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世界のウォールナットの種類と違い

2022.5.4

 

 

ウォールナットは様々な場面で使用されている


 

 

当代きっての銘木ウォールナット。

その漆黒に近い色合いは着色することなく、空間に落ち着きと威厳をもたらす高級材として、洋の東西を問わず中世の時代から人気を博してきました。

家具材としての利用がやはり一番ポピュラーですが、その装飾性や素材の加工性・強度などから、床材や建材などの住まいにまつわるものだけでなく、自動車のダッシュボード・ライフルの銃床など様々な用途に使用されています。

 

ウォールナットはクルミの木


 

 

ウォールナットはいわゆる「クルミ(胡桃)」の仲間です。

日本国内でも良く目にすることのできるクルミの木ですが、木材として考える場合、「ウォールナット」と「クルミ」はそれぞれ別々のものとして明確に分類されます。

一般的に「クルミ」とは「オニグルミ」のことを指し、その木肌はどちらかというと赤みを帯びています。

そして、ウォールナットと一言でいっても、じつはいくつかの亜種が存在し、それらは当然と言えば当然のように、別名前と特性で分類されるのです。

 

ウォールナット、と言えばアメリカンブラックウォールナット


 

 

 

一般的に「ウォールナット」といえば、この「アメリカンブラックウォールナット」とを指す場合がほとんどです。

独特の風合いや木肌の美しさなどから、世界屈指の銘木に数えられています。

世界に200種以上あるといわれるクルミの木の仲間の中ではもちろん、現存する木材の中でも最高ランクという評価があり、いわゆる高級材の代名詞とも言われています。

「家具材のロールスロイス」という異名は伊達ではなく、数々の高級家具にも使用され、歴史的な建造物に使用されていたり、世界を変えたような場面を切り取った写真に写り込んでいることもしばしば。

高級車のウッドパネルに使用されていることでも有名です。

その希少性から中世ヨーロッパの権力者が挙ってウォールナットを使い続けてきたということがその価値を現在に至るまで決定づけるものとなっていることも関係しているのでしょう。

「色の名前」というのは非常に多くのものがありますが、世界中で万を超す種類の数がある木の中でも自身の樹種名である「ウォールナット色」という濃茶の色名を持つのは、このアメリカンブラックウォールナットだけです。

世界のクルミの木の流れは、中央アジアが原産で世界に渡ったとされています。

しかし、ウォールナットは生粋の北米原産の北米育ち。

改良や挿し木の無い、純粋なクルミの木です。

そのクルミの実は、太古のネイティヴ・アメリカンの人々やリスなどの小動物にとっても貴重な栄養分でした。

その恩恵に対する敬意として、アメリカでは古くから、結婚式の際に子孫繁栄の意味を込めてクルミを撒く習慣があります。

ウォールナットと人の関わり合いが見て取れる逸話です。

 

特定地域に分布する希少なオレゴンウォールナット


 

 

オレゴンウォールナットは、いわゆる北米産の「アメリカンブラックウォールナット」のなかでも北米北西部に位置する「オレゴン州で採取されたもの」にのみ与えられる名称です。

オレゴンブラックウォールナットとも呼ばれています。

オレゴン州はアメリカ北西部のロッキー山脈西側・コロンビア川流域に位置していて、世界有数の森林地帯が広がっています。

オレゴン州の森林面積は州の陸地面積の50パーセントを占め、自然環境に恵まれています。

そのような関係もあり、地元のオレゴン州立大学には、森林や樹木の研究では世界トップクラスの森林学部が存在します。

全米中に出荷される、クリスマスに使われるもみの木の一大生産地となるほどの豊かな自然環境。

オレゴン州で採れる、ということ以外は、一般的なアメリカンウォールナットの持つ特徴とは特に変わりはないと言って良いでしょう。

オレゴンウォールナットは、広大な北米大陸でも随一の森林地帯に分布するウォールナットです。

高樹齢のものが多く、他を圧倒するようなダイナミズムを湛えて悠然と佇む立ち木の姿は、どこにも無い唯一無二の存在感を放ちます。

絶対的な数は少ないまでも高樹齢・幅広のウォールナットの一枚板などを目にすることができます。

 

意外な理由で生まれたクラロウォールナット


 

 

クルミの実は栄養価・保存性ともに高く、古代より洋の東西を問わず人々の重要な糧として、その歴史を支えてきました。

そうなると「もっと美味しいものを」「もっと良いものを」と考えるのはやはり道理です。

味だけでなく大きさや食感、生産性を向上させるべく、いわゆる品種改良も繰り返し行われてきました。

そうしたなかで、北米産のブラックウォールナットを台木にして、ヨーロッパ産のイングリッシュウォールナットを接木して生まれたのが、このクラロウォールナットです。

最高級のクルミの実を採ることを目的に生まれたクラロウォールナットですが、残念ながらその味は決して美味とは言えず、いわゆる食用のクルミをつくる、という目的においては失敗に終わったのです。

しかし、こと木材利用となるとウォールナットの持つ特性はそのままに、「大きな瘤=瘤杢」がウォールナット独特の表情と相まって非常に美しく装飾的に大きな価値を持つものとなりました。

成長は非常にゆっくりとしており、立木としての樹高は低めなので、家具材として伐採できるような大きさになるのには長い年月を要し、数や大きさも潤沢には供給できないことから「幻のウォールナット」とも称されます。

自身が求める大きさの一枚板天板の入荷を長い間待ちわびる、そのような人もいるほどです。

 

ユーラシア大陸に分布するヨーロピアンウォールナット


 

ウォールナットは何もアメリカに分布しているものだけではありません。

ヨーロッパ全域から中東、中国にかけての西アジアに分布するのがヨーロピアンウォールナットです。

イングリッシュウォールナットとも呼ばれることがあります。

アメリカンブラックウォールナットや、オレゴンウォールナットと比較して、ヨーロピアンウォールナットはやや赤みが強かったり、全体的に色合いが柔らかいものであるものが多く見られます。

また、余談ですが、世界にはウォールナットの名前を冠していても、実はウォールナットではない、というものも存在します。

例えば「パプアニューギニアウォールナット」はウォールナットに似ていることからその名前が付けられていますが、クルミの木であるウォールナットに対し、こちらは「ウルシの木」であるため、全く違う木です。

また、東南アジア産の「アジアンウォールナット」もマメの木であり、ウォールナットとは異なります。

世界には「似ている」という理由で違う木の名前が付けられることが多々あるのです。

 

 

バストゥーンウォールナットは「超希少」


 

バストゥーンウォールナット(バストーニュウォールナットとも呼ばれます)についても触れておきましょう。

前述のクラロウォールナットがブラックウォールナットと自然な状態で交配したものが「バストゥーンウォールナット」に当たります。

クラロウォールナット自体が希少であり、交配にも生育にも時間が掛かるため、その流通量は極端に少なくなります。

 

このように列記するだけでもたくさんの種類があるウォールナット。

結局どれが一番良いのか?という疑問も湧いてきますが、基本的にはウォールナットといえば「アメリカンブラックウォールナット」です。

毎日の暮らしに高級感と落ち着きをもたらすインテリアづくりに欠かせない存在となっています。

家具蔵では、無垢材一枚板テーブルをはじめ、無垢材チェア・無垢材ソファ・無垢材デスク・各種無垢材収納家具などフルラインをこのアメリカンブラックウォールナットでご用意しています。

ウォールナットの魅力的な表情と質感、ぜひ体感してみて下さい。

 

家具蔵のウォールナット材家具のある暮らしの事例はこちらから

 

 

 


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