無垢材の経年変化を楽しむ
2019.6.7
無垢材を暮らしの中に取り入れた際、時間と共に変わっていく色合いは長い年月使用していくうえでの喜びや楽しみとなります。
プリントされているものや着色しているものには色合いの変化はなく、経年劣化と言われるような傷みが目立つようになってきます。
使用していくと共に傷が増えていくため劣化が目立ち、少しずつ増していく不満感の中で買い換えを余儀なくされます。
しかし無垢材の場合は、無着色で製作すれば中の素材も木そのもののため傷がついた際も目立つことがなく、傷が増えていく様でさえ味わいとなり、使い込むほどに風合いが増していきます。
また日々の中で少しずつ色合いを変え、ご自宅で使用しながら経年変化を楽しむことができます。
なぜ経年変化が起こるのか?
この経年変化はなぜ無垢材に起こるのでしょうか?
具体的にはいくつかの要因がありますが、中でも色合いの変化に影響を与えているのは「光」です。
光にはさまざまな波長が含まれていますが、特に紫外線による影響が大きいことが分かっています。
木材の成分の中にあるたんぱく質類は光に敏感に反応するため、これらの成分が紫外線などの光に触れて酸化し、「タンニン」に変わることで色合いの変化が生じます。
その変化は樹種によって異なり、あまり色が変わらないものもあれば、元々の色合いがどれくらいであったか思い出せない程変化するものもあります。
樹種による経年変化の違い
それではその経年変化の違いは樹種によってどのように違うのか、
いくつか代表的な家具材を例にご案内します。
●アメリカンブラックチェリー
経年変化が最も豊かに出てくる素材の一つがこのチェリー材です。
新しい状態では淡いピンクがかった色味をしています。
その後、置き場所にもよりますがわずか半年くらいでも色の違いが出てきていることに気づかれるかと思います。
1年でも「変わってきたな」という感覚は得られるかと思いますが、その後3~5年経つと赤茶色に色合いが濃くなってきて、それからは緩やかな変化が生じることとなります。
最終的には飴色風の濃い赤褐色になり、その劇的な変化は無垢材ならではの特性として実感することができます。
●アメリカンブラックウォールナット
経年変化というと多くの方はチェリー材のように色合いが濃くなるようなイメージを持っています。
もちろん多くの樹種にとって色が濃くなっていくものが大半ではありますが、このウォールナット材に関してはその逆で、濃いこげ茶色からだんだん色合いが明るくまろやかな茶色へ変化していき落ち着きます。
ウォールナット材は濃い色のイメージをお持ちの方が多いのですが、実際は少し明るくまろやかな色合いに変化することで、木目は引き立ち何ともいえない味わい深いものになります。
それでも最終的な色合いは、素材全体の中では濃く、重厚感や高級感を感じさせてくれることに変わりはありません。
●ハードメープル
明るい素材でお部屋に爽やかな印象を与えてくれるメープル材は、
乳白色の明るい色合いから時間が経つと徐々に黄色味が増してきて、
飴色のような色味になってきます。
またその変化はチェリー材やウォールナット材と比較すると緩やかな変化となり、5~6年が経ったころにその変化に気付くような感覚だと思います。
独特の飴色の色合いと緻密な木理に見られる光沢感は空間を選ばず、お部屋に自然と溶け込みます。
●ナラ
育った土壌や環境の影響を受けやすく、均質な表情の材を揃えるという点では、一般的に材の表面を着色してしまう場合が多いのですが、
それではナラが持つ木目の味わいを活かすことができません。
力強い精悍な木目が引き立ち、独特の存在感を見せてくれる
ナラ材を楽しむためには、無着色ということも大切です。
また色合いは、初め肌色のような明るめの色合いから、
使い込むほどに徐々に褐色の色合いが加わり、
柔らかい黄金色に移り変わっていきます。
どのような空間にも合わせやすい色合いと共に、
木目がしっかりと主張してくれるのが特徴です。
時が経つほどに味わい深くなる無垢材
削りたての無垢材は淡い色合いであることが多く、
どことなく初々しい感じがしますが、それは一定の期間のことです。
ご案内した色合いの変化はもちろんこと、家具を使い込むほどに
表面に摩擦が加わるほどに、自然なツヤも生まれてきます。
椅子のアームの部分や良く使用するテーブルの場所など、
日々の利用と共に美しいツヤがでてくることは、
革製品のエイジングにも似て無垢材が愛着を持たれる理由の一つです。
経年変化による色合い、風合いの違いを楽しみ、何年も家族の傍らで時間を共にする。
このような無垢材の存在に愛着を感じる方は多く、中でもその豊かな経年変化は
無垢材でしか味わうことのできない何とも言えない贅沢な楽しみです。
家具蔵各店においても、そのような違いを感じて頂こうと
比較的新しい商品と時間が経過した商品を展示しております。
是非、家具蔵各店にてその豊かな経年変化を感じて下さい。
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