ウォールナットの一枚板の価値とは
2021.2.25
ウォールナットという木
家具材としても人気の高いアメリカンブラックウォールナットは、アメリカ東部~中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生しています。
冬には厳しい寒さのもとで時間をかけてゆっくり生長するため、軽くて硬く、重量が軽くて扱いやすい暮らしの道具としての加工性や塗装性に優れた材です。
さらに加工した後の狂いが比較的少ないため、人工的な材料が乏しかった時代には、精密性が求められる飛行機のプロペラにも使われました。
現代に於いても、楽器(ピアノなど)やライフルの銃床には、このアメリカンブラックウォールナットが良く使われています。
心材は濃い茶色だけでなく、時に黒紫色、赤紫色が見られることもあり、辺材=白太は灰白色です。
辺材から心材にかけて、アメリカンブラックウォールナット材ならではの、様々な色のグラデーションを楽しめます。
一枚板の希少性と工程の難しさ
ちなみに、一枚板のダイニングテーブルをとるためには何歳くらいの樹齢の原木が必要になるか、皆さんは知っていますか?
奥行き800mm以上の一枚板を取る為に必要な原木は一般的に樹齢で100歳以上と言われます。
公園で良く目にする樹の中で直径が800mm以上の太さがあるものはほとんどありません。
100歳以上の高樹齢の原木を探すだけでも、実はたいへん難しい事なのです。
それだけではありません。
テーブルになるまでは、実に多くの工程が必要になります。
そもそも、一枚板が取れる原木というのは、土から生えて枝が出ているまでの枝下寸法がテーブルの長さ分だけ必要になります。
さらに、あまりに曲がりくねっていてはテーブルとしての用途を満たしません。
様々な条件をクリアした原木は製材の作業を経て家具材への第一歩を踏み出します。
どんなに良い原木でも、この製材の工程で材として生かせるかが決まるのです。
製材が終わった状態では一枚板として使えそうな材は沢山ありますが、この後の乾燥工程で割れが入ってしまうものもたくさんあります。
何年も屋外で乾燥して材が持つ「木の動き」を出し切り、さらにそれぞれ異なる室内の環境にあっても問題ないように機械での乾燥を経て、はじめて家具材としての一歩を踏み出すのです。
芽吹いたアメリカンブラックウォールナットが100歳以上の原木に育つ確率は微々たるものです。
さらに、その原木が家具材に適しているか、製材しても乾燥時に割れないで残るのか、厳しい選別を繰り返す中でやっと残るものが一枚板なのです。
杢目や表情を楽しみ、愛でるのが一枚板
いわゆる「節がない」一枚板の方が良い、という方もいます。
それは勿論好みの話であり、希望に近い板を探せばよい問題ではあります。
しかし、100年かけて育った樹にひとつも節がないことはほぼありません。
人間が歳を重ね、皮膚に刻まれた皺がその人の内面の深さを物語るように。
人生を歩む中で身に付いた知恵がその人を豊かにするように。
木材にもその生きた年数の中で刻まれた杢目が私たちを楽しませてくれるのです。
表層の見た目だけでなく、その材が生きた時間と環境にも思いを馳せてみて下さい。
ウォールナットの一枚板
そんなアメリカンブラックウォールナット材の一枚板は白太と赤味のコントラストが美しく、また明るめから暗め、そして赤め~青めの幅の広い茶色のグラデーションを楽しむことができます。
育った土地によってもその表情に違いが出ます。
雨が多い地域の材では、地中の石灰が水とともに運ばれ、筋状に白っぽく現れる事もあります。
ぜひ、自分好みの杢目を探してみて下さい。
アメリカンブラックウォールナット材一枚板のテーブルがある空間は、日々の暮らしに自然の彩を加えてくれます。
着色した家具では出せない幅広い色数と明るさは、どんなインテリアにも近似色が見つけやすいため、合わせやすいという特性に繋がります。
住んでいる部屋やお手持ちの家具とも合わせやすく、今後の買い足しの際も、選択肢を狭めません。
そして軽量・堅固というアメリカンブラックウォールナット材の特性により、愛着を持って末永く使う事が出来ます。
家具は暮らしの道具としてだけでなく、使う中で喜びが生まれ、これを選んでよかったという気持ちが満足度を高めてくれるものです。
デザインや機能性だけについつい目が行ってしまう事が多くありますが、特にテーブルという住まいの中で主役になる家具の場合は、木目の好みだけでなく、触り心地や、一枚板ならではの希少性、アメリカンブラックウォールナット材ならではの特性まで気に入った上で、選んで頂きたいと思います。
面白いもので、日の当たる場所で育った樹は、節が少なかったり、反対に日陰で育った樹は、少しでも多く光合成しようと枝を伸ばすために節が多いなど、見慣れてくるとわかる事もあります。
杢目についても、なぜこうなったのかを知る事が出来ると、その一枚板への愛着がさらに深まることでしょう。
ウォールナットの一枚板天板も豊富に展示がある「家具蔵一枚板ギャラリー」でお待ちしております。
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