赤い色を持つ樹種で空間を「華やか」にし「温かみ」を加える
2023.3.8
目次
世界に数えきれないほど分布する木には様々な樹種が存在します。
それぞれの樹種を家具材とするうえでどのようなものを使用するかは、加工性・剛性・その家具となるうえでの相性などがありますが、無着色仕上げで家具を製作したとして、それがどの基準で万人に選ばれるかというもののひとつに「色合い」があります。
ご存知のように無着色仕上げの無垢材は使用していくうちに色合いを変えていきます。
当初と比較して色合いが明るくなるもの、あるいは濃くなるものとがあり、その色合いの変化の進度や度合いも様々です。
とはいえ、白が黒に変わるような正反対の色合いになるわけではありません。
ウォールナットは黒に近い色合いから濃茶系の色合いに表情を変化させますが、落ち着いた雰囲気は持ち続けます。
また、ハードメープルやナラ、タモなどの白木材も本当にゆっくりと時間を掛けながら徐々に色合いを濃くしていきますが、元々持っている雰囲気が全く変わってしまうということはないのです。
無着色仕上げの無垢材家具が様々な空間に合う理由
木というものの内部=家具材として主に使用する部分は、多くのものが白に近い色合いを持っています。
特に北半球においてはその傾向が強く、ウォールナットが中世に人気を博したのは着色料もまだ現在ほどの進化を遂げていなかった時代に、着色をせずとも高級感のある落ち着いた色合いを持っていたことがその理由の一端です。
赤道から南、いわゆる南半球においてはユニークな色合いやグラデーションを持ち、それ自体が装飾となるような樹種も多々あります。
南米・東南アジア・アフリカ大陸は、そういったものが多く、銘木と言われながらも既にほぼ手に入らないような希少種も数多く存在します。
本来、自然のものというのは様々な色素が相まって「そのように見えている」ものであり、「○○色」と表現するのは私たちが何かの理由で判別をするための基準に過ぎません。
単純に黒でなければ白でもないわけで、だからこそ無着色仕上げの無垢材家具はその色合いの変化も伴ってどのような空間にも馴染みやすいのです。
赤い色味が空間にもたらす効果
赤い色味を強く持つ樹種も存在します。
厳密に「真っ赤」ではなくオレンジ色、飴色、赤褐色などと表現されるものがほとんどですが、この赤い色味を持つ樹種は様々な意味で人気を博します。
まず、合わせる空間を選ばないこと。
これは木目が比較的穏やかなチェリーなどで顕著ですが、様々な色素が折り重なって赤みをたたえた風合いに見えるので明るい空間・落ち着いた空間双方にすんなり溶け込みます。
また、このような色合いは温かみを感じやすく、空間を華やかに見せる効果があります。
さらに赤はいわゆるビタミンカラーであり、人に活力を与えるものです。
食欲増進にも効果があると言われ、白い食器やガラス製のものなども美しく映えさせるのでダイニング周りで使用するのにもピッタリでしょう。
このように「赤い」色味を持つ樹種で代表的なものを挙げるとするなら、諸説ありますが「チェリー」「ケヤキ」「ボセ」でしょうか。
この3つの樹種でもそれぞれに特徴はまた異なります。
風合いの変化が魅力で高い人気を博すチェリー
チェリー(アメリカンブラックチェリー)で一番に知っておきたいことと最大の魅力はその色合いの変化の強さと速さです。
製材直後、そして家具となった直後の薄桃色のような明るい色合いはあっという間に濃い赤褐色へと変化します。
その色合いの変化こそがチェリーの最大の特徴と言えるかもしれません。
また、無着色仕上げの無垢材の魅力をその色合いの変化による味わいの深化とするなら、それを最大限に表現する樹種でもあります。
そしてその穏やかで主張しすぎない木目は合わせる空間を選ばず、どのような空間にも合わせやすいコーディネート性の幅広さを持っています。
すべすべな手触り感も人気を博す理由の一つであり、総合的に見た際にチェリー材を選択する人は非常に多くみられます。
人が集まる場所にこそピッタリの「ケヤキ」
国産材の雄「ケヤキ」も赤みをたたえた表情を持っています。
チェリーのように徐々に色濃くなるのではなく、最初からある程度の赤みを持っているものも多いのが特徴の一つです。
建築空間において、柱など大きな部材を必要とするところにもケヤキはよく使われています。
寺社仏閣で建築材料として使われていることが多く、和太鼓の胴材ともなることから「和」のイメージも強いので和室空間でこそ映えると考える人も多いでしょう。
確かにその鮮やかかつ主張の強い木目は、和室の飾り過ぎないシンプルな趣にこそ映えるという考えはあってしかるべきです。
だからといって洋風の空間に合わないということは全くありません。
むしろその主張感が空間の顔としての存在感を発揮し、家族や来客が集う場所としての役割を明確に表現します。
そもそもケヤキは水源の近くに生える=その近くに井戸を掘ることができることから皆の集まる場所となっていた寺社に多数自生し、歴史あるものが多くなった経緯があります。
皆が集まる場所に生える木を皆が集まる場所に置くことはごく自然なことにも思えます。
主張が強い樹種だけに床材や壁面はなるべく大人しめのものと合わせるのがコーディネート面では得策です。
知られざる銘木「ボセ」
西アフリカに分布し、その木肌の色から「アフリカンチェリー」とも称される「ボセ」はチェリーやケヤキと比べると知名度は確かに落ちます。
しかし、銘木の世界にはよくあることですが知名度が低くても有名材にも引けを取らないクオリティがある樹種は多数あり、ボセもそのうちの一つです。
比較的まっすぐに高く生長することで長尺の美しい一枚板も採りやすく、注目を集めています。
アフリカ大陸という世界でも有数の厳しい環境で育つ樹種だけにその表情はチェリーと比較するとやや強く主張するかもしれません。
ワイルドさと優しさが絶妙に混ざり合う表情を持ったボセはこれから日本の住まいの中でも注目をされていく銘木です。
「赤い」色を持つ樹種は空間に華やかさと温かみ、そしてコーディネートの多様性をもたらします。
これらの樹種は実際に家具蔵各店でもご覧になることができます。
それぞれの展示を通して、華やかで温かみのある空間を感じ取ってみて下さい。
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