「無着色」の魅力を深堀りする
2023.11.1
目次
「経年変化」という言葉をご存知でしょうか。
その捉え方は様々ですが、最近では使い込まれて味わいが出てきた状態を意味することも多く、「エイジング=熟成」と同じような意味で表現することもあります。
ものを長く大切に使うことは、昔から日本人が得意としてきた「もったいない」に通じることでもあります。
絨毯やキリムの原産地である西・中央アジアや欧米各地では、古いものであるほど価値が高まります。
それは羊毛という素材が使い込む事で艶が出て、美しく変化していくためです。
無垢材も羊毛も同じ自然素材です。
どちらも年月を経るごとに、色合いや質感が変化し、味わいが増していきます。
丁寧にお手入れをしながら、愛着を持ち、長く共に過ごしていく。
まるで人間の肌と同じです。
無垢材の魅力を一番に引き出す無着色
化粧をして美しく飾られた美もまた素晴らしいのですが、それによって表現された綺麗な肌より、生まれたままのスッピンの柔らかな肌合いの方が人間の肌も美しく感じられます。
赤ちゃんのスベスベの肌にはどんなきれいな化粧も敵わない魅力があります
無垢材テーブルや無垢材チェアも、着色料を塗られた状態では本来の美しさを感じることはできません。
無垢材の経年変化というと、表面の色味の変化を指すことがほとんどです。
色の変化の要因で最も影響するといわれているのが、紫外線です。
木材が持つリグニンという成分が紫外線を吸収し分解していきます。
その過程で木材の色が変化していくとされています。
着色料を塗ってしまっていては、このせっかくの変化は味わえません。
無着色だからこそ、その木の持ち味である風合い・躍動感のある木目・本来の自然な色を楽しめるのです。
無垢材は人間の肌と同じで傷が付き、手垢がつき、日焼けもします。
だからこそ、経年変化後は見るのも触るのも心地の良い風合いになります。
たとえ傷がついても、日焼けをしても、それが魅力的なのは、無垢材の持つ本来の自然美に普遍的な価値があるからです。
味わい深い色へ変化する無着色の無垢材家具
無垢材の経年変化においての代表的なものとして、美しい色の変化があげられます。
10年間同じ色をしている無垢材はひとつとしてありません。
樹種ごとに色濃く変化していくものもあれば、少しずつ明るくなるものもあります。
例えば、アメリカンブラックチェリーは、サーモンピンクのような淡い色で始まり、数ヶ月で深みのある琥珀色へと変わっていきます。
少し青みがかったダークブラウンをしているウォールナットは、数年経つと全体的に明るく、穏やかな赤茶色へと変化し、美しい木目が際立ちます。
このように無垢材は、樹種ごとに異なる色味の変化を経て風合いが増してきます。
傷も味わいになる無垢材家具なら無着色仕上げのものを
ダイニングテーブルやダイニングチェアは、日々の生活で必ず傷が付いてしまうものです。
もちろん、ソファや収納家具なども同様で、すべてのものは傷みが生じ、最初とは状態を変えます。
もし着色料が塗られたテーブルであれば傷がついた時、着色料が剥げ、見た目も大きく変わってしまいます。
気に入って買ったはずのテーブルも見た目が損なわれると買い替えたくなってしまうものです。
しかし無着色の無垢材家具であれば、傷がついても傷の深さに関わらず、色や素材感が変わることはありません。
最初は目立った傷みも程よく味になってくれるのが無垢材家具の素晴らしいところです。
仮に大きな傷が付いている場合でも、無垢材・無着色のテーブルやチェアであれば傷のついた表面を削り直し、仕上げ直しすることで、新しい木肌が出てきて、まるで新品のような状態に戻すことも可能です。
無垢材が醸し出す自然な美しいツヤ
削り立ての無垢材は、淡い色をしていたりすることも多く、どことなく初々しい表情が特徴的です。
しかしそれはある一定の期間までです。
なぜなら、無垢材は使い込むほどに表面が磨かれて、自然なツヤが生まれてくるからです。
無垢材テーブルの表面をなでたり、無垢材チェアのアームを握ったり、日々のそうした行動の繰り返しが、深みのある自然な美しいツヤを作り出すのです。
家具蔵が無着色の家具作りを行う理由
私たち家具蔵が無着色の家具作りにこだわる理由。
それは木目までもデザインと考え、長く使用できるものを提供したいというものからです。
無垢材は家具になるまでに数十年、数百年という年月をかけて育った樹木を使う材料です。
百年生きてきた木を使うのなら百年使えるものを。
そんな姿勢で家具作りを行っています。
そのために家具蔵は目利きの者が国内外の各地まで赴き原木を仕入れ、「製材立ち合い」「乾燥」「木取り」「組み立て」「仕上げ」とすべての工程を自社で行います。
そうすることで着色を行わずともクオリティの高い家具を製作することができるのです。
すべては「長く使うことのできる家具作り」のため。
そこにこだわるからこそ、無着色という手法にたどり着いたのです。
時間の経過とともに色の美しさが増し、傷さえも家族の歴史となる。
さらにメンテナンスを繰り返すことで愛着が生まれる、無着色の無垢材家具。
フレッシュな味わいだったワインが年月を重ねるほどに熟成し芳醇な味わいとなるように。
革製品が使い込むほどに自らの手になじみ、味わい深いツヤが生まれるように。
無垢材も、無着色であれば経年で表情が味わい深くなっていくのを楽しむことができる素材です。
10年後、20年後の姿を思い描きながらの家具選び。
「家具を育てる」そんなスタイルを選んでみるのはいかがでしょうか。
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