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床暖房のある部屋で無垢材家具は使用できるか

2022.10.23

 

 

今年も冬が徐々に近づいています。

もう少し冷え込んでくると、室内で暖房器具が活躍し始める頃となってきます(地域によっては既にフル稼働というところもあるでしょう)。

床暖房はこたつ・ストーブ・ファンヒーター・エアコンなどと比べると、その導入の比率は少ないかもしれません。

ですが、寒冷地を中心に多くの住居で装備されているものでもあり、新築や改築の際にはその導入については必ずと言ってよいほど、その要不要の確認が行われます。

 

無垢材家具は床暖房の上に置いても大丈夫か?


 

 

床暖房は「足元から暖をとることのできる心地よさ」が魅力のひとつです。

フローリングなどの床仕上げ材の下部、あるいは床材の内部に組み込まれた熱源で足元を温め、室内の温度の上昇に貢献します。

エアコンなどではなかなか足元や膝元までは暖まらない、といった悩みを解消させ、足裏が触れている床という場所から直接暖かさが伝わってくることで足元をダイレクトに暖めることができます。

私ども家具蔵で、この床暖房を採用している住戸に住んでいる人からよく聞かれるのが「無垢材家具は床暖房の上に置いても大丈夫ですか?」という質問です。

 

無垢材家具は床暖房の上で使用できる、が…


 

 

結論から言えば「大丈夫」です。

ただし、これには「事前の乾燥などでじっくり時間を掛けたもので確かな技術で製作されたもの」という条件がつき、その条件次第では反りや歪みなどの変形の可能性は高くなるので注意が必要です。

私ども家具蔵の場合は「100%それは起こりえない」ということは決して公言はできないまでも、限りなく低い確率となるように無垢材が家具材となる前の段階において長い期間と手間を設けています。

 

 

無垢材家具における乾燥の重要性


 

床暖房を使用する・しないは抜きとしても現代の住まいというものは気密性が高く、それゆえに木材にとっては過酷な環境となりえます。

日本には四季があり、地域によってその寒暖の差も大きく、また、乾燥の度合や湿度の高低なども季節や地域で変わる世界でも有数の条件を持った国です。

その中で部屋の温度や乾燥具合は季節によっても時間帯によっても大きく変化しており、それにともない室内の湿度も変化します。

家具となる木材がその条件の変化に耐えることができるようにしなければいけません。

特に「木そのもの」とも言える無垢材家具ではそれが大きなポイントとなります。

木というのは立ち木の状態ではほぼ水分といってよいほど、その内部に水分を滞留させています。

その水分を取り除くこと、それが乾燥(の工程)です。

無垢材家具を選ぶ際にとても大事な要素のひとつが、この「乾燥の工程はどのようになっているのか」を確認することとなります。

 

 

家具蔵の家具づくりと乾燥の工程①


 

家具蔵の素材選びは、目利きの人物が現地に赴き、原木を選定・買い付けを行います。

そしてわずかなズレも起きないように、しっかりと立ち合いを行って指示を出しての製材を行います。

そうして製材されたものは、(原木の状態でさした場合の)一本ずつの単位に分け、天日の下で「自然乾燥」させながら長い時間をかけ、ゆっくりと水分を抜いていきます。

海外のものでも日本の気候に馴染むようにじっくりと水分を抜いていくのです。

内部に含まれる水分量、いわゆる「含水率(木の中の水分の保有量)」が12~13%までになるまで自然乾燥しながら、その間は風通しを良くするための桟棒を挟み、積み重ねて保管します。

外で光や風にさらされながら、蓄えられた水分を発散することで「動き」の少ない板になっていきます。

さらに、現代の気密性の高い室内でエアコンや床暖房などにさらされる木にとっての過酷な使用状況を考慮して、含水率を6~7%になるまで機械乾燥及び養生を行うのです。

家具となった後の環境に適応できるよう管理を徹底しています。

そうすることで長く安心して使っていくことが出来るようになるのです。

非常に長い時間と乾燥の間も職人が目を配り管理を徹底していきます。

このように長い時間を掛けて乾燥を行う、それをいち家具メーカーが行うことはじつはそれほど一般的ではありません。

それは工程が難しく、時間が掛かるからに他なりません。

実際に高耐久で長期の使用に耐えるものをつくろうとするとき、乾燥という工程は手間と技術を要します。

それほどまでの労力を要して家具づくりを行うことができるところ、というのは非常に少ないのです

 

家具蔵の家具づくりと乾燥の工程②


 

 

家具蔵の無垢材家具は、そのように時間を掛けて「これ以上動きが起きないように仕立てた無垢材」をパーツの切り出し、大まかな面取りなどの部分には機械加工も取り入れ加工効率をアップさせながら日本が誇る伝統の木造建築の工法を生かして製作されています。

「機械のスピードに頼るところ」と「手間をかけるところ」をバランス良く振り分けることで長く使うことのできる高品質な製品のコストダウンを図っているのです。

木目の流れを活かしながら各パーツを木取りし、それぞれのパーツは絶妙で滑らかなラインへと削り込んでいきます。

曲木では実現できない個性豊か年輪の表情が美しく現れ、彫刻のような複雑な造形を可能にします。

木目もデザイン、と考えるが故の製法です。

そして日本が誇る伝統の「木は木で締める」木造建築技術を応用した木組みにより接合していきます。

安易に釘などの金物に頼らないことが強度を確保し、何世代にも渡って使い込むことのできる丈夫さに繋がるのです。

昔ながらの製法へのこだわり。

いくつもの道具を細かく使い分けること。

生産性の向上を理由に機械化が進む中、あえて手仕事を残そうとするのは機械では出せない滑らかで絶妙なラインや接合技術、また、木が本来持っている美しさを引き出せるからです。

 

 

床暖房では家具のレイアウトと形状で電気代を節約する


 

 

気を付けるべきはその配置方法です。

床暖房は床の全面に敷設することはなく、全体のおよそ60~70%程度になることが一般的です。

とくに室内の中心部分に敷設することが多くなるため、家具を配置することが多い壁際などは床暖房が設置されることはあまりありませんが床暖房の装備された部屋に、テレビボードやチェストなど面積の大きい家具をたくさん置くと、床からの空気を遮ってしまい部屋が温まりにくくなります。

暖房効果を下げてしまうため、電気代が余計にかかる可能性もあるので注意が必要です。

ボード類やソファなども脚付きのものを選ぶのがお勧めです。

 

床暖房の装備された部屋の中ではその範囲の確認と脚付家具を置くことによって、熱がこもらない状態にすることが大切です。

また、無垢材家具の購入は乾燥工程をしっかりと行っている、それをしっかりと説明できる家具販売店がお薦めです。

 

家具蔵の家具づくりの詳細はこちらから

 

 

 

 

 

 


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