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無垢材家具の樹種ごとの経年変化の違いとは

2023.7.11

 

 

経年変化を楽しむことができる無垢材家具は無着色仕上げのものだけ


 

 

無垢材とはつまるところ原木(丸太)から切り出したままの自然な状態の木材をさしたものです。

それを使用して製作した家具は「無垢材家具」とカテゴライズされ、各方面で非常に高い支持を集めています。

その人気の理由は多々ありますが、そのひとつに「使いこんでいくことによる味わいの深化」つまり「長年使っていても古さを感じさせない」点があるでしょう。

無垢材家具は高耐久性を誇る素材であり、その作り方次第では何世代にもわたって使用することができます。

その間に古びていくのではなく「味」が増してくることは高寿命のものには備わっていないといけない条件とも言えます。

そしてその味わいの深化には「色合いの変化」も大きく影響しています。

「経年変化」という言葉は多くの場合「劣化」を意味しますが、無垢材家具のそれは「美化」「良化」という意味合いで使用して差し支えありません。

ただし、その経年変化を楽しむことができるのは「無着色仕上げ」のものだけです。

無着色、つまり自然の色合いでなければ「美化」といえるような変化は生まれず、そこで起きることは単なる着色の色褪せでしかありません。

無着色で無垢材家具を製作するためには仕入れの段階から素材のクオリティの選別も厳しいものとなります。

無垢材家具のなかでも「無着色仕上げ」のものは味出しの楽しみがあり、素材そのものの質もたいへん高いものと思って良いでしょう。

 

経年変化による色合いの変化の仕組みとは


 

この経年変化による色合いの変化は、どのようなメカニズムで起きるのでしょうか。

木は大きく分けてリグニン・セルロース・ヘミセルロースの3種類で構成されています。

そして、木の色味はアミノ酸やステロイド、ポリフェノールなどの抽出成分によって違いが生まれる仕組みです。

無着色仕上げの無垢材が経年変化による色合いの変化を起こす要因としてその殆どがこの抽出成分が「光」を吸収し分解していく過程で起こると言われています。

光には紫外線・可視光線・赤外線がありますが、主に紫外線の影響で濃色化し、可視光線の影響では淡色化すると言われています。

あるいは光以外にも微生物や金属、塗装などの影響もあると言われています。

 

 

色合いの変化のしかたや速度は樹種によっても違う


 

無着色仕上げの無垢材家具は、樹種、つまり木の種類を選ぶことイコール家具の色味を決める点に面白さのひとつがあります。

つまり、空間コーディネートにおける色の組み合わせという点ではどの樹種を選ぶかという点が非常に重要になってくるのです。

そして、その色合いの変化は樹種によって「濃くなる」「明るくなる」という点は異なり、その速度も異なります。

 

ウォールナット材は色味が明るくなる


 

 

ウォールナット材といえば、重厚で高級感のある濃茶色が印象的で、それが人気の一端でもあります。

このウォールナットの濃茶色は木の内部に含まれているフェノール酸化酵素の影響によって生まれています。

そしてそれは時間の経過とともに徐々に色合いを明るくしていくのが大きな特徴です。

決して「色褪せていく」というものではなく、滋味をたたえながらまろやかな茶褐色に変化していく様はまさしく経年美化そのものと言って良いでしょう。

そのことで水墨画を思わせるような木目がさらに引き立ち、凛々しさも増していきます。

また、空間コーディネートにおいて不必要に暗さや重さを与えないという点もウォールナット材の経年変化の良さと言えます。

 

チェリー材は鮮やかな色味の変化と「速度」が特徴


 

 

チェリー材はウォールナット材と並ぶ北米を代表する家具材であり、その鮮やかな赤褐色が印象的です。

温かみや温もりを色味そのものから感じやすく、コーディネート性も高いので人気を博しています。

このチェリーの赤褐色は最初からそうではありません。

製材したて、あるいは家具を製作したばかりのチェリー無垢材はむしろ薄桃色に近いような、まるで異なる明るい色合いであることも多いのです。

これが家具として使用していくうちに、光や内部の色素成分の影響によってみるみるうちに鮮やかな飴色に色合いを変えていきます。

白木と呼ばれる明るい色合いの樹種の経年変化は非常にゆっくりとしていますが、チェリー材は数か月が経過しただけでも明らかに色合いを変えるのが大きな特徴です。

色が濃くなる、というのは味わい深くなっていくことを視覚の上で実感しやすく、初期とのギャップの大きさとその経過も早いということは味出しの過程もより如実に感じることができるものです。

 

ナラ材やハードメープル材などの白木材の色合いの変化は緩やかに進む


 

 

ナラ材やオーク材、あるいはハードメープル材などのいわゆる「白木材」はナチュラルテイストの空間を志向する人、空間を明るく見せたい向きに支持が高い樹種です。

これらの樹種もやはり経年変化による色合いの変化は生じます。

当初の色合いよりも黄金色に近づいていく、あるいは艶のある薄い飴色感が出るなど樹種によっても変わりますが、チェリー材程の極端な変化とはなりません。

また、色合いの変化の進度も極めて緩やかで、日々毎日目にするうえではともすればその変化には気づかないこともありえます。

そのため、当初のイメージとさほど変わらない雰囲気での空間コーディネートが可能です。

樹種ごとによって木目の大小や出方、木肌の質感などは当然異なり、それによって空間における見え方とそれがもたらす雰囲気の醸成も変わるので、空間をどのようなテイストにしたいのか、埋没しないよう、あるいは悪目立ちしないようにするためにはどうすればよいかを考えながら選んでいくと良いでしょう。

 

 

無着色仕上げの無垢材は時間の経過とともに色合いが美しく変化します。

10年・20年と共に歳を重ねていく楽しみを味わうことができるのが最大の魅力です。

そのような無垢材を使用した家具を家具蔵各店でも数多く展示しています。

実際に店舗まで足を運び、見た目だけではない無垢材の魅力も存分に味わって下さい。

皆様のお越しをスタッフ一同心よりお待ちしております。

 

家具蔵の取り扱い樹種はこちらから

 

 

 


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