椅子に座って「疲れる人」の原因はここにある ~自分に合った椅子を選ぶ~
2023.2.25
椅子は身体を預け休めるものです。
しかし、椅子に座っていて疲労感を感じた経験は多くの人が持っているものでしょう。
椅子に座って疲れる、というのは本来の使用目的を考えた際にその目的を果たしていないともいえます。
そこで椅子を新たに選ぶ際に「疲れにくい椅子」を求めるのは当然のことであり、私ども家具蔵でも日々お客様をご案内していると「どの椅子が疲れない椅子ですか?」とよく聞かれます。
ここで「これです」とお伝えできると質問した人も「そうか」となるかもしれませんが実はそう簡単な話ではないのです。
人によって疲れにくい椅子は異なる
「この椅子は疲れません」とひとつの椅子に断定して伝えることができない理由は「人によって疲れない椅子というのは異なる」ためです。
人の身体はその性別、身長や体重、骨格など、まさに千差万別です。
浅く座る・深く座る・斜めに座るのが楽、という座り方の傾向つまり「座り癖」も異なります。
また、椅子に座って過ごす時間の長さや過ごし方もそれぞれに違うでしょう。
そのそれぞれ異なる事情に寄り添った椅子が疲れにくい椅子となる可能性は高く、いわば「自分に合った椅子」を選ぶことが快適な着座姿勢や疲労感の軽減に繋がります。
そして、その選び方にはある種の「目安」のようなものがあることで椅子選びを行う際に参考になります。
それは「肘掛けがあるものを選ぶ」「体の動きにフィットするものを見極める」「足裏が床に着き、テーブルと座面高が合っているものを選ぶ」ことであり、逆に言えばそのような椅子を使用していないから疲れるのかもしれません。
肘掛けがあることで疲れにくくなる
いわゆる長時間寛ぐための椅子には大抵肘掛けが付いています。
これはまさしく長時間楽に座るためというのがその理由です。
長時間座ることが前提の新幹線や特急列車、飛行機や映画館のシートに肘掛けがあるのも「長時間座るから」なのです。
一般的に人間の両腕の重さは、体重の約10%にもなるといわれています。
その「重さ」は立っている際には身体に力が入っているのでそれほどには感じません。
しかし、長時間座っているとその重さは肩や腰への負担となります。
肘掛けがあることは本来あるべきところに身体的負担がバランスよく加わることで一部の箇所に過剰に負担がかかること=疲れやすくなることを防ぎます。
また、その重さを別の場所に預ける=椅子の背もたれやテーブルの上に腕や肘を置くことで軽減させることは座姿勢の歪みを誘発し、結果的に疲れやすくなります。
肘掛けがあれば身体的な負担をバランスよく分散させ、自然で無理のない座姿勢を確保することにつながるのです。
長時間座っていても疲れにくい椅子の条件の一つが「肘掛けがあること」です。
身体の動きにフィットする椅子は疲れにくい
人というものは一定時間を過ぎて全く同じ姿勢ではいられません。
自然と身体が動き、それは知らず知らずのうちに筋肉や背骨にかかった負担を解消する行動です。
例えば睡眠時の「寝返り」もまさにそれで、睡眠中に圧力のかかった身体をほぐす目的で無意識のうちに行われています。
無意識でありながら身体を一定の場所から移動させるようにできている人の身体は、当然のように椅子に着座しているときでも同じような行動を求めます。
そのいわば生理的欲求ともいえる行動に対してストレスを感じないこと、例えば浅く座って身体を寝かせた際に窮屈感が無い、あるいは左右に身体をふっても動きが制限されないことは「疲れにくい」椅子の条件と言えます。
そのうえで身体の位置がズレたとしてもそこでゴツゴツした違和感がなく自然にフィットするものであれば尚良いでしょう。
椅子の中での身体の動きを妨げず、動きやすいことは長時間の着座の中でも「疲れにくい」ことに繋がります。
気に入った椅子を試座した際には、しっかり背中を背もたれに預けてフィット感を確かめるのは大事ですが身体を左右に振る、あるいは浅く座って背中を後方に大きく傾けるなどの「動き」のある状態でフィット感が続く椅子はそれが疲れにくい椅子です。
(長時間の座姿勢では段々と臀部が前にズレてくる=浅く座るようになります)
椅子を試す際には色々と身体を動かしながら、そのフィット感も確かめながら選んでいくことをお勧めします。
足裏が床につき、テーブルの高さと座面高が合っている椅子は疲れにくい
足の裏がきちんと床に付いている。
これもまた「疲れにくい」ことには非常に重要です。
椅子はまず座面があることで身体の体圧を預ける部分が生まれます。
この時点でお尻と太ももに全体重が掛かっています。
そして背もたれがあることでその体圧は背中へと分散されます。
肘掛けがあればさらに体圧を分散できる箇所が2か所増えます。
全体重を100とすると、これでそれぞれ1/4、25%ずつの体圧を分散できているわけですが、同時に一か所につき25%の負荷が掛かっているとも言い換えることができます。
そこで足裏が床に付いていれば、さらに2か所への体圧分散が可能になるというわけです。
そうすることで、一か所に掛かる負担は16%まで減少します。
その分だけそれぞれの箇所での負荷が掛かる部分が少なくなり、結果として疲れにくくなって長時間の着座が可能となります。
椅子選びの際には「足裏が床に付くこと」が重要です。
この確認には靴を脱いで行うことをお勧めします。
また、選んだ椅子の座面高がテーブルの天板高と合っていることもまた重要です。
この適正値はおおよそ「28~30cm」と言われますが、この数値から逸脱した組み合わせでは食事や作業の姿勢が不自然となり、疲れやすくなるのです。
疲れにくい椅子を求めるなら足裏が床に着く座面高の椅子を選び、それに応じた高さを持つテーブルを合わせることもまた重要です。
家具選びには基本的にはルールはありません。
好きなものを選ぶことが心地よい暮らしに繋がります。
そして、それを使用することで快適と感じるなら尚良いことです。
様々な視点から見て慎重に選んでいきましょう。
私ども家具蔵でも常時50種類を超える無着色仕上げの無垢材チェアを取り扱っています。
お客様それぞれに異なる暮らしに寄り添うチェア選びを、プロのスタッフがお手伝いします。
椅子に座っていると疲れる、疲れにくく愛用できる椅子が欲しい、という際にはお気軽にご相談ください。
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