ライフステージ別の収納という考え方
2018.1.31
私たちが店舗でお客様と間取りの話をする際に、テーブルを置く位置や向きと合わせて収納の御提案を行うことはとてもよくあることです。
小さなお子様がいるご家族の場合、お子様が成長するにつれてモノが増えていくことも多く、その面からのアドバイスを行うことも多々あります。
小さなお子様もいずれ大きくなり、その親御様もまた、年齢を重ねていくもの。
今回はさまざまな年齢層=「ライフステージ」別で考えた場合の収納についてお話します。
ライフステージ別の収納ポイント
1.赤ちゃん期
赤ちゃんにまだ収納などは全く関係ないと思われがちですが、実は赤ちゃんは周囲の大人のすることを真似ることで様々なことを覚えていきます。
こんな小さなころからと思われがちですが、片づけることを習慣づけるためにはとても重要な時期といえます。
まだ寝ているだけのうちはいいですが、ハイハイをしておもちゃで遊ぶようになってくると、どんどん遊ぶおもちゃも増えていきます。
赤ちゃんにとって初めての収納はこのおもちゃをしまう入れ物です。
そして、立って歩くようになるころには、箱の中をのぞいたりすることも増えてくるので、おもちゃを片づける箱を赤ちゃんの興味を引くような色使いのものにし、それを自分のモノだという認識を持たせることがまず必要です。
そして、一番重要なのは、使い終わった際に、お母さんやお父さんが片づける姿をちゃんと見せること。
それを真似ることで、片づける行為を覚えていきます。
そして、おもちゃを使うということは小学生になってもしばらく続いていくので、フタなどはなく使いやすいもの、長く安心して使えるものという視点で選ぶことが大切です。
2.子供時代
幼稚園に入る、小学校に上がる。
そのたびに必要となるものも変わり、モノは増え続けていきます。
おもちゃだけではなく、文房具や本なども含めたくさんのものに興味を持ち、愛着を持ち使っていきます。
そして人からの影響と同じくらい、モノから受ける影響も大きなものとなります。
成長する分だけモノの量も増えていきますが、時には増えすぎたモノを整理することが必要です。
同じものがいくつもある場合などは、その中で優先順位を決めさせて処分したり、本当に必要だと思うのかどうかを考えさせたりすることも、子供のうちに身につけておきたいことの一つです。
そこで、大人が勝手に「もう使わないだろうから」と勝手に捨ててしまったり片づけてしまったりすることはあまりよくないとされています。
本人の許可を取って捨てたり、一緒に考えてその整理方法を考えたりするのも教育です。
そうしているうちに、どのくらいの分量のものを自分が持っているのかが把握でき、それをしまうにはどれくらいの大きさの収納が必要なのかなど、大きさや長さなどに対する感覚が養われるようになります。
その結果、自発的に収納することに興味を持つようになるといわれています。
3.独立時代
親元から離れ、一人で暮らし始めるときを指します。
ここが一番モノとのかかわりが深くなる時期です。
まずは、新しく揃えるものなど、自分のこれから使うものを選ぶことになるので、その分今まで以上に自分の価値観や美意識が現れることになります。
そして、人から見られるという意識も高まるので、モノを選ぶ際にさらに慎重になっていきます。
また新しいものだけではなく、今まで使ってきたものの中から何を選び使うのか、選別する作業もモノとのかかわりを再認識する機会となります。
思い出深いものは多くありますが、一人で暮らす中ではスペースも限られるので、その中に収めるためにどれだけの思い出を持っていくのかを選ぶことになり、捉え方によってはいろいろなモノを通じての思い出をリセットするタイミングでもあります。
4.結婚
今までのモノ選びと異なって、相手との合意の上でモノを決めていかなくてはならなくなるので、どちらが主導権を握るのかというところから、モノ選びがスタートします。
長く使っていける上質なものを選ぶことは、心の豊かさにもつながるうえ、これからの結婚生活がより楽しいものになり、さらに来客の際にも気にせず同じものを使うことができます。
そのため食器なども数多くではなく、良いもの最小限の量そろえるのが基本となります。
また、収納家具に関しては、その後のライフスタイルの変化にも順応して何にでも使えるような、小さめのものが重宝します。
ライフステージによってもその用途を変えながら使っていくことが可能です。
5.家族時代
家族が増え、その歴史を刻むごとに生活に必要なものはどんどん増えていきます。
そのため収納については、どこかのタイミングで大きな変化が必要となります。
財産と呼ぶべき大切なものが増えていく中で、それらをどのように仕舞って、あるいは見せて、素敵な空間にしていくのかを見直す機会を設けると、生活自体もより動きやすいスタイルが作れるようになってきます。
その基本となるのが、家族が使うものに関しては、家族全員が分かるように、モノの住所を決め、いつでも使用後はそこに戻すというルールです。
そのためには、必要なものは必要とされる場所にあるように、集中収納だけではなく置き型の収納を点在させることも大切です。たとえば、薬などはリビングに置くよりもキッチンに置く方が、水もすぐに用意できるので良いなど、一連の動作を踏まえた上で、しまう場所を決めることが大切です。
また、長期間使わない収納などは定期的に確認し、本当に必要で取っておいてあるのか、無意味に捨てられず取ってあるだけなのかなど、最低一年に一度は確認することが、モノをため込まない秘訣です。
6.ラストステージ
子供達がそれぞれの所帯を持ち、夫婦二人もしくは一人暮らしに戻った時には、再びこれからの生活について考えるタイミングがやってきます。
そこで多くの人が望むのが、『自分を満たしてくれるごく少量のモノを残してシンプルに暮らしたい』ということ。
洗練されたものを残し、気に入っているものなどは毎日眺められるところに置くと、お客様が来た際にも豊かな気持ちで迎えることができます。
また、さらに歳を重ねると生活の動線などは体に染み込んだ感覚で動くようになります。
大きな収納の位置の変更などをする場合はできるだけ早めの方が良いとされています。
そして、それと併せて考えなくてはならないのが、モノを仕舞う高さです。
高齢になると、脚立に上って上の方のモノを取ったり、下の方に屈んでモノを探したりということが億劫になってきます。
手の届く範囲にモノを置くこと、そのために本当に必要なものを選ぶことがラストステージでの収納には大切なポイントです。
いかがでしたか?
このように年代や暮らしの変化で必要とされるものは大きく変わります。
自分たちの暮らしにはどのような収納が適切かな?
そう思ったら、是非いつでも私たち家具蔵にお気軽にご相談ください。
参考文献:ディスカヴァー・トゥエンティワン刊 加藤 ゑみ子著 「好きなモノと美しく暮らす収納のルール」
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