ウォールナットの家具材としての歴史は?
2021.12.4
家具材として不動の人気を誇るウォールナットは私ども家具蔵でも、ブランド創設時からの定番であり、高い人気を誇る銘木です。
古くから家具材として多くの場面で親しまれ人々を魅了し続けるウォールナット。
今回はそんなウォールナットの家具材としての歴史について、お話ししていきます。
ウォールナットとは
これまでの家具蔵公式WEBコラムでも多々登場しているウォールナットは、「ナット」の名前が表すように、クルミの実がなる樹種であることをご存知の方も多いでしょう。
このウォールナットには神話があります。
ローマ神話に登場する主神ジュピターはギリシャ神話のゼウスと同等であり、神々の中でも王様として君臨する存在でした。
このジュピターが地球に住んでいた時にクルミを食べていたことから、クルミは「ジュピターの堅果」と言われるようになったそうです。
ウォールナットはクルミの実を食するだけではなく、高品質な家具材として世界中に流通しています。
家具の他にも車の内装材、ピアノやバイオリンなどの楽器材、ドアなどの建材、あるいはライフルの銃床や飛行機のプロペラにも使用されていたことがあるくらい幅広く活用されています。
ウォールナットは、ユーラシア大陸で生まれたペルシャウォールナットと、北米で生まれたブラックウォールナット、大きく分けて2つに大別されます。
2つのうち、家具蔵で使用しているのは北米産のブラックウォールナットです。
ブラックウォールナットは、200種類以上あるクルミの木の中でも最高峰とされ、深みのある色合いからくる高級感と豊かな表情の木目が、現代においても高い人気を博しています。
ウォールナットは中世の時代から人気を博している
イギリスの家具史研究家であるパーシー・マッコイドは、それぞれの時代に人気のあった家具材から
・1400年~1660年…オーク(ナラ・カシ)の時代
・1660年~1720年…ウォールナット(クルミ)の時代
・1720年~1770年…マホガニーの時代
・1770年~19世紀初頭…サテンウッドの時代
と時代を区分しています。
19世紀中期以降からは家具の使用目的に応じて多種多様な木材が使われるようになりました。
ウォールナットが注目され始めた17世紀まではオーク材が家具材として重用されていました。
そのような「オーク時代」に、粘りがあり加工や接着に優れるウォールナット材が登場し、家具職人の間で注目され、ヨーロッパではウォールナットの家具が大流行するに至ります。
ウォールナット家具の歴史
ウォールナットを用いた家具はイギリスにおいて18世紀に王位についたアン女王の時代の家具に顕著にみられます。
アン女王はイングランド・スコットランド・アイルランドの最後の君主として1702年に王位につき、その繁栄は家具のスタイルにも影響を与えました。
従来のオーク材の家具や王政復古期の家具とは異なる「美しさ・快適さ・実用性」を兼ね備えたスタイルへと移り変わるなかで、華やかな装飾が特徴的なロココ様式のものは少なくなります。
一方で装飾を抑えた軽快で実用的なデザインが好まれはじめ、この頃からウォールナットの家具が多く見られるようになります。
加工性の高いウォールナット材はカブリオールレッグ(猫脚)と呼ばれる丸味を帯びた脚形状や、植物などをモチーフにしたレリーフなど、エレガントさを表現しやすいことも人気を高めた理由でした。
その後もアメリカの最高裁判所、ミラノ大聖堂などで使用されるなど格式高い場所に相応しい材として高級材の代名詞となっています。
また、1950年代には、ミッドセンチュリーを代表するチャールズ・イームズをはじめ、ウォールナットを多用したデザイナーも数多く現れ、ウォールナットは世界中で愛されるようになりました。
ウォールナット材の魅力
北米産のブラックウォールナットはいまやチーク・マホガニーと並ぶ世界三大銘木の一つに数えられる最高級材です。
様々な色素が入り混じるその色合いやグラデーション豊かな木目の美しさ、時を経るごとに深まる風合いが、人々を魅了し続ける素材です。
それゆえ世界中からのニーズは高まり続け、良材を獲得することが難しくなっており、ますます希少価値の高い素材となってきました。
ウォールナット材、それも無着色で仕上げた無垢材家具は、自然材ならではの単一的ではない深みのある色合いと手触りで、私たちの暮らしにラグジュアリー感と同時に落ち着きや温もりというものを与えてくれます。
経年と共に鮮やかに変わっていく色合いと際立つ木目も、使い込むほどに良くなる、という無着色の無垢材家具の素晴らしさを体現してくれるものです。
高級感と木のぬくもりを同時に堪能できるウォールナット。
家具蔵では希少な一枚板天板も含め、多様なレパートリーをご用意しています。
お気軽に家具蔵各店にお声掛けください。
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