ウォールナットの家具の特徴は?どんな部屋になる?
2022.8.17
高級感のある色合い、他の木にはない多彩な色素が生み出すグラデーション、といった理由から家具蔵のお客様からも不動の人気を誇る「ウォールナット(アメリカンブラックウォールナット)」。
今回のコラムではウォールナットの家具を主役にした空間の特徴とメリットをまとめます。
ウォールナットとは
ここでいう「ウォールナット」は、家具蔵で扱う「アメリカンブラックウォールナット(以下ウォールナット)」をさします。
アメリカ東部~中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生しています。
樹種によっては高さが40m以上にもなり樹皮には鱗のような深い溝があり灰色がかっているのが特徴です。
葉は20~90cm位の葉軸に10~20枚と複数枚の小葉をつけ、枝を豊かに広げた立ち姿は、見る物を荘厳な雰囲気に包みこんでいきます。
実用面でいえば防風林や街路樹など、人の生活において憩いの場を提供してくれたり、また、そのクルミの実は人や動物への生命の糧を与え続けています。
厳しい寒さのもとで時間をかけて生長するため、硬く粘りのある材質を持つ一方、軽量で扱いやすく、加工性や塗装性にも優れています。
また、加工後の狂いが少ないため、かつては飛行機のプロペラに使われたことがあるほか、現在でもライフルの銃床や楽器(ピアノなど)にはこの木材が使われています。
辺材は灰白色。
心材は濃い茶色のほか、時に黒紫色、赤紫色(紫の色素を持つ木は、北半球ではとても珍しいです)などが見られることも。
色味は一様ではなく、辺材から心材にかけての様々な色がグラデーションを描き、美しい模様の表情を形成します。
木理はしばしば不規則に交錯し、これもデザイン的な効果を高めています。
木肌は、仕上げの方法によって若干の差はあるものの、はじめは濃い茶色、そして時間の経過とともに明るくまろやかな茶色へと変化し、落ち着きます。
使い込むほどに味わいが出てくるのも、大きな特徴と言えます。
世界に200種以上あるウォールナット材の中ではもちろん、現存する木材の中でも最高ランクの評価を得ているこの木材。
「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、チェアやテーブル、キャビネットといった家具や世界の高級車のウッドパネルなどに使われ、人々の憧れの的となっています。
ウォールナットの歴史
大きな枝ぶりを見ているだけで安心感が湧いてくるウォールナット。
世界のクルミの木の流れは、中央アジアが原産で世界に渡ったとされていますが、ウォールナットは生粋のアメリカ原産のアメリカ育ち。
改良や挿し木の無い純粋なクルミの木です。そのクルミの実は、太古のネイティヴアメリカンの人々やリスなどの小動物にとっても貴重な栄養分であり、動物の生命にまで直結してきた歴史があります。
その恩恵に対する敬意として、アメリカでは古くから、結婚式の際に子孫繁栄の意味を込めてクルミを撒く習慣がある事を見ても、ウォールナットと人の関わり合いが重要であった事が伺われます。
人とウォールナットは昔から良い関係を築いていたのです。
家具材としてのウォールナット
材となってもウォールナットの人気は高く、1660年頃~1720年頃のヨーロッパのロココ文化の中心にクルミの家具が一時代を築いてから、アメリカにおいて貴族階級や権力者が競ってウォールナットを使い続けてきたという事実があります。
クルミ科には9属約60種、ブラックウォールナット・ペルシャウォールナット・ヒッコリー・オニグルミ・ピーカン・バターナットなどがあり、ヨーロッパ南東部から東南アジア及び日本、南北アメリカにかけて広く分布しています。
その総数約200種類の頂点であり、北半球のあらゆる樹木の中でも不動の存在として君臨しているのが、銘木アメリカンブラックウォールナットです。
なぜ古くからウォールナットが認められ、現在でも家具材として重宝されているかというと加工性と安定性に優れているためです。
また、美しい木目と色素のグラデーションは使い込むほどに味わい深くなります。
経年変化の仕方は一般的な木が淡い色調から濃い色調へと変化するのと異なり、濃い茶系からまろやかな赤茶へと変化します。
「落ち着いた空間」をつくるウォールナット
ウォールナットは空間を選ばない、万能性のある樹種です。
床や壁、周辺の建具やファブリックなど、その合わせにはNGが無いといっても過言ではありません。
また、その色合いは明るい色合いを持つものよりも、空間に落ち着きを与えてくれます。
落ち着いた色調の空間は、人の気持ちを落ち着かせる、とはよくいわれています。
落ち着いた色合いと美しい木目が重厚さと独特の気品を醸し出すウォールナットは、クラシカルなテイストはもちろん、モダンな雰囲気のインテリアとも見事に調和します。
そのようなウォールナットの家具をさらに格上げするならビビッドな赤、もしくは正反対なグレー色のインテリアを合わせるのもお薦めです。
赤と黒は補色の関係にあり、その相性は抜群です。
この場合、あまり鮮やかな明るい赤ではなく、深みのある赤を選ぶのがベターです。
グレー色にはチャコールグレーやミディアムグレー、ライトグレーなど明度の違いがあり、チャコールグレーよりもライトグレーを使うと、広さを強調した、洗練された印象の空間を演出できます。
更に、ライトグレーは「ダークブラウンを強調する」という視覚的効果もあるので、メリハリのあるスタイリッシュな空間を作ることができるでしょう。
ウォールナットの最初の色味を見て
「重厚過ぎる」
と感じる方もこの経年変化を見ると受け入れやすくなる方も多くあります。
そして、ウォールナットは色素が豊富なことから他のインテリアにどのような色味のものがあっても、それに合わせてくれる包容力があります。
どのような樹種の家具をレイアウトするか迷ったらウォールナットは選択肢にぜひ入れておきたい候補です。
老若男女問わず人気が高いウォールナット。
しかし、その人気の高さから良質な材料は減少傾向にあります。
クルミの実を大切に育てる母親の木、お子さんを大切にする親御さんを連想させる木なので、ご家族が集う場所でウォールナットの家具を使うのも素敵です。
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