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木のキッチンの意匠1~面材について

2019.4.9

キッチンの面材とは?


システムキッチンもオーダーキッチンも、今ではたくさんの種類がありますがキッチンを選ぶ際に多くの方が気にするポイントは、機能性と意匠性そして価格でしょう。

とりわけ現在のキッチンでは、キッチンをオープンにする方が多く、そうなると意匠性の重要度も必然的に上がってきます。

キッチンが独立した空間ではなく、お客様を招いた際にもリビングから見えるため、もはやキッチン単体ではなく、空間全体として捉える場所となり、家具の一部として考えられるようになってきたのも最近の傾向です。

そして、キッチンを家具の一部として捉えた時それが占める面積はとても広く、キッチンだけでなく背面収納までを入れて考えるととても重要な要素になってきます。

その中でも垂直面となる扉の色や素材感は、空間全体に与える影響も大きく、それによって壁と同化させて部屋を広く見せることも、アクセントとして印象的に仕上げることも可能なのです。

そこで今回はその扉材=面材(キッチン用語)についてお伝えしたいと思います。

 

面材の種類について


まずは素材について。

システムキッチンの場合は、その素材によってグレードが変わり、色だけでなくどのような素材の面材であるかで、その耐久性や意匠性そしてメンテナンス性も変わります。

●無垢材

簡単にいうと中まで「本物の木材」で作られているものです。

天然木を切り出して削っているもので一般的なシステムキッチンメーカーではあまり扱われていません。

ただ、その素材感は自然素材ならではの質感があり、ダイニングテーブルを無垢材でと考えている場合には同じ素材でコーディネートもできるため、意匠性に優れた素材です。

毎日使うものだからこそ、気持ちが安らぐ素材に触れていたいと考える方も増えています。

●突板合板

天然木を薄くスライスして合板に貼った突板ベニヤで作られているものです。

自然な風合いで、コストも無垢材よりも抑えることが出来ます。

システムキッチンメーカーの面材グレードの中では、高価格帯に分類されることが多い素材です。

●メラミン化粧板

木目調のものから単色カラーのもの、金属風や石目調など様々なテクスチャが用意されています。

メーカーによって特徴が分かれますが、木目調のものも最近では色や柄だけでなく天然木のような凹凸も再現されている為、一見本物の木のように見えます。

メラミン樹脂に表面加工を施してあるため、耐水性・耐熱性に優れていて傷に強いのが特徴です。

●ウレタン塗装

基材(中身)にはMDFなどを使い、表面にウレタン樹脂塗装を施したもの。

色も調色して作ることが出来るため、ほかの着色された家具や建具に合わせたり、ツヤについてもマットな質感から鏡面仕上げまで調整が出来たりするのが特徴です。

●UV塗装

俗に「ピアノ塗装」とも呼ばれ、一般的には光沢がある塗装仕上げですが最近ではツヤ消しでのUV塗装も見受けられるようになりました。

紫外線を照射することで表面の塗膜に強度を持たせることができる塗装で、通常のウレタン塗装と比較すると、3~5倍の塗膜強度があると言われています。

●シート材

オレフィンシート・PETシートなど樹脂製のシート材です。

色や柄の発色が良く、その種類も豊富なため、キッチンの面材だけでなく建具や床材などの建築材料にも使われることの多い素材です。

●ステンレス

ワークトップ(キッチンの天板)などには昔から使われていますが最近、ステンレス商品に強いメーカーでは面材や収納の内部までステンレス製のオールステンレスキッチンも見るようになりました。

文字通り、汚れや錆に強く、耐水性・メンテナンス性に優れた素材です。

●ホーロー

七宝と同様の製法で、金属板にガラスを焼き付けて作られます。

発色性が良く光沢があり、耐水・耐熱性に優れていますが傷がついてしまうと、基材の金属が錆びるので傷には注意が必要です。

 

「木」と「木目調」のちがい


上記の様々な素材の中で、無垢材や突板合板はもちろんですが、メラミン化粧板・シート材についても木目のものがたくさんあります。

そのなかで、「天然木」といわれるのは無垢材と突板合板で、「木目調」と呼ばれるものがメラミン化粧板とシート材です。

メラミン化粧板やシート材は天然の木目を再現したプリント技術が発展したことで今ではとてもリアルな木の表情を再現することが可能となりました。

そして、表面加工の技術も優れていて硬さがあるため、傷つきにくい素材です。

ただ、面材を作る際には必ず扉の厚みの部分(木口)を仕上げる必要があり化粧板やシート材の場合は正面と厚みの部分をそれぞれ「面」で仕上げるためエッジの部分がきれいに仕上がるかどうかで見栄えが変わってきます。

化粧板は厚みが1mm前後ありますが、エッジの部分は木目が現れない為、色によっては扉の角の部分が目立つこともあります。

そして、作りたてはきれいでも使っていくうちにエッジの部分に傷が入ったりすると厚みの部分が欠けたり剥がれたりするため、はじめの印象だけでなく長い目で見た時の意匠性もイメージして選ぶことが必要です。

一方、無垢材は木を削り出し、そのままの厚みで作られたものです。

家具蔵ならではの「原木仕入れ」だからこそできる事として、扉の木目を合わせて面材を作ることも可能です。

それは「木目もデザイン」という職人のモノづくりの姿勢が表れている証拠。

無垢材を使うメリットはたくさんありますが、中でもお伝えしたいのが「使うほどに味が出てくる」ということ。

無着色であるがゆえに、経年変化で見事な風合いに変わっていきます。

良く「無垢材だとお手入れが大変でしょう?」というご質問を頂きますが剥がれたりすることがなく、仕上げ次第ではメンテナンスも容易です。

むしろストレスを感じずにお使いいただける素材といっていいでしょう。

また、使うほどに色合いも変化し美しい色艶になる為、日々愛着を持って使えるのが最大のメリットではないでしょうか。

キッチンは住まいの中心にと考える方が多い中、そのライフスタイルによって、どういったキッチンが合うのかは十人十色です。

でも、「木のキッチンが気になる」という方は、ぜひ一度、写真で見るだけではなく、実際にその素材に触れてみてください。

目や耳からの情報だけでなく、五感で感じられるものがきっとあるはずです。

 

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