引出しレールの種類を知る
2023.7.10
収納家具は別名「箱物」とも呼ばれ、その作りはおおよそ数パターンに分類されます。
シンプルに箱だけで構成されたオープンタイプなどは、本棚や飾り棚として用いられることが多いものになります。
開き戸、引き戸といった扉を付けたものは、あまり視界には入ってほしくない雑多なものを隠す収納にしたり、またガラス扉などにした場合は飾り棚として中に入れたものをより引き立たせたり、埃が入りにくくするなどの効果があります。
引出しは「抽斗」とも書き、日本での歴史は350年ほど昔、江戸時代の寛文年間に衣服を入れる収納として生まれたとされています。
現在でも箱物の代表的な形であって、小物や書類はもちろん、衣服などの整理整頓にも適していて大変人気があります。
今回はご自宅の収納家具の中でも大活躍の引き出し収納の、用途に応じた選び方を、引出しの構造とともにお話ししていきます。
引出しの役割と引き出し収納を選ぶメリット
引出しの役割はもちろん、「ものを収納すること」です。
ただし、オープンタイプでも扉タイプでも「ものを収める」という役割は同じです。
どのような時に引出し収納を選ぶべきか、引出しそのもののメリットを見ていくとわかってきます。
まず、引出し収納は中に収納したものが見えず「隠す収納」として、空間をスッキリ見せてくれます。
また、奥に収納したものが取り出し易いという点も欠かせません。
扉収納の場合、手前に入れたものは一度動かさないと奥にあるものが取り出せないこともありますが、引出しは奥にあるものも真上から視認しやすく、ものを取り出すのに非常に便利です。
そして「上からものが取り出せる」点。
低い位置の収納は扉だと腰を屈んで探すのが少し億劫だったりしますが、引出であれば少し膝を曲げる程度で上から取り出せるので体への負担が少なく済みます。
摺り桟・吊り桟とレール
引出しを本体に収め、その引出しを開閉する際の仕組みとして、金物(レール)を使用するか否か、というものがあります。
レールも大きく分けて「スライド」「タンデム」があり、和箪笥などにみられるような金物を使わず、木の性質を読んで「箱の中に箱を収める」という構造を持つものもあります。
レールを使用しないものの代表格としては摺り桟・吊り桟(すりざん・つりざん)があります。
内部に手前から奥へと延びた桟のような細い板を組み、この桟の上を引き出しの側板が滑って行く、という方法が摺り残。
引き出しの側板に溝を切って、本体内部にはこの溝に合わせた桟を取り付け、差し込んで引き出しを出し入れする方法が吊り桟です。
単純な構造ですが、上下左右に箱が動いてしまうのを止める構造や、内箱をほんの少し台形にして引き出しやすくするなど、加工方法や職人の力量によって、丈夫さや見た目に大きな違いが出る作り方です
一方、金物を使用して引出しの開閉をアシストするものの代表格がスライドレール・タンデムレールです。
引き出しの側板に「スライドレール」という金具を付けて、スムーズに軽く動くようにするものです。
摺り桟・吊り桟は桟木と内箱の間に摩擦が生じて、重いものを入れると引き出しにくくなりますが、ベアリングがついているスライドレールは操作性が良く、重みがかかる引き出しには便利な方法です。
タンデムレールは引き出しの底板の下に金具を取り付け、出し引きを補助するものです。
スライドレールよりも開閉に力を要さず、強く押しても優しく閉まるソフトクロージング機能があります。
システムキッチンなどでは一般的に用いられている構造であり、重いもの等を入れる想定なら便利です。
レールは各メーカーから様々な機能が付いたものが販売されていて、押すと自動で開いてくれるプッシュオープンレールなども人気です。
用途によって使い分ける引出し構造
中に入れるものによって引き出しの構造も考えて選びましょう。
食器や食材などを入れるキッチン収納や、書類を沢山収納するデスク引き出しなどはスライドレールの付いたもので選ぶと、操作性が良いでしょう。
逆に小物や衣服など軽いものを収納する引き出しはスライドレールを付けるメリットが低く、価格も抑えられることから摺り桟や吊り桟を選ばれると良いでしょう。
特に衣服を引出し内に入れる場合は、防虫・防臭という観点からも、箱物本体と引出し内箱との間に空間が空き、またグリースなどが使用されているスライドレールは避けた方が無難です。
チェストなどを選ぶ時に引出しの構造まで気にする人は少ないかもしれません。
ですが家具を作る職人は、家具が使われる用途や環境を想定して、引出しにも様々な工夫を凝らしています。
私たち家具蔵も様々なスタイルでの引き出し収納をつくっており、それぞれに最適な引き出し構造を備えています。
家具蔵の収納家具をご覧になる際は、是非そのような細部にも目を凝らしてみて下さい。
職人家具ならではの理由がきっと見つかるはずです。
スタッフ一同お待ちしております。
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