奥深き「オーダーキッチン」の世界 ~その13~
2020.5.22
キッチン選びは悩みが多いものですが、それでもこれからの毎日の生活のリズムを整え、暮らしの根幹を作る場所を考える楽しさとやりがいのある作業でもあります。
新しいキッチンをどのようなものにするか考える時、様々な思いが交錯します。
キッチンという言葉から連想される設備としての機能は日々進化を遂げていますが、家の新築やリフォーム、リノベーションに際し、普段は考えてみる事も無い様々な事柄、我が家のキッチンをどうしようか、どんなメーカーにしようか、依頼先はどこに?といった事も同時に浮かぶと思います。
一般的に知られていて、よく選択されるものとして、所謂「システムキッチン」と呼ばれるものがあります。
古くから住宅メーカーや工務店、マンションデベロッパーによる集合住宅に多く採用されてきた商品であり、高度に規格化・画一化されたキッチンのパーツを自由に組み合わせて、優れた最大公約数的解答としてのキッチンを実現できる便利なもの、と言えるでしょう。
特に日本のシステムキッチンメーカーは、至れり尽くせり、痒いところに手が届く…といったような細かい配慮、盛りだくさんの機能が組み込まれているものが多く、便利なものです。
一方で、高機能、高性能であるからゆえの故障や利用方法の変化によるミスマッチ、など「道具」としての弱点も合わせ持っています。
また最近では、日本人の住まいを構成するインテリアアイテム、マテリアルなどの多様化により、既成のシステムキッチンでは実現が難しい、とされるインテリア的なキッチンが求められる案件が増えています。
特に、キッチン本体を構成する材質自体の質感やデザインに繊細なこだわりを持って、自分のイメージを大切にし、「本当に納得のいくキッチン」を実現したいと考える人は、ここ数年で確実に増えてきたと言われています。
キッチンの機能やデザイン、といった表層だけでなく、キッチンというもの全てを構成する要素、また、そのひとつひとつの由来にも多くの視線が注がれるようになっています。
その由来とはライフスタイルとも考えられ、豊かで魅力的なライフスタイルを送っている人たち、例えば、料理研究家やインテリアや服飾のスタイリストなど、クリエイターに分類される人たちは、様々なこだわりとスタイルを持ち、仕事と人生の時間を過ごしています。
それは、当然キッチンにも反映されることとなります。
その人がどんなキッチンでどんな料理を作っているか、も大きな関心を呼び、その特集が組まれたりもする時代・・住宅雑誌、インテリア雑誌などでも、これまでは住まいの中で、単なる設備機器でしかなかったキッチンに焦点を当て、「こだわりを形にしたキッチン」をその着想段階から検討中のエピソードを交えて詳細に紹介する特集も多く目にするようになりました。
家具蔵では無垢材家具作りで培った素材の扱いと加工技術を木のキッチン作りにも生かして、「システムキッチン」では実現できない質感と自由な発想による木のオーダーキッチンをこれまでに多く製作してきました。
そしてそこには常に、自分らしいスタイルを持ち、意志をもってキッチン選びを楽しんだ人たちがいます。
このシリーズ、奥深き「オーダーキッチンの世界」では、これまで様々な形で取り上げてきたケース・スタディを改めて振り返りながら、木のキッチンを実現された様々な方のプランを隠れたエピソードなども交えてご紹介していきたいと思います。
13回目は、ハウスメーカーで新築をされたご家族のお話です。
奥様のキッチンに対する明確なイメージはあったものの、どこに依頼するか、具体的なプランはどのようにするか、そのような多くの悩みをハウスメーカのインテリアコーディネーターと一緒に考えながら、家具蔵のキッチンスペシャリストによる提案を含めて、念願のオープンキッチンを実現された方の実例をご紹介します。
「部屋の印象を左右するキッチン選びの大切さ」
こだわりの新築は、信頼のあるハウスメーカーに依頼することを決めていたK様も、オープンキッチンをどのようなものにするかを考えるのはとても大変だったと言います。
キッチンが部屋の一部として全て露出して、その雰囲気が部屋全体、リビングの雰囲気までも左右してしまうので、キッチン選びはとても重大なポイントでした。
幸いにも、ハウスメーカーのインテリアコーディネーターさんが奥様とセンスの合う方で、親身になって相談にのって下さったそうです。
一方で、相談を受けた家具蔵のキッチンスペシャリストも、家具蔵でどのような事が出来るのかを丁寧にご説明し、プランを練っていきました。
そうして完成したのはシンプルでセンスの良いお部屋の雰囲気を邪魔しない、家具のようなペニンシュラキッチンとそこに存在しないかのような圧迫感の全くない背面収納。控えめながら無垢材の上質な質感でこの部屋の主役とも言える存在感を醸し出しています。
「このキッチンにして本当によかった・・・」
しみじみと喜びをかみしめる奥様。
無垢材の質感、デザイン、使い勝手、コストバランスなど、家具蔵のキッチンスペシャリストと共に考え、創り上げた自分仕様のキッチン。
親族や友人など、多い時には30人もの人が集まり、この無垢材キッチンで楽しく賑やかに作業します。
空間全体のイメージを左右する無垢材オープンキッチンは、吊り戸や高さのある壁面収納をやめ、すっきりとフラットな印象に。
リビング・ダイニングと一体となって大きな空間を生むことでお客様のおもてなしやパーティーにも、家族の様子を一望するのにも見通しがよく、まさに奥様のイメージ通り。
ダイニング側に面する大きなオーダー収納は扉を閉めていると収納であることを感じさせない、腰板やインテリアパネルのような美しさ。
家族それぞれが自分のスペースを持ち、そこに自分のものを収納しています。
子供たちがダイニングテーブルで勉強をする際にも自分専用の収納スペースがすぐそばにあることで片付け上手に。
冷蔵庫脇にパントリーを設けたことも整ったキッチンを保つ秘訣です。
小学生のお嬢様も「キッチンでお手伝いするのが好き」と、笑顔で話してくれました。
取っ手やワークトップなどに異素材を使用しても自然と馴染むのが無垢材の強み。
柾目取りが美しい無垢材の扉は整然と並び、自然の表情の美しさと人の手が手掛けた精密さが上手く掛け合わさっています。
一般的なシステムキッチンでは叶わない見た目の満足感とデザインの自由度が家具蔵の無垢材オーダーキッチンの魅力です。
使い易さとデザインの共存を第一に考え、「美しく・快適に」を実現したオーダー収納。
大容量を誇る収納部はすっきりと良い意味で生活感の無い「丁寧な暮らし」を実現させてくれます。
その他、家具蔵の無垢材オーダーキッチンのある暮らしの事例はこちらから
関連する記事
最近の投稿
- 対面式キッチンが主流になった時期と理由は 2024年12月11日
- 「カバとサクラ」~なぜカバがサクラと呼ばれるのか~ 2024年12月9日
- 【吉祥寺店臨時休業のお知らせ】 2024年12月7日
- 環孔材・散孔材の違いとは 2024年12月6日
- ラウンドテーブルのサイズ選びの正解は? 2024年12月4日
- 作業しやすい無垢材デスクのサイズとは? 2024年12月2日
- 現代のキッチン事情はどう変わった? 2024年11月30日
- ソファ選びはクッションの内部材を知ることから始める 2024年11月28日
- 後悔しないオーダー家具の選び方 2024年11月26日
- ダイニングテーブルを選ぶ際の「5つ」のポイント 2024年11月24日
カテゴリー
- 家具の選び方・置き方 (1,573)
- インテリア&住宅情報 (639)
- 人と木と文化 (397)
- ニュース&インフォメーション (441)
- オーダーキッチン関連 (406)
- 一枚板関連 (635)
- オーダー収納関連 (616)