「木のキッチン」の選び方
2021.4.20
『インテリアキッチン』という言葉を聞いたことはありますか?
キッチンがLDKの中で、単なる料理を作る設備ではなくインテリア空間の一部として考えられるようになっているこの頃。
床や壁の仕上げ・家具とともに、キッチンにもその素材感が求められています。
特に自然素材を中心とした内装の中では、キッチンもそこに馴染むように、と考えるのは至極当たり前のことかもしれません。
そのため、システムキッチンメーカーの多くが木目調の面材を多く取り揃えていて、グレードに応じて木目プリントのシート材から天然木のものまで、木の風合いをもたらすものをたくさん目にします。
ただ、いわゆる木目調のものは本物の無垢材と比べたときにはその質感にはやはり差が出ます。
そのため、色々なキッチンメーカーのショールームを見に行っても納得できなかったという声も多いのが実際のところです。
キッチンは毎日使うもの、長い時間を過ごす場所です。
せっかくであれば本物の木で作ることをお勧めします。
表面だけを木目調に仕上げたものは、長く使う中でやがてはがれてしまうなどの劣化もあり、どうしても見た目が悪くなってしまいます。
本物の木であれば、キズさえも使い込んだ味になり、年月とともに本物の風格を醸し出してくれます。
今回は、木のキッチンの中で「造作キッチン」と「無垢材キッチン」についてお話していきます。
造作キッチン
造作家具という言葉は耳にしたことがある方も多いと思いますが、いわゆる「つくりつけ」と呼ばれるものです。
基本的には現場で木工事を担当する大工さんが作るキッチンが「造作キッチン」です。
工場で組み立てられた収納を現場で組み上げて作るものや、場合によってはすべて現地で組み立てるということもあります。
この場合一般的に最終的な仕上げを現場で行う為、その完成度は大工さんの腕が試されるポイントでもあります。
また、設計については工務店やハウスメーカーの設計者との打ち合わせとなり、そこにキッチンの専任者などがいる場合もあれば、すべてを設計者が担当する場合もあります。
担当者にもよりますが、ある程度キッチンについての知識を依頼者側も持ち合わせていないと、細かい部分のつくりなどが見えてこないこともあるので、打ち合わせには時間を要します。
ただ、逆に考えれば現場で組み立てていく為、若干の変更なども状況を見ながらの判断ができることはメリットかもしれません。
ひとつひとつが手作りのため、完成がなかなかイメージできない場合も多いので、実際にその工務店がこれまでに製作したキッチンを見学会などで見たり、写真などで事例を比べて検討したりすることも、造作キッチンを選ぶ際には必要なステップです。
新築やリフォームの期間中、現場に足を運んで細かく確認ができる環境の方や、手作り感のある仕上がりが好みの方には造作キッチンが合うでしょう。
無垢材キッチン
冒頭でお話した『インテリアキッチン』に属するのはこちらのキッチンです。
システムキッチンメーカーが木目調のキッチンをカタログにも多く掲載しているのは、キッチンがどんどん家具に近づいているという証です。
その逆も然りで、家具メーカーでキッチンまで作るという方も年々増えてきています。
家具メーカーでキッチンを作る最大のメリットは、家具と同じ素材で統一して作ることができるということ。
素材感を合わせるだけでも、その空間の見栄えはもちろん、居心地も断然グレードアップします。
また、キッチンと家具が同時に打ち合わせできるということも、打ち合わせの多いリフォームや新築のシーンでは、施主側の時短メリットにつながります。
中でも、近年さらにその存在感を増している無垢材のダイニングテーブルやチェア。
そういったものを中心とした空間の場合、キッチンまで無垢材でコーディネートされた空間はインテリア性が高まるだけでなく、自然の風合いと雰囲気に包まれたとても居心地の良いものとなります。
当然本物の木ですから、貼り付けたもののように剥がれてくるといったこともありません。
むしろ無着色で製作したものは、徐々にその色合いを美しく変化させ、味わいを増していきます。
長く使用することが大前提となるキッチンにおいて、そのことが価値になることは何にも増して特別なことではないでしょうか。
ひとことで「木のキッチン」といっても、様々な素材・樹種が存在します。
新築やリフォームといった機会は人生の中では多くても数回です。
ある程度の時間と手間はかかりますが、暮らしの中心となるキッチンを納得いくもので選ぶ際には、このせっかくのチャンスを無駄にしないためにも、様々なキッチンを見て・触れて、実際にどういった違いがあるのかを確かめてみて下さい。
その中で、直感的に『これは素敵』と感じたものはきっと心に残ります。
家具もそうですが長く時間を共にするパートナーとして、そうしたインスピレーションを大切に理想のキッチンと出会っていただければと私たち家具蔵は考えます。
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