国産材の雄、ケヤキを一枚板でつくるということ
2019.6.19
ケヤキってどんな木?
ケヤキは、日本、中国、朝鮮半島がおもな原産地で日本では、北海道を除く本州、四国、九州のほぼ全域に分布しています。
公園や街路樹等、身近なところで見ることが出来ます。
その見事な立ち姿は万葉の歌にも詠まれるほどです。
日本の各地にはケヤキの巨木や銘木が数多くあり、そのうち天然記念物や県木として指定されているものは、17個体、並木1箇所にのぼります。
中でも代表的なのは、山形県の小学校の校庭にある特別天然記念物「東根の大ケヤキ」で、推定樹齢は1000年、高さは28m、根回りは24mにも達します。
ケヤキの力強さや生命力は名前にも表れていて、もともとケヤキは「槻(つき)」と呼ばれていました。
理由には諸説ありますが、最も一般的な考え方では「強い」「強き」が由来となっているという説があります。
また、もう少し歴史のロマンを感じる説として大化の改新が由来していると言う説があります。
乙巳の変や大化の改新自体が日本書紀の創作であるらしいのですが、中大兄皇子と中臣鎌子がケヤキの樹下で盟約を誓って大化の改新を成就させた、と言われています。
盟約の言葉には霊威が存在していて、言霊と一緒に出た唾がケヤキに憑依したことが、大化の改新の成功を導いたとして敬意を払い、ケヤキをつばのき、唾木(つき)と呼ぶようになったそうです。
実に歴史ロマンを感じさせる話しですが、当て字であっても槻の方が美しく響くので、槻が一般的になったのでしょう。
ケヤキという呼び方は平安時代以降らしいのですが、語源としては「けやけきき」と言われています。
「けやけし」という形容詞の活用ですが、美しい・珍しい・一際優れている・目立つ・類稀な樹と言う事になります。
木工の世界では、材として「けやけし」という方も多いのですが、実際はケヤキの立ち姿の天晴れさを形容したものです。
ケヤキの立ち姿がこれほど人を魅了するのには理由があります。
それは、自生しているケヤキはほとんど群生せず、一本立ちになるためです。
そのため、ケヤキの林や森はほとんどありません。
地中深くまで根を張り、水分や養分を力強く吸収していくため、周囲に大きな木は生えにくいのです。
その威風堂々とした存在が見事な立ち姿に繋がっていくのです。
また、大きなケヤキが育つということは土壌が肥えていることや水脈があることを教えてくれるので、昔は大きなケヤキの周囲に村や集落を作りました。
人々の生活に恩恵を与えてくれる神々しい存在だったため、現在では多くのケヤキがご神木として寺社仏閣で扱われています。
材料としてのケヤキ
日本の広葉樹の中でも最高クラスの良材として知られ、古くから神社や仏閣の建築材として重用されてきたほか、一般の住居では建具や床柱に、楽器では太鼓や琴などに広く利用されてきました。
木目の表情は、動きがあり大きく明瞭。
また、樹齢300年を超える古木の中には、「牡丹杢」「縮み杢」「珠杢」と呼ばれる装飾性の高い模様を持つものも少なくありません。
まさに日本人好みの、ダイナミックで流れるような曲線や複雑な杢には、長命の木ならではの生命力がみなぎっています。
材質は、非常に重厚で強度があり、耐久性と耐水性にも優れている反面、乾燥がとても難しいため、厚い材の状態で長い時間をかけてゆっくりと水分を抜く必要があります。
この乾燥管理は熟練の職人の技術が無いと出来ません。
ケヤキの一枚板テーブルの魅力
ケヤキの主な魅力としては
1.ダイナミックで力強い木目
2.美しい経年変化
3.高い耐久性と堅さ
があげられるでしょう。
1.ダイナミックで力強い木目
ケヤキは木目がとてもはっきりしています。
天然木をそのまま生かした一枚板のテーブルはこの木目もデザインの一つであり、木の生き様が一番分かる部分だと思います。
また、ケヤキは様々な杢が現れることがあります。
例えば、「牡丹杢」「縮み杢」「玉杢」「泡杢」「さば杢」「波杢」などなど。
この杢は一点物である一枚板の価値をさらに高める存在です。
一枚の板の中に複数の杢が入ることも稀にあります。
力強い木目と芸術的な杢が住まいの主役としての存在感を生み出します。
2.美しい経年変化
ケヤキは最初、黄金色~オレンジ色ですが、使い込むと色調が濃くなり、美しい朱色へと変化していきます。
日本の木は白木と呼ばれる明るい木が多いですが、ケヤキは独特の赤味があります。
木目も使い込むほどに濃くなり、より立体的な表情を楽しむことが出来ます。
ケヤキはよく和室で畳の上の座卓等で使用されるため、和の雰囲気が強く感じられますが、洋室でフローリングの上でダイニングチェアと合わせたダイニングセットとしてケヤキを使用するのもたいへん映えるものです。
和と洋どちらでも使える「懐の広さ」があります。
3.高い耐久性と堅さ
ケヤキは日本国内で産出される木材の中でもトップクラスの硬さを誇ります。
建材としてよく利用される杉材と比較すると、その差は歴然です。
杉材を加工するためのノコギリでケヤキを切断しようとすると、刃が欠けてしまいます。
あまりの硬度に、日本では戦国時代頃に最新の製法のノコギリが開発されるまで製材が不可能とされるほどでした。
現代のノコギリやカンナを使用しても、頻繁に研ぎ直しながらの作業が必要となります。
そのような堅い材料だからこそ、加工はとても難しく、熟練の職人の技術が必要となります。
また、テーブルとして使用する際は他の木と比較して傷が付きづらく、丈夫なため非常に安心感があります。
小さなお子様がいる家庭でも気兼ねなく愛用できますね。
公園や境内、街路樹など身近に植えられ、「日本人の心の拠り所」として、こよなく愛され使用されてきたケヤキ。
高樹齢の大木は稀少価値が高まり、それを活かした家具は垂涎の的となっています。
その立ち姿のままに魅力あふれる材の表情が、日本人の持つ「侘び」「寂び」の精神世界にまで深く入り込む、銘木中の銘木です。
お住まいの中心に素敵なケヤキの一枚板を選ばれてみてはいかかでしょうか。
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