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テーブルに使用されるマテリアル ~後編~

2019.12.19

 

この「テーブルに使用されるマテリアル」、前編ではガラスや大理石、アクリル板などの種類や特徴をご紹介しました。

後編では、「木製テーブル」の様々な種類についてご紹介していきます。

パッと見では違いが分かりにくい木製テーブルも、加工の違いによって触り心地や風合い、お手入れの仕方に大きな違いが表れます。

実は、一般的な木製のテーブルは、無垢材ではなく合板やMDFなどのようにベースとなる基材に突板を貼り、いかにも木の雰囲気を見せてはいるものなどがほとんどです。

しかし表面材を貼ってしまうと内部がどういうものを使用しているか分かりません。

いわゆる「貼物」のテーブルと無垢材のテーブルとでは、木本来の風合いも質感も全く異なるのです。

例えば無垢材ではない家具に用いられる基材としては下記のようなものがあります。

 

合板(ベニヤ)


木材をスライスし、繊維方向が互い違いになるように何枚も重ね、接着剤で貼り合わせた板のこと。

またシナやラワンなどの小角材を寄せ集め、両面にベニアを貼った三層構造からなるランバーコアも一般的な家具基材として用いられています。

木質繊維の方向を交互に張り合わせる事による均一な強度と安定性が生まれ、素材のグレードに左右されにくいため、コストを削減できるという特徴を持ちますが、単板を重ね張り合わせるため、接着剤を多く使用します。

接着剤の成分には「ホルムアルデヒド」が含有されており、人体に対する影響も懸念されるところです。

テーブルとして使用する場合、化粧となる面材もしくは着色塗料が散布されるため、長年の使用で傷などの劣化が目立ちやすいのもデメリットといえるでしょう。

 

MDF・パーティクルボード


MDFとは、「ミディアム・デンシティ・ファイバーボード」の略で、木材やその他の植物繊維を主原料とし、木材繊維を固めたもので繊維版と呼ばれ、比重によって数種類に分かれます。

パーティクルボードは木材チップを接着剤と熱で固めた製品です。

コストパフォーマンスに長けており、様々な分野で使用する事が可能です。

ただ、基本的には廃材の有効活用として開発されたもの。

水や湿気に弱い為、表面処理を施さないとカビやすく、また繊維を圧縮させる為気密性こそ高まりますが、その分質量が多くなるため重量が重くなるという点は留意点です。

そして最も知っておかなければいけないのは、合板以上に「ホルムアルデヒド」の放出量が高いという点。

人体への影響を考慮した際には、選択肢としてはやはり二の足を踏んでしまうものとなるのです。

 

表面材に使う突板、及びシートについて


突板は木材をスライスし薄いシート状にしたもので、合板やMDFの表面に貼り付ける化粧材として使います。

天然銘木などの木材を0.2~0.6㎜の厚さに薄くスライスしたものを基材に接着し、その上を塗装などで仕上げるため、化粧板でありながら天然木の自然な杢目、味わいが楽しめます。

突板の他、ポリエステル系やメラミン化粧版などがありますが、表面に出ている表情はあくまでもプリントされたものです。

またメンテナンスもグレードにより違いがあり、必ずしも木製に比べメンテナンスがしやすいというわけではありません。

 

集成材


厚み10~30mmの小さい木材を乾燥させ、縦接ぎあるいは重ねるなどをして幅、厚みを持たせた加工材です。

大判の無垢板でなくても作ることができますが、小間板をそれぞれ加工接着する手間が掛かる為、無垢材よりもコストもかかる場合が多くあります。

また質の悪いものは接着面からの剥離や、木の動きによる割れなども生じることがあります。

たしかに無垢材に比べて、大断面や長尺のものが容易に製作でき、合板やMDFから比べると接着材の量も少ないのですが、純粋な無垢材と比べるとやはり、接着剤に頼った構造と言えます。

また、きつく締めるような仕口に対して「粘り」がないため壊れやすい点も覚えておきましょう。

 

フラッシュ


角材やMDFなどで枠を作り、その両面にベニア板を張り付けたもの。

中が空洞になっている為、軽いのが特徴で、建具などに使われることが多くあります。

軽量で移動が簡単なので、大量生産でコストを抑える事が可能です。

空洞部分があるため、上からの荷重には弱いのも特徴です。

室内建具においてはその軽さがメリットとなりますが、テーブルにおいては生活傷からの損傷が激しく、長期にわたる使用は向いていません。

 

ハニカムコア


厚紙などを蜂の巣状(正六角形)にしたパネルを芯材とし、表裏にベニアを貼り付け板状に強度を出したもの。

再生紙によるボール紙からもできるため、非常に安価ですが荷重に対する強度も確保しています。

こちらも加工性もよく汎用性・大量生産に優れており、コスト面でも安価に大量生産することが可能です。

ただ、フラッシュ同様、生活傷からの損傷が激しく、長期にわたる使用は向いていません。

 

無垢材

一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したもののこと。

木本来の質感、風合いを感じることができ、化学物質を含まない自然素材です。

もっともわかりやすい特徴としては、人が一人一人違うように、ひとつひとつ表情が異なる点。

木が大きく育つまでの歴史は木目の表情や素材に刻まれ、長い年月を経て育った木は、年輪や木目が同じものは一つとしてありません。

そしてそれを無着色で仕上げると、時間の経過とともに深みや味わいを増し、その色合いをも変え、使うほどに愛着を感じることができるものになります。

手元に来た時からともに時を重ね、傷も味わいの一つになりながら世界に1つだけの家具に「育つ」のです。

また、木本来の調湿作用を持ち、湿気の多い日は水分を吸収し、乾燥している日は水分を放出して湿度を一定に保とうとするため、「縮む」、「膨らむ」という性質があります。

家具になってからも「木が生きている」感覚を味わう事ができるのは無垢材ならではです。

コンクリートの約2倍とも言われる優れた断熱性があり、周囲の温度に影響されにくいため夏は涼しく、冬は暖かい環境を生み出します。

様々な「木」を使った素材の中で、最も自然に近い風合いを感じる事ができ、接着剤等の化学物質を極限まで抑えるため、人体に対しても非常に安全値が高い無垢材。

削り直し、再塗装などにより、傷や破損があった場合でも長期にわたっての使用が可能で、且つ製作行程での燃料消費が少ないため、地球に対しても優しい素材です。

乾燥・加工に時間と手間がかかるので、木を知り尽くし、木を扱える熟練の職人でなければ、木の動きを読むことができません。

従って、扱いが非常に難しく、かつ現存する保有数からも極めて希少性の高い材料です。

 

テーブルに使用される様々な材質をご紹介しましたが、このような素材の違いは、見慣れてくるとすぐに見分ける事ができるようになります。

テーブル選びで大切なのは、自身の目で見て、実際に触れて試すことです。

なにより人工的に加工した素材と自然素材では、光の反射の強さや肌に触れた時の温もりが全く違います。

また無垢材がもたらす質感として、経年後の見え方が大きく異なります。

無垢材、しかも無着色で仕上げたものは長く使えば使うほど色味も変わり味わいが増していきます。

逆に木質系で表面を貼ったものは、長年の使用の中で表面シートのはがれなど次第にみすぼらしくなり、買い替えを余儀なくされてしまうことも多くあります。

テーブルは家族全員が毎日使うもの。

ふと触れた時に癒される素材、機能的でメンテナンス性に優れている素材、長持ちして家族の生活に馴染む素材、そんなテーブルをぜひ見つけてください。

 

テーブルに使用されるマテリアル ~前編~

家具蔵の無垢材テーブルのラインナップはこちらから

家具蔵の無垢材テーブルのある暮らしの事例はこちらから


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