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「丸み」がもたらす心理的効果

2020.4.22

 

世の中にある全ての物質にはそれぞれ異なる「形」が存在します。

例えば一般的に高層ビル、といえば「長方形」、野球のボールと言えば「丸」などが容易に想像されますね。

人はその物体が持つ形状に潜在的なイメージを持つことが研究の結果からも明らかになっています。

それぞれの形が私たちの心理にどの様な働きかけを起こすかを見ていきましょう。

 

各形状がもたらす心理的イメージ


暮らしの中で目にする形には人にどのようなイメージをもたらすのでしょう。

各形状の特徴を紐解いていきましょう。

 

1.正方形・長方形

一般的に一番ポピュラーに目にする形状かもしれません。

家具にも関係の深い「住まい」のなかでもキッチンやクローゼット、一般的な窓やドアなどを思い浮かべる方も多いでしょう。

この直線と直角が人にもたらす影響は「信頼性と安全性」。

建物の形状にも結び付きますが、線と角には規律があり、人の心理に信頼と権威を与えてくれます。

 

2.三角形

三角形はおもしろいもので、その形が向く方向を意識させる形状です。

人は三角形が指し示す方向に自然と目を向けると言われており、矢印にも使われます。

その他にも、三角形が直立している時には「安定感とバランス感覚」をもたらします。

逆三角形の場合は「緊張感」をもたらすなど、形の向きによっても人に与えるイメージが変わる形状です。

 

3.円・楕円

円形状と楕円形状の最大の特徴は「始まりと終わりのない形」と認識されます。

子供の頃に書いた絵に、丸い太陽を書いた方も多いのではないでしょうか。

宇宙にある星、勿論地球や太陽も円形状である様に、どこか「神秘的」でミステリアスな印象を持たせます。

逆に角が無い形は、人に穏やかな安心感を与える形状でもあります。

 

4.螺旋

実は自然界の中でも見かける形状でもある螺旋。

巻貝やつる科の植物など、ぐるぐると3次元曲線を描く形状です。

DNA分子などでも使われる螺旋形状は、「知識や創造性」もイメージされます。

螺旋を回転させると上昇するイメージを持つため、運動性や生命力にも繋がります。

 

 

人はなぜ「丸」にひかれるのか


角のある形と丸みのある形があった場合に、人はどちらの形を認識しやすくなるのでしょうか。

それは丸みのある形状です。

「鋭角の長方形は同じ大きさの楕円より認知するのに努力を必要とする。

人間の目は円形のものをより速く捉えることができる。」

と言った言葉に象徴されるように、例えば鋭角な長方形を人が見た場合に4つの角の認識が生まれます。

対して丸みのある形状を人が見た場合に、一つの動作で処理が可能です。

つまり丸みのある形状は見る人にとって脳への刺激が少なく、認知をすることができる形状なのです。

他にも小さい子供に丸いボールと角の尖った積み木を与える時に、丸い形状の方が安心と思う人が多数でしょう。

勿論小さい子供向けの積み木には角が尖らない様に、しっかりと面を取っているものがほとんどです。

ただ心理的な部分として丸い形状がもたらす「やわらかい印象」は人に対して心地よいイメージを与えてくれます。

子供に人気のアニメのキャラクターに丸みを帯びたものが多いのはその一つ。

元々人間には自己の欲求を抑制された際に、本能的に攻撃的になると言われています。

しかしこの攻撃的欲求は「丸い」「小さい」「やわらかい」と言ったものに抑制される効果があるそうです。

その為、人は自然と丸い形状のものに心惹かれるものがあるのです。

 

 

暮らしの中にある丸みの形状


形状を見ただけではなく、触った時にも丸みのある形は人に優しさを感じさせてくれます。

例えば暮らしの中で体に触れるものでも椅子(チェア)は最たるもの。

ではなぜ椅子(チェア)は丸みのある形状の方が良いのでしょう。

それは人の体自体が丸みを帯びているから。

丸みのある人の体を支える道具として角のある椅子形状は好ましくありません。

体にフィットするかどうかが長く使えるモノとしての判断基準となります。

その為人が座る目的の椅子は体に馴染む丸みの形が一番良い椅子となります。

そうはいっても人の体の丸みはとても複雑なものです。

その複雑な丸みをしっかりと沿ってくれるカーブは三次元の曲線で表現されます。

体に即した曲線だけではなく、人がモノを掴む動作に於いても、角のあるものと丸みのあるものでは印象が異なります。

例えば階段にある手摺に角がある直方体だった場合、掴みやすいモノと思うでしょうか。

手は人間の触覚の中でも一番敏感にモノの形状を認識し、脳へと伝達をしていきます。

丸みのあるモノに触れることは見た目のみならず、安心感を感じられるモノとして認識をしてくれるのです。

 

家具蔵の無垢材家具はどれも手仕上げで面取りを行っており、一見鋭角に見えるものでも、実際のその角にあたる部分は小さく丸みを帯びています。

それらはすべて人の手に、身体に触れるものが優しく感じられ、毎日をともに過ごす家具という存在でストレスが無いように配慮されたものです。

人の体に馴染む曲線は人の手で作られる丸みこそが一番のフィット性を生み出してくれます。

暮らしの中で居心地の良い空間とするには、人の体にあった丸みのあるモノを使うことが快適な暮らしに繋がっていきます。

 

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