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奥深き「オーダーキッチン」の世界  ~その8~

2019.12.23

 

キッチン選びは悩みが多い? それとも楽しい?

新しいキッチンをどのようなものにするか考える時、様々な思いが交錯します。

キッチンという言葉から連想される設備としての機能は日々進化を遂げていますが、家の新築やリフォーム、リノベーションに際し、普段は考えてみる事も無い様々な事柄、我が家のキッチンをどうしようか、どんなメーカーにしようか、依頼先はどこに?といった事も同時に浮かぶと思います。

広く一般的に知られていて、選択されるものとして、「システムキッチン」と呼ばれるものがあります。

古くから住宅メーカーや工務店、マンションデベロッパーによる集合住宅に多く採用されてきた商品であり、高度に規格化・画一化されたキッチンのパーツを自由に組み合わせて、優れた最大公約数的解答としてのキッチンを実現できる便利なもの、と言えるでしょう。

特に日本のシステムキッチンメーカーは、至れり尽くせり、痒いところに手が届く、といったような細かい配慮、盛りだくさんの機能が組み込まれているものが多く、便利なものです。

一方で、高機能、高性能であるから故に、故障や利用方法の変化によるミスマッチ、など「道具」としての弱点も合わせ持っています。

また、最近では、日本人の住まいを構成するインテリアアイテム、マテリアルなどの多様化により、既成のシステムキッチンでは実現が難しい、とされるインテリア的なキッチンが求められる案件が増えています。

特に、キッチン本体を構成する材質自体の質感やデザインに繊細なこだわりを持って、自分のイメージを大切にし、「本当に納得のいくキッチン」を実現したいと考える人は、ここ数年で確実に増えてきたと言われています。

キッチンの機能やデザイン、といった表層だけでなく、キッチンというもの全てを構成する要素、また、そのひとつひとつの由来にも多くの視線が注がれるようになっています。

その由来とは、ライフスタイルを意味します。豊かで魅力的なライフスタイルを送っている人たち、例えば、スタイリスト、カメラマン、陶芸家、イラストレーターなど、主にアーティスト寄りに分類される人たちは、様々なこだわりとスタイルを持ち、仕事と人生の時間を過ごしています。

それは、当然キッチンにも反映されることとなります。その人がどんなキッチンでどんな料理を作っているか、も大きな関心を呼び、その特集が組まれたりもする時代です。

住宅雑誌、インテリア雑誌などでも、これまでは住まいの中で、単なる設備機器でしかなかったキッチンに焦点を当て、「こだわりを形にしたキッチン」をその着想段階から検討中のエピソードを交えて詳細に紹介する特集も多く目にするようになりました。

家具蔵でも、定評のある無垢材家具作りで培った素材の扱いと加工技術を木のキッチン作りにも生かして、「システムキッチン」では実現できない質感と自由な発想による木のオーダーキッチンをこれまでに多く製作してきました。

そしてそこには常に、自分らしいスタイルを持ち、意志をもってキッチン選びを楽しんだ人たちがいます。

このシリーズ、奥深き「オーダーキッチンの世界」では、これまで様々な形で取り上げてきたケース・スタディを改めて振り返りながら、木のキッチンを実現された様々な方のプランを隠れたエピソードなども交えてご紹介していきたいと思います。

 

 

8回目は、長年暮らした鎌倉の家からリタイア後の生活の拠点として山梨県の小淵沢へ住まいを新築されたご夫婦のお話です。海辺の街から森の別荘地へ。

生活スタイルも一新されたご新居では、親しいご友人を招いての会食も多く開催されているとのこと、今回はそのランチにお邪魔してお話を伺いました。

 

「暮らしを楽しむ舞台のような、森を眺めるオープンキッチン」


古くから軽井沢に並ぶ森の別荘地として知られる山梨県小淵沢。

爽やかな高原の涼と歴史ある別荘地ならではの適度に整備されたインフラ、個性的なショップやレストランも点在する賑やかさ、そのバランスのとれた住環境を求め、多くの人が都市部からやってきます。

そのなかで別荘としてではなく、 終の棲家と決めて移住した人たちは「永住組」と呼ばれています。

今回お話に登場する村田さんは

「40年以上、海の近くで暮らしてきたので、 老後は山の中と決めていた」

と定年まで数年を残して早々と小淵沢移住に取り組んだ、気合の入った永住組です。

若い頃からご夫婦ともに、冬のスポーツとしてスキーを楽しんできた事もあり、周辺の地理や気候についての前知識、体感があった事も後押しとなりました。

当初、キッチンはステンレス製のシステムキッチンの予定でした。

ところが、システムキッチンのショールームへの帰り道、ランチに入る店を探しているうちに偶然家具蔵の前を通りかかり、アプローチに置かれていた一脚の椅子に目を留めます。

その椅子を見るつもりで立ち寄った家具蔵表参道店で、 ちょうど展示されていた無垢材オーダーキッチンの話を聞き、システムキッチンで計画していたプランを大きく変更することになります。

 実は鎌倉の家も無垢材オーダーキッチンであったため、その良さはご存知でした。

そこに精緻な仕事とキメの細かい設計が加わることで、理想が実現できると感じたといいます。

 

庭に向いて設えた無垢材キッチンの堂々とした佇まい。 キッチンに居ながら大自然に触れることが出来る、まさに暮らしの中心です。 無垢材のウォールナットの深い色合いが空間を引き締めている。 キッチン隣は、キッチンと同じウォールナット材で統一したアトリエスペースに。

 

村田様邸のキッチンプランの大きな特徴は、その位置と向きにあります。

ウッドデッキに面した細長い吹き抜け空間の下、文字通り家のど真ん中にあり、キッチン正面の大きな掃出し窓の外は、森の木々が拡がるパノラマです。

「普通、オープンキッチンはリビングやダイニングに向いているでしょ。 それがウチのはいきなり窓の外の大自然に向いている。みなさん、こんなの見たことないって(笑)」

他にも、奥さまの身長に合わせた無垢材吊り棚、計算された食洗機の配置、 十分な収納など、こだわりが形になりました。

「妻には苦労をかけたから、このキッチンだけはぜひ実現してあげたかった」

というご主人のお言葉。 この住まいに満ちる温かさを何よりも表現しています。

奥様のこだわりがあちこちに詰まったキッチンスペース。

奥のカウンターの向こうは玄関から続く広いリビングとなっており、キッチンとの一体感を演出

 

家具蔵の無垢材オーダーキッチンの詳細はこちらから

 

 


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