材を使用した主な家具には、主にアンティークタイプと無垢材タイプが存在しますが、それぞれのタイプに合わせて最適な樹種が選ばれます。
アンティーク家具用に製作されるウォールナット材は、ヨーロッパが主な産地となる西洋胡桃材=イングリッシュウォールナットというやや赤みを帯びたものを用いることが多いのが特徴です。
やや太めの導管が織りなす美しい木目を模様の一部として利用することを目的に、突板用に加工することで木目の美しさを引き出しています。
ウォールナットは、磨けば磨くほど光沢感が出てくるのも魅力の一つです。
表情そのものに華があるため、煌びやかな装飾を必要とすることがなく多くの家具で使われています。
無垢材として使用されるウォールナット材はアメリカンブラックウォールナット、つまりアメリカが主産地となることが多く、堅くて丈夫である材質の利点を利用し、分厚い板に加工して使用します。
重厚で堅牢な樹種であるブラックウォールナットは、ダイニングテーブルや椅子など日常使用する家具を中心に利用されています。
そして、長年にわたって使うことでその表情の変化や木目の際立ちを楽しみながら使い続けることが出来るので、多くのユーザーに好まれています。
日常の生活にウォールナット材の家具を取り入れることは、上質な空間とラグジュアリーな雰囲気を享受することを意味します。
ダイニングテーブルやダイニングチェアはもちろんのこと、本棚やリビングボードなどの各種収納家具、デスク、ベッドやソファのフレーム、キッチンまで空間の和洋を問わず、さまざまなシーンで活用することが可能です。
一般的に、木材は月日が経過すると色が濃く変化するものですが、ブラックウォールナットは経年変化で深い暗褐色の色合いが次第に明るく、木目も鮮やかになっていく性質を持っています。
使い続けることで風合いが変わり、味わいも増していく。
これもウォールナット材の家具を使い続けることで得ることのできる大きな魅力となっています。
関連する記事
最近の投稿
- 椅子は「座面に角度があるもの」を選ぶ理由とは? 2024年10月11日
- なぜ家具のサイズ選びは失敗が多いのか? 2024年10月9日
- 一枚板テーブルが「住まいの顔」となる理由は? 2024年10月7日
- 「椅子から決めれば」テーブルの高さで失敗しない! 2024年10月5日
- ダイニングテーブルは食事以外の活用法も含め考える理由とは 2024年10月3日
- 「一枚板」テーブルと「ブックマッチ」テーブルの違いとは? 2024年10月1日
- ウォールナット材がコーディネート性抜群な理由とは? 2024年9月29日
- 家具の素材は床と同じものを選んでよいのか? 2024年9月27日
- 「タタミベッド」の選び方とは? 2024年9月25日
- 2人暮らしに最適なテーブルのサイズとデザインは 2024年9月23日
カテゴリー
- 家具の選び方・置き方 (1,558)
- インテリア&住宅情報 (631)
- 人と木と文化 (395)
- ニュース&インフォメーション (438)
- オーダーキッチン関連 (403)
- 一枚板関連 (630)
- オーダー収納関連 (609)