「乾燥 -家具材をつくるには欠かせない工程-」
2015.10.18
皆さん、こんにちは。
数日前から急に寒くなってきた気がします。
そろそろ「乾燥に気を付けて…」という、天気予報のアナウンスが聞こえてくる頃。
今回はそんな「乾燥」のお話です。
「乾燥」といっても、勿論、家具や木材にまつわるお話。
木が家具へとなる際に非常に重要な工程が「乾燥」なのです。
乾燥させないで家具を作った場合、いろんな特性や強度に不備が出るので、時間をかけてゆっくりと乾燥させ、「反り」や「割れ」を出し切り、「もうこれ以上反ったり割れたりしない!」という状態になってから、初めて家具として生まれ変わるのです。
木材を乾燥するにあたっては、大きく分けて二通りの方法があります。
「天然乾燥」
製材した木材をそのまま大気にさらして乾燥する方法です。 挽いた木材を、雨や雪にかからないような場所で、直射日光を避けながら、桟木をはさんで積み上げてから、何年もかけて含水率が12?13%になるまでゆっくりと乾燥させ、木の繊維の間にある樹液や水分を出します。
自然乾燥の様子。既にこの時点で反ったり、割れたりしている様子がわかります。
「機械乾燥」
製材した木材を乾燥室に入れ次第に水分を減少させる方法です。
方法として熱・蒸気・温風・減圧などがあります。しかし、急激な乾燥は小さい割れなどが生じやすく、家具に使う材料などを乾燥させる場合、材料の種類・大きさ・厚みなどによって微妙に温度・時間を調節し約1ヶ月で機械乾燥とシーズニング(外気に馴染ませ含水率を調整)をします。
この工程を経て含水率が約6?7%になり、現代の気密性の高い住宅環境、エアコンや床暖房さらされる苛酷な使用状況などに配慮し、製品になった後に問題が出ないように徹底するのです。
ちなみに「含水率」とはその名のとおり「物質に含まれる水分の割合を示したもの」です。
これを出すには計算式が存在し、元々大気や土中の水分を蓄え、樹液なども持つ木はこの含水率がとても高い数値になることもしばしば。つまり殆ど水分と言っても過言ではないのです。これをカラカラの状態にして素材にする…。それくらいしないと「動き」が出るくらい木は生命力に溢れています。
この含水率は約15%前後になれば安心して使える材用とされています。
しかし、いくら上手く乾燥させても、日本の冬は乾燥しますし、夏は(特に梅雨)湿度が上がります。
乾燥しても湿度が上がっても、それらに長年耐えうるだけの下準備としてのしっかりとした乾燥をしていなければ長く持つ家具にはなりません。
家具蔵では、厳選した無垢の木材を永く大切に使うため、この部分に時間と手間を惜しまずにゆっくり時間をかけ、職人の経験、最新の乾燥機械を用いてお客様にいつまでも安心してご使用していただけるよう徹底しています。
このような木目のひとつひとつが厳しい乾燥の中で割れたりしてしまった中から残った,希少なもの。そう思うと普段見慣れている木目もより愛おしく思えてきます。
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