無垢材一枚板天板、その希少性と価値とは
2019.4.18
巨大な1本の木から取り出される1枚の大きな板。
その一枚板により造られる家具には、家具好きの人は勿論、家具に特に興味のない人までを引き付ける不思議な魅力があります。
一枚板として使用される巨木には、樹齢200年から300年ほどのものも。
その圧倒的な生命力と天然木の持つ独特の質感が感じられる一枚板の家具は、使うほどに味わい深い変化があり、その温もりは、家具を使う者に安心感を与えてくれるはずです。
ウォールナット・ケヤキ・トチ・クス・サペリ・ボセ・ブビンガ・ホワイトオーク・栃・欅など一枚板として使用される天然木は多種類ありますが、育つ環境や時間などにより、それぞれまったく違う表情を持った家具となります。
一生ものの家具としてふさわしい一枚板の家具は、インテリアの中でも圧倒的な人気を誇っています。
一枚板ダイニングテーブルの特徴
一枚板で造られる家具の代表を挙げるなら、やはりダイニングテーブルになるでしょう。
天板に迫力ある一枚板を使用しているダイニングテーブルは、圧倒的な存在感を放っています。
ほとんどのメーカーでは、一枚板のダイニングテーブルを製作する場合、その自然のフォルムを活かしたままの形にすることが多いようです。
従来のダイニングテーブルのようにきっちりと測った長方形でない天板は、自然木の持つ美しさを十分に感じさせる仕上がりとなっています。
自然の木目や節穴、木の曲がり具合さえそのまま使用されているダイニングテーブルは、自然界で息づく樹木をそのまま部屋の中に持ち込んだようなインテリアとなります。
強い存在感を感じさせる一枚板の家具ですが、そのインパクトの強さから、部屋に置くことで他のインテリアとの調和がとれないのでは?と思う方もいるようです。
実際に一枚板の家具を使われている方の中では、不思議とどんな部屋に置いても違和感がない、という意見が多いです。
木本来の持つ自然な質感とフォルムを損ねないよう製作されることの多い一枚板の家具です.
自然の素材をふんだんに使って建てられる日本の家屋に馴染むのは、考えてみればごく当然のことと言えるのかもしれません。
今はナチュラルテイストのインテリアを好む方が多いようですが、その中に一枚板の家具を設置することで、ナチュラルな部屋の雰囲気を際立たせることができます。
また、モダンな雰囲気の部屋に一枚板の家具を置くことも、実はおすすめのインテリア調和術なのです。
一枚板の家具は、高いインテリア性を持つものが多く、シャープな部屋にも自然に溶け込むでしょう。
畳にふすまといった昔ながらの和室とも、相性は抜群です。
一枚板で造られた大きな座卓を和室に置くだけで、部屋の高級感が一層増すことでしょう。
天然の一枚板は一般的な家具とは比べ物にならないくらいの長い寿命が特徴です。
家を新築などのタイミングで家具の買い替えは行われますが、買い替えの理由としては、家具が傷んでしまったからというものがほとんど。
色落ちや剥げ、きしみ、接続部の緩みなどによって、5年から10年ほどで買い替えを考えます。
一枚板の家具は、正しい手入れさえしていれば、長い期間使い続けることができます。
高い強度、耐久性を併せ持ち、害虫にも強いのが特徴となります。
外国では、大切な家具や家屋が子孫まで受け継がれていくことが多いですが、一枚板の家具も、世代を超えて受け継がれていく家具として十分使用に耐えるでしょう。
一枚板の家具を使うメリットは?
一枚板の家具は、耐久性に優れ、一般的な家具より寿命が長いこと。
また、多種多様なデザインの製品が発表され、一枚板を活かしたデザイン性の高さにも定評があること。
使い込むことで、より味わい深く変化していくこと。
これらが大きな特徴です。
また、一枚板の家具を実際に使用してみて感じるメリットがあることも知っていてほしいのです。
それは、家具の使い心地の良さ。
自宅に戻り、家具を眺め、触れ、使用することで感じる一枚板の魅力は、メリットとしてかなり大きな割合を占めるものと思われます。
自然の木の温もりに癒され、心からリラックスできる一枚板の家具。
自信をもっておすすめしたい家具の一つです。
なぜ無垢材一枚板は人気なのか
私たち日本人は、豊かな自然への感謝と畏怖の念を、人知を超えた自然の摂理を感じ取り、あらがう事無く、無駄にせず、恨まず、自然をあるがまま見つめ、日本独自の精神世界を築いてきました。
もののあわれさに美を見る心。
はかなさに命の尊さを感じる心。
自然には摂理があります。
宇宙の摂理と言い換えられるかもしれません。
日本人は、早くから宇宙の摂理を自然のそこに感じ、小さき楚々とした在りように、「美」を投影する独自の文化を完成させました。
「人の思惑を優先しない」 事を自然から学び確立した、「侘び・寂び 」は千利休が茶碗の中に見る小宇宙という精神世界に例えられ、質素な物の中に積極的に 景色・風情・趣 を感じる美意識です。
全てが自然の摂理の痕跡。
天板に見える「景色」です。
数百年、過酷な現象の全てを受け入れ耐え忍んだ「稀なる樹」。
日本人の魂に記憶された「物の中に見る小宇宙」は世界を魅了する精神世界です。
自然の恩恵を頂き生業とする私たちは、自然の形状を最大限生かしつつ、西洋から学んだエッセンス・異素材を組み合わせ、和・洋問わずどんな建築にも、スタイルや素材が違うチェアーや食器にも、違和感なく合わせられる、といった点が人気なのかもしれません。
なぜ無垢材一枚板は希少なのか
木材の価値は美観・大きさ・希少性などで決まります。
それらが特に優れたものは銘木として珍重されます。
多くは自然に生え育った天然木ですが、吉野杉や檜、日光杉のように人の手によって植えられた木にも銘木として扱われるものがあります。
木材の美観は節の有無や木目、色合いに左右されます。
鋸で枝を切り落とす枝打ちという作業を木が若いうちから念入りに行います。
優良材の産地を目指す場合は切り落とした痕が滑らかで、微妙な調整も利く鋸を使うことが多いようです。
木目に関しては、年輪の幅が揃っていることや真直ぐで乱れないことなどが重視され、多くの販売員はそこを強調する傾向にあります。
一方、天然木ならではの変わった木目(杢)も重要視されます。
主に円形の模様が現れた玉杢や泡杢、縮んでしわが寄ったような縮杢、ストライプ模様が現れた虎斑杢(とらふもく)などがあります。
専門の販売員はこの点を細かく解説してくれます。
高樹齢の大木ほど価値があると思ってよいでしょう。
希少性は美観や大きさとも関係しますが、入手困難だということが価値を高めます。
無垢材一枚板が希少な理由1
大木からしか取れない
無垢一枚板とは薄く切った板を張り重ねたり、こまかい木を組み合わせたりしない木そのものの塊りのことです。
たとえば、6人掛けダイニングテーブルですと、標準的なもので180㎝×90㎝、厚みも相当あります。
この直方体を木から切り出すわけですから、木はそれよりもさらに大きくなければなりません。
樹齢何百年もの貴重な大木が無垢一枚板の原料となるのはこの為です。
大木ですから、伐採、輸送には特別な機材が必要となり、費用もかかります。
無垢材一枚板が希少な理由2
取れる量が少ない
製材は木を縦方向にスライスしておこないます。
輪切りにしたものは使いません。
それは、中心部分が割れやすい部位であるためと、取れた板が似通った木目になる恐れがある為です。
木の中心を避けて製材するので、一枚板が取れる部分は自ずと限定されます。
また、製材してみると中が空洞で使い物にならない場合があります。
木は中心部から成長が止まり、水や養分を通しながら肥え太る外側さえあれば生きていられるため、外見は元気でも中は空洞の場合が多々あります。
無垢材一枚板が希少な理由3
美しい杢目は希少
木目の中でもとくに美しいものを杢目と呼びます。
珠杢、縞杢、縮み杢、鳥眼杢などいろいろありますが、どれもたいへん希少価値の高いものです。
また、切り出し方によって杢目の現れ方が異なるため、長い経験を積んだ職人による優れた木取りが必要です。
無垢材一枚板が希少な理由4
乾燥に技術と時間を要する
家具蔵の場合は目利きの人間が現地まで赴いて厳しい審美眼で原木を選びます。
そんな原木たちは製材を経てそれぞれを一本ずつ、天日の下で自然乾燥させながら海外のものでも日本の気候に馴染むようにじっくりと水分を抜いていく乾燥の工程。
約1年(場合によってはそれ以上)をかけて、含水率(木の中の水分の保有量)を12~13%までになるまで天日の下で自然乾燥させ、積み重ねた状態で保管します。
さらに、現代の住まいは気密性の高い空間が多く、その中で冷暖房の影響を最小限にとどめるよう、含水率を6~7%になるまで機械乾燥及び養生を行うのです。
広い場所と長い時間、コストもかかるたいへんな前段階を経て、残った一枚だからこそ希少なのです。
どんなところで選ぶべきか
家具蔵では目利きの職人が世界で主要となる各地で原木市場、または林業家から直接自らの目で確かめた良質の丸太(原木)を仕入れ、 国産材・輸入材を含め全てを自社管理のもとで製材・乾燥を行います。
加工した板を仕入れるものと違い、原木が持つ最高の木目を引き立たせ、日本の空気感・気候に合った安定した木材となるよう手間を惜しまない工程を組んでいるのが、家具蔵なのです。
特に表参道店一枚板ギャラリーでは、この道の専門販売員がご案内致します。
お問い合わせから、販売、アフターフォローまで、お客様の一枚板選びをサポート致します。
オーダーメイドのお見積りやご相談等はもちろん無料ですので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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