北の名樹・ハードメープルを知る
2016.6.13
皆さん、こんにちは。
梅雨の季節を実感するような空模様の日も多くなっていますが、街にはだいぶ半袖姿の方も増えてきて、少しずつ夏へ向かっていることを実感します。
抜けるような青空と、降り注ぐ太陽が待ち遠しいですね。
ここ数回のブログでは家具蔵で扱う広葉樹を紹介していますが、今回は美しい木肌から真珠にも例えられる「ハードメープル」についてご紹介します。
日本では「カエデ」や「モミジ」として親しまれているメープル。
その種類はとても多く、全世界で200種類以上といわれています。
そのほとんどが北半球に生息し、産地として有名なのが国旗にも象徴されるカナダです。
同じカエデ科に属するメープルでも、日本と北米のものでは主に高さが異なります。
北米に自生するメープルは25mから30mにもなる背の高いものが多く、それに対して日本や中国のカエデは15m以下のものがほとんどです。
日本のカエデで最も大きくなる「イタヤカエデ」でも20mほどですから、北米のメープルがどれほど大きいかがわかります。
家具蔵で扱うのはシュガーメープル、ブラックメープル、ロックメープルに代表される硬質なハードメープルです。
北米では、ホワイトアッシュと同様に、生活道具や建物などに盛んに使用されてきました。
シュガーメープルといえば真っ先に思い浮かぶのが、樹液から作るメープルシロップではないでしょうか。
低力ロリーでミネラル豊富なメープルシロップは、古くはネイティヴ・アメリカンの人々、現在においては全世界の人々に親しまれているなど、人間の生活に切っても切れない樹である事はご承知の通りです。
その木肌は絹のような光沢感があり、光を受けるとキラキラと美しい輝きを放ちます。
独特の木肌は、称して「木の真珠」と喩えられ、他の樹種にはない美しさと透明感を醸し出します。
清潔感と爽やかさを併せ持つメープルは手触りもスベスベ。まさしく「真珠」。
この白く輝く美しい木肌の秘密は伐採の時期にも大きく関わってきています。
伐採時期はマイナス30℃もの極寒の真冬。
これほどの寒い時期に伐採が行われる理由には、生長期を迎える春になると樹液の糖分の影響を受けて、木肌が黄色くなってしまうからです。
厳冬の森の中、厳しい環境で切り出されるからこそ得られる美しさ、というわけです。
太古の昔から重要な材として様々な用途に使われ続けているメープルは、人間にとって多大な恩恵を授かっている生命の恩人的存在です。
また、美しい木肌と経年による上品な飴色の優しい表情とは裏腹な高密度の細胞構造が抜群の耐久性をもたらします。
更に衝撃に対する強度は他に比類がなく、強いて言えばブラジリアンローズやホンジュラスマホガニーなど世界最高峰の銘木に匹敵する程の高耐久性が人との深い関わり合いの由縁となっています。
メープルは北の大地が生んだ奇跡の樹といっても過言では無いのです。
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